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Diary

『猫ヲ探ス夢 蘆野原思郷』が文庫になります。2021年05月30日

◆なかなかすっきりと気温が上がってくれない北海道の我が家近辺。こんな時期になのにちょっとだけ暖房を入れた夜もあったりして。
◆『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』(徳間文庫)の続編である『猫ヲ探ス夢 蘆野原偲郷』(徳間文庫)が文庫になりました。その見本が届きました。スキャンしたのですがなかなか微妙な色合いの写真ばかりなので、ちょっと色の再現が難しかったですね。
◆〈蘆野原〉はもちろん〈偲郷〉というのも造語です。たぶん国語辞典には載っていません。でも漢字の雰囲気で意味はけっこう伝わりますよね?
◆〈蘆野原〉というあの世とこの世の端境にある〈郷〉で生まれ育った者たちは、人に災いをもたらす災厄である〈事〉を静かに〈為す〉ことができます。そして、それが自分たちの宿業であると理解しています。一種の能力者たちの物語ですね。陰陽師の雰囲気を思い浮かべていただければいいかもしれませんし、もっとくだけて人間界の鬼太郎たちと言ってもいいかもしれませんヽ( ´ー`)ノ
◆そもそもこの物語、〈夫婦〉をテーマにした短編を書いたのですがいきなり妻が猫になったりしてあまりにもふわふわしていてよくわからない世界になって「これはちょっと……」と編集さんに言われてボツにしたのです(ちなみに書き直したのは『小路幸也 少年少女小説集』(ちくま文庫)に収蔵されている『林檎ジャム』です)。そのボツにした短編の世界観を気に入ってしまったので、後からきっちり組み直して連作短編のスタイルにして徳間書店さんで書き続けたのが『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』でした(さらにちなみに最初は『蘆野原偲郷』というタイトルだったのですがあまりにもわからんと言われてタイトル付け加えました)。続編を書くつもりはなかったのですが、売れはしなかったんですけどけっこうマニアックな方々に人気になり、続編書いてみませんかと言われて書いたのが、この続編の『猫ヲ探ス夢 蘆野原偲郷』でした。
◆時代設定がぐんと進んで、一作目の主人公たちはあの戦争で死亡(行方知れずとも)し、一作目では生まれたばかりだった次の代の息子達が主人公になっています。ですから、できましたら一作目の『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』(徳間文庫)から読んでいただいた方が、話がすっきりと繋がると思います。楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆なお、今回の表紙の猫は我が家の猫です。ギャラはありませんので、私の方でおやつを多めにあげておきます。

『あの日に帰りたい 駐在日記』が文庫になります。2021年05月14日

◆随分気温が低い日が続いていて、夜にはカーディガンなど着込んでいたんだけど、今日は気温が上がって窓も全開。そんな日に届いたのは『あの日に帰りたい 駐在日記』(中公文庫)。〈駐在日記シリーズ〉第二弾が文庫になります。
◆昭和五十年の春に雉子宮駐在所に赴任してきた箕島周平と花夫妻。そしてほぼ一年の四季を追ったのが『駐在日記』(中公文庫)でした。そして年が明けて昭和五十一年の冬からまた物語が始まります。ですから、できれば『駐在日記』の方から読んでいただいた方が、周平と花のことはもちろん、近くの神社の神主さんとなどの登場人物それぞれのことも深くわかってきますが、一応、この『あの日に帰りたい 駐在日記』から読んでいただいても充分流れを掴むことができるようにはなっています。
◆主人公は駐在所の警察官ですが、小さな村ともいっていい田舎町なので大きな事件などはまったく起こりません。どれもこれも、箕島巡査の裁量ひとつで結末をつける形になっています。とはいえ、箕島は元は横浜で優秀な刑事でした。小さな事件の奥に潜む謎や人の心の複雑さに鋭く切り込み、優しさと厳しさで事件を解決に導きます。
◆もちろん架空の村の架空の駐在所ですが、モデルにしたのは神奈川県のとある地域です。そこに行ったことがあるわけではなく、Googlemapで見つけて(^_^;)、しっかりと写真などを見て選びました。ですので、詳しい村の様子などはそれほど描写してはいませんが、そこに住んでいる方が読むと、駐在所と神社と学校の位置関係、なんとなくうちの町に似てる……? とは思うかもしれません。
◆シリーズにするつもりはなかったのですが、こうして第二弾が文庫になり、そして夏にはシリーズ第三弾『君と歩いた青春 駐在日記』(中央公論新社)が出ます。そちらも楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆あと、サブタイトルには実はあまり意味がありません。時代設定であるその年のヒット曲を使うようにしていますのであまり深く考えなくてもいいですよヽ( ´ー`)ノ

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