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Diary

『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』が文庫になります。2021年11月28日

◆ものすごく久しぶりに日記を書く。もう新刊告知にしか使わなくなってしまった。いかんなぁと思いながらも何度も書くけど、執筆以外に書くエネルギーがないのだ。
◆〈花咲小路シリーズ〉の『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』が文庫になります。昨日かな、見本が届きました。たぶん、12月の中旬ぐらいには出回るのではないかと思います。
◆読んでくれている方はおわかりかと思いますが、この〈花咲小路シリーズ〉は〈花咲小路商店街〉を舞台にしていまして、一丁目から四丁目まであります(そのうちに、四丁目だけアーケードがありません)。当初はシリーズになるとは思わず一作目に『花咲小路四丁目の聖人』としたのですね。そうしたらシリーズになってしまって、改めて『花咲小路二丁目の刑事』を二作目としたのです。なので、一丁目から話が始まっているわけでないです申し訳ないです。
◆で、シリーズ六作目は一丁目になりまして、舞台は理髪店の〈バーバーひしおか〉です。あの青と赤のグルグルするものがある昔ながらの渋い理髪店。そこに押し掛け新人理容師として入ってきた〈せいら〉が語り手になります。せいらが語り手ですが、タイトル通り、主人公は〈バーバーひしおか〉の主人である朱雀凌次郎。でも主人とはいっても理髪師の免許も持っていなくて、毎日何も仕事をしていません。ちょっと掃除を手伝うぐらい。文字通りの〈髪結いの亭主〉なんだと思っていたら、実は、西洋美術品の凄腕の〈鑑定士〉だったのです。何でも若い頃にはかのルーブル美術館でキュレーターも勤めたとか。美術品となれば、もちろん〈花咲小路商店街〉にはセイさん、〈怪盗セイント〉がいます。今まで互いに知ってはいたものの、ほとんど接点がなかった〈髪結いの亭主〉と〈怪盗セイント〉。朱雀凌次郎がある美術品を鑑定することになり、それがきっかけになってセイさんと深く係わることになるのですが……。という感じに物語が進んでいきます。
◆いつものように、商店街の他の人たちを巻き込みながら、少しミステリアスにでも楽しく賑やかなお話です。愉しんでいただければと思います。
◆さて、この『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』の後は、実はもう七作目『花咲小路二丁目の寫眞館』の連載が進み、ほぼ最終回まで行っています。タイトル通り、昔ながらの写真館が舞台になります。こちらはおそらくは来年早々に単行本新刊としてお届けできると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
◆何か信じられないぐらいに日本だけコロナが落ちついてしまっている現在。このまま、三回目のワクチン接種や、あるいはコロナの飲み薬などが出てきて〈少し厄介なインフルエンザ〉ぐらいになってくれればいいんですが、それも世界が同じようになってくれなければいろいろ困ってしまったままですよね。とにかく、当分の間はこのままマスクに手洗いなど習慣付いたまま、以前のような日々を少しずつ取り戻していきましょう。

『すべての神様の十月(二)』が出ます。2021年08月29日

◆突然夏の暑さが戻ってきて、北海道も30度近い気温になった週末。夜まで暑さが引かずに、もう使わないかなと思っていた蚊取り線香をつけたりしました。
◆そんな日に届いた見本は『すべての神様の十月(二)』(PHP学芸文庫)です。前作『すべての神様の十月』は単行本から文庫といういつもの流れだったのですが、ぶっちゃけ文庫しか売れなかったので(^_^;)、第二弾はいきなり文庫でお願いしますと編集さんに言われまして、ハイそうしますとヽ( ´ー`)ノ
◆前作と同じように、人間社会の中で人間と共に暮らす八百万の神様たちの物語です。しかし、前作で〈死神〉に〈貧乏神〉〈疫病神〉に〈福の神〉〈お地蔵さん〉や〈八咫烏〉、〈九十九神〉に〈山の神(文庫判のみ)〉と、ほぼオールスターズみたいにメジャーどころの〈八百万の神様〉を出してしまいました。次作に出すメジャーな神様はもうあんまりいないなぁと少し困ってしまいました(^_^;)。いくら神様に関しては節操がない日本人とはいえ、この物語の中に帝釈天とか毘沙門天とか阿修羅とか弁天様とか直接的な宗教関係の神様を登場させるのは違うしなぁと悩みました。
◆そこで、今回登場するのは前作から引き続き、〈福の神〉に〈八咫烏〉〈お地蔵様〉に〈貧乏神〉、〈死神〉に〈九十九神〉。そして新しく〈天狗さま〉と〈お稲荷さん〉〈戌の日〉に〈風神〉に〈女神様〉というラインナップです。物語も、前作とは少し趣を変えて展開してみたつもりです。そして最後にもうひとつ、神様と言えるかどうか微妙だけどけっこうメジャーな方を登場させて、前作文庫判から引き続き読んでいただいている皆さんにおまけ的な短編も入れてみました。愉しんでいただけるのではないかと思います。
◆神様は、いますかね。神様が本当にいるのなら、こんな世の中を放っておかないだろう、と、僕も思います。でも、まるで神様が仕組んだような偶然や、奇跡みたいな出来事って、ありますよね。僕も六十年の人生でいくつかそういうのを見てきたり経験したりしました。
◆お盆にはご先祖様に手を合わせて、初詣に神社に行って手を打つ。あめつちの恵みに感謝して、いただきますとごちそうさまを言う。悪いことをしたらバチが当たるよ、お天道さまは見ているんだからね。そういうものは、確かにきちんと生きていくよすがになると思います。
◆神様、世界中の子供たちが笑顔で暮らせますように。

『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』が文庫になります。2021年08月06日

◆未曾有の酷暑に襲われている北海道。もうほとんど開拓始まって以来ぐらいのとんでもない暑さが続いていて、農作物への影響は被害甚大。いや本当にマジでツライですよ。何せエアコンないですからね。そもそもエアコン(クーラー)なんて必要がない夏だった北海道ですから、一般家庭への普及率はたぶん多くて3割程度じゃないかと。で、我が家もないです。室温30度の部屋で原稿書くのはマジ無理です。それでもここ10年ぐらいの訪れる猛暑のことを考えると、来年はエアコン導入かなぁと考えています。もう還暦の老人だしね。猫もいるしね。
◆そんなときに届いた見本。『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』(祥伝社文庫)です。〈マイ・ディア・ポリスマンシリーズ〉の第3弾が文庫になります。8月の10日過ぎには書店さんに並び始めるのではないかと思います。
◆さて、交番のお巡りさんと女子高生の可愛らしいラブストーリーなんかいいかしら、なんていう打ち合わせで始まった〈マイ・ディア・ポリスマン〉なのですが、思いがけず好評でシリーズになり、第3弾まで書けました。基本的には事件が起こらずだいたい交番で全部済ませてしまうという話ですので(そうしないと話が拡がってしまい、主要キャラが活躍できないので)、今回も大きな捜査とかそういう話になりません。
◆マンションの一室が暴力団の事務所になっているんじゃないかという電話が交番に入り、とりあえずマンションへ確認に向かった宇田巡査。監視カメラの映像などを確認するとそこには意外な人物が映っていて……一方、天才的な掏摸の才能を持つ漫画家のあおいは、オレオレ詐欺の現場を目撃し、思わず犯人とおぼしき人物からあるものを掏摸ますが……という感じで話が始まり、いろんな人物がそこに錯綜していき話が展開していきます。ドローンをあやつるカツヤとケイの二人組ももちろんレギュラーとして活躍しますし、今回はあおいのお父さんも重要な役割を演じます。これまでのシリーズ同様、やわらかい雰囲気のお巡りさんと仲間たちの物語を愉しんでいただけたら嬉しいです。
◆一応、シリーズはこれでいったん終了です。もしまた書くことがあったなら(つまり突然売れちゃったりしたらヽ( ´ー`)ノ)、新しい展開になるのではないでしょうかね。宇田巡査がどこかに移ったりするとか、刑事に復帰するとか、そんな感じでしょうか。
◆さて、ワクチン接種二回目も済ませました(私は心臓病を持っているので基礎疾患の優先で予約できたのです)。私が住む江別市の集団接種で済ませましたが、会場のスタッフの皆様はとてもスムーズにそして気持ち良く運営してくださっていました。医療関係、運営関係の皆様に感謝を。

文庫新刊『隠れの子 東京バンドワゴン零』が出ます。2021年07月10日

◆やや雲が多めの日。しばらくの間は湿度高目の日が続くとか。それは勘弁していただきたいのだがしょうがない。
◆今月中旬に発売予定の文庫新刊見本が届きました。『隠れの子 東京バンドワゴン零』(集英社文庫)です。文庫オリジナルですので単行本はありません。
◆初めての〈江戸時代劇〉です。まぁ時代小説と言ってしまうのは何か恐れ多い気がするのですが、江戸時代ものですね。
◆そもそもは以前の文庫担当編集さんから「小路さん時代劇好きでしょ? 文庫オリジナルで江戸もの書きませんか?」と言われて「よっしゃ書きますか!」と言ったのですがいっこうに書けずに幾星霜過ぎまして、集英社の皆さんと集まって会食をしている席で〈小説すばる〉の編集さんが「小路さんそれならうちで連載にしません? 連載にしたら締切りあるから書くでしょ?」となりまして、〈小説すばる〉に『隠れの子』というタイトルで連載したものです。
◆時代的にはいわゆる化政文化の頃。化政文化とは江戸時代後期の文化文政時代(1804年~1830年)を最盛期として、江戸を中心として発展した町人文化のことです。この時代を主な背景としています。まぁ概ね1830年頃、徳川家斉が将軍の頃と思っていただければいいです。物語の語り手は四人。三河島で植木屋を営む神楽鉄斎のところに住む〈るう〉という少女。そして神田佐久間町で秣商を営む〈遠州屋佐吉〉、牢屋同心の〈日下安左衛門〉、そして北町奉行定廻り同心〈堀田州次郎〉です。写真の表紙になっているのが〈るう〉と〈堀田州次郎〉です。この二人が一応主人公になります。私の本を読んでいただいている方と、タイトルにも〈東京バンドワゴン零〉とありますからもうおわかりですね。この〈堀田州次郎〉と〈るう〉こそが、後の〈東京バンドワゴン〉を開く〈堀田家〉のご先祖様、という設定です。そう書くと「おや堀田家の先祖は確か江戸の頃は町人とか書いてなかったか?」という記憶力の優れた方もいるでしょうか。その辺は、ひょっとしたらこの先でまた続きを書くことになるやもしれませんので、後のお楽しみということにしておきましょう。
◆そして、もちろんご先祖様の話ですから、現代の〈東京バンドワゴンシリーズ〉に関わるものは一切出てきませんので、シリーズを読んでいなくても大丈夫です。
◆物語は、三河島の植木屋〈神楽屋〉で働く〈るう〉(おるう、と呼ばれています)が、〈隠れあそび〉がまた出ているかもしれないからその始末を頼むよと主である鉄斎から言われるところから始まります。おるうが向かう先は神田佐久間町にある煙草屋の〈菅季屋〉。そこの一人息子がどうも〈隠れあそび〉をしているらしいとのこと。おるうはその子を助けるために一人〈菅季屋〉へ向かうのですが……。〈隠れ〉と呼ぶ、ある力を持つ者たち、その力を闇に落とした者たち。〈堀田州次郎〉は同心として自分の継父を殺したやもしれぬ者たち、そして江戸の闇を生きる者たちを〈遠州屋佐吉〉〈日下安左衛門〉、そして〈おるう〉の力を借りて追って行くことになります。
◆正直書いてしまうとタイトルは連載時は『隠れの子』でした。発売に際して営業さんの方から「堀田家のご先祖様という設定があるならタイトルに東京バンドワゴン付けられませんか? その方がウリになるんで……」となりまして(^_^;)、まぁぶっちゃけそうだよなぁ、と思い切って〈東京バンドワゴン零〉とサブタイトルを付けました。もしも売れたら続きを書けますし、なんだったらこの後の江戸・明治・大正と続く〈堀田家ご先祖様〉シリーズとしても書けるかもしれません(昭和は通常のシリーズ番外編でイケますからね)。どうかよろしくお願いします。
◆初めての時代小説は、いやぁやっぱり大変でした(^_^;)。どこまで江戸時代の味を出せたかはわかりませんが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

単行本新刊『明日は結婚式』が出ます。2021年07月03日

◆何日か湿度が高めの日が続く北海道我が家近辺。それでもずっと窓を開けていられる気温が続いて、今季初の蚊取り線香も焚いた。そんな日に届いたのは、今月中旬に発売予定の単行本新刊『明日は結婚式』(祥伝社)です。
◆もう還暦になった年寄りなのでいろんなことを忘れがちです。確か、この物語を書くことになったのは、担当編集が変わって新しい編集ガールさんに、次はどんな物語を書きましょうか、と打ち合わせしたときに、「テレビドラマにもなった『娘の結婚』(祥伝社)のような、結婚にまつわるお話はどうでしょうか!」と勢い込んで言われて「あ、じゃあそうしますか」といつもように軽く答えたのでした(大体僕の最初の打ち合わせはそんな感じです)。
◆さて、じゃあどんな結婚の物語にしようかと考えたときに、すぐに頭に浮かんできたのは〈結婚前夜〉という言葉でした。それがフックになって、すぐに登場人物たちの姿が浮かび上がってきました。まさしく結婚前夜の新婦側の家族、そして新郎側の家族。明日には親類関係となるその二つの家族のそれぞれの〈結婚式の前の夜〉を描いていけば、それはしっかりとした物語になるのではないか、と。
◆結婚経験のある皆さん、〈結婚式の前の夜〉はどんなふうに家族と過ごしましたか? 書き始める前に自分のことを思い出そうとしたのですが、なにひとつまったく浮かんできませんでした(^_^;)。それもそのはずで、僕の場合は結婚前に既に二人で暮らしていたので、家族とは過ごしていなかったのですよね。そして故郷には住んでいなかったので、むしろ父母たちが時間通りに札幌に来られるかなどという心配などしていました。
◆物語で結婚するのは、実家がパン屋さんを営んではいますが、本人は本の装幀デザインをしているデザイナーの新郎。そして実家はごく普通の会社員の家庭で、本人は信用金庫に勤める新婦です。新郎の職業こそ多少特殊ではありますが、ごくごく普通の一家に生まれた普通の二人です。それでも、家族たちにはそれぞれ人生のあり、それぞれの出会いと別れがあり、家族を築いてきました。大事な息子や、最愛の娘が結婚する前の夜。祖母や、祖父や、父や、母や、妹や、弟たちが、どんなふうに思い、どんなことを考えて結婚式に向かったのか。楽しんでいただけたら嬉しいです。

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