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Diary

『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』発売です2018年04月26日

◆東京は暑い。
◆明日は三省堂有楽町店さんでサイン会があります。詳しくはこちらで。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
◆前乗りで東京に来ているのでまだ見本を手にしていないのですが、単行本新刊『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』(集英社)が発売になっています。シリーズ第13弾になります。13年もひとつのシリーズを書き続けていられるなんて本当に凄いことで、この物語を愛してくれている皆さんのお蔭です。いつも言っていますが感謝しかありません。
◆今回のタイトル(タイトルといつも言ってますが実はサブタイトルなんです。タイトルはあくまでも〈東京バンドワゴン〉ですから)〈ヘイ・ジュード〉はもちろんご存知の通りビートルズの名曲です。ひょっとしたら今までのシリーズサブタイトルの中でもっとも短いものになったのではないでしょうか(^_^;)。ビートルズ関連の本を紐解くと、ジョン・レノンが離婚騒動のときに、息子ジュリアン・レノンに向けてメンバーが作った歌だとか。歌詞の内容も年長者が若者を励ますようなものになっています。これを、父から息子への歌と解釈することで、今回のタイトルに使おうと決めました。と、言いますのも、今までの〈本編〉の物語の流れの中で、父と息子の別れの時期が偶然二つも繋がったからなんです。全体的に、父と息子、男と男の物語が全面に出た感じになっています。〈別れ〉を扱っただけで、少ししんみりした静かな一冊になったのではないかと思います。この辺りのご挨拶はいつものように〈東京バンドワゴンシリーズ〉の公式サイトも併せて読んでいただければと思います。
◆13年も続けば当然皆は年を取っていきます。小学生だった花陽と研人も十代後半になってきましたし、紺も四十代です。なので、少し若返りを狙って新たな若きレギュラー登場人物も今回は増えます。だからと言って年寄りは静かに消えるわけでなく、また次回以降若い者にはまだ負けんとばかりに活躍する予定です。愉しんでいただければ嬉しいです。
◆〈ホームドラマ〉は家族がそこにいる限り、日々の暮らしが続いていきます。今回の物語も、そしてこれからも続くであろう堀田家の日々が、皆さんの生活の憩いになってくれればいいなと思います。どうぞよろしくお願いします。

空を見上げる古い歌を口ずさんでから15年の日々2018年04月22日

◆晴れ上がった気持ちの良い一日。
◆もうそろそろ暖房がいらなくなる(まだ夜は少し冷えるので点ける)。昼間は窓を全開しても寒くはない。あと一月もしたらずっと窓を開けていられるだろう。いい季節がやってくる。
◆15年前の2003年4月にデビュー作『空を見上げる古い歌を口ずさむ』(講談社)が出た。メフィスト賞を受賞した作品だ。それから丸15年経った今でも僕は専業作家として暮らしていられる。すべて、執筆依頼をしてくれる編集者さんと本を置いてくれる書店さん、購入してくれる読者の皆さんのお蔭だ。本当に感謝しかない。
◆デビュー作はまったく売れなかった。いろいろあって二作目『高く遠く空へ歌ううた』(講談社)が出たのも翌年だった。それも売れず、それでも「次はぜひうちで書いてください」と依頼してくれた編集さんのおかげで本を出すことはできたけれど、軒並みまったく売れないで二年が過ぎた。当然生活は苦しくて講師などをして凌いではいたけれども正直親子四人の暮らしは限界に来ていた。どこかの会社に正社員として就職し直さないと生活の建て直しはできないと考えていた三年目の春に『東京バンドワゴン』(集英社)が出た。ゲラの段階から評判は良かったのだけど、出版されて一週間もしないうちに重版が決まった。さらに一ヶ月もしないうちに三刷が決まり、その後も続々と重版がかかった。『本の雑誌』のベスト10に入ったりキノベスの3位に入ったりして、インタビューや何やらで忙しく東京に通う日が続いた。
◆そして同時に、それまでまったくなかった〈連載依頼〉が続々と舞い込んできた。今でも覚えているけれど、定宿にしたホテルのレストランに朝から晩まで僕は同じ席に座っていて、立て続けにやってくる編集さんと五本打ち合わせを連続でこなしたこともあった。その年に、ようやく専業作家としてやっていける年収になった。
◆小説家になりたいと思ったことは一度もなく、30歳の誕生日に「自分の作品を作りたいけれどミュージシャンにはなれない。ならば、小説家しかない。小説家になろう」と決めた。それから初めて小説を書き始めた。誰に教わることもなく、ただ〈書ける〉という自分の感覚に従って。それからずっと自分の感覚だけを信じてずっと書いている。性格なんだろうけど、試行錯誤はあまりしない。取材もほぼしたことがない。書き始めたら最後まで一気に書く。たとえば10ページ書いたけど全然ダメだ、と全部消して書き直すなんてこともほとんどしたことない。頭に描いたラストシーンまでの道筋をただひた走る。道は間違っていないという自分の感覚だけで。
◆デビュー前、新人賞の応募者だった僕のことを見てくれていた集英社のCさんが、最終選考で何度も落ちた僕に葉書をくれた。そこには『小路さんの作品は正しいです。間違っていません』とあった。その言葉を胸に書き続けた。そのCさんは『東京バンドワゴン』の最初の担当編集さんだ。Cさんがいなければ『東京バンドワゴン』は世に出なかった。重版が掛かり、その年の終りのあるパーティで顔を合わせたときに、思わず二人で抱き合ってしまった。「良かった。本当に良かった」とCさんは僕の背中を叩いてくれた。
◆今も、Cさんの言葉を胸に書き続けている。自分の書くこの物語の道筋は正しいんだと信じて。
◆いやぁ本当にね。15年も書き続けていられるなんて本当にありがたいです。前職の広告制作会社には14年在籍したので、〈小説家〉がいちばん長く続けている職業になりました。死ぬまで小説家でいると思います。
◆あ、でも喫茶店の頑固オヤジにもなりたいんですけどねヽ( ´ー`)ノ

『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン』文庫です2018年04月19日

◆東京はいつ来ても暑いって毎回言ってますが、札幌も今日は20度になったとか。いいねぇ。
◆『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン』が文庫になりました。〈東京バンドワゴンシリーズ〉としては第11弾、そしてシリーズ10周年を迎えた年の本になります。
◆10周年に出す本だったので担当編集さんと少し特別なことをしましょうかと話し合って、今までも実現していなかった勘一の〈海外ロケ〉(^_^;)を敢行しました。勘一の年齢からしても、これが本当にギリギリだったのではないかというタイミングです。どこへ行こうか考えた末にやはりここはイギリスの古本屋のメッカであるロンドン・チャーリングクロス街ではないか! と。堀田家はマードックがイギリス人ですし、何かとイギリスに縁がありますからね。どんな顛末の物語になったかはどうぞ本編で楽しんでいただけると嬉しいです。
◆この辺り、単行本で出た際のご挨拶はこちらの〈東京バンドワゴンシリーズ〉のサイトで見られますのでぜひどうぞ。
◆そして13冊目になる単行本『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』(集英社)は26日頃に発売予定です。文庫本も単行本もどうぞよろしくお願いします。
◆シリーズはこれからも続けていける予定になっています。仮に打ち切りになってもそのときにはきちんとした形で最終刊だけはしっかりと刊行できると思いますよ(^_^;)。
◆お伝えしているようにサイン会は27日に予定されていますが、それとは別に単行本はサイン本を作ります。どこの書店さんに入るかはちょっと僕はわからないんですが、もしもお近くの本屋さんに入りましたらこちらもよろしくです。
◆〈東京バンドワゴンシリーズ〉の話題の中に紛れてしまいますが『踊り子と探偵とパリを』(文春文庫)が5月10日に文庫化されます! 1920年代のパリを舞台にして恋と冒険とミステリーを歌と踊りで彩ります。大好きなミュージカルを物語にするつもりで書き上げました。お願いばかりになっちゃいますけど、本当にこちらもよろしくお願いしますね。

サイン会があります2018年04月12日

◆暖かい一日だったけど夕刻から強い雨。
◆昼間の陽射しの強いときに窓を全開してみた。まだ少し風が冷たかったけど、気持ちよかった。もうすぐ窓を全開してずっといられる季節がやってくる。外から鳥たちの声や子供たちの声、風が過ぎる音などが聞こえてくるのは本当に気持ちが良いのだ。
◆そろそろタイヤを交換する時期だ。スタッドレスタイヤから夏タイヤに換えると車の足が軽くなった気がする。最初に乗った車は三菱ジープだったのだけど、あの車は特にそうなんだけどハンドルとタイヤが直結してるのが本当によくわかった。車の挙動が直に手に伝わってきて、路面状態も文字通り手に取るようにわかった。今の車は全然直結してる感じがしない。少し味気ない気もするけれど、その代わりに運転しやすさや安全性はとんでもないぐらいに凄い。何せちょっと変な運転するとすぐに〈ピピッ!〉と怒られるのだ。しかも勝手にハンドルを動かして真ん中に寄せられるのだ。ちょっと近所に買い物に行くだけで何度も〈ピピッ!〉と怒られてしまう。あの電子音を女性の声で〈ダメよ!〉と言ってほしいぐらいだ。何だったら〈このくそったれ!〉と罵倒してほしいぐらいだ。ご褒美かよヽ( ´ー`)ノ
◆今の若者は車にまったく興味がないって話で、実際うちの息子二人も車には興味がない(次男はバイク好きみたいだけど)。実は僕も若い頃から車に興味はなかった。免許も当時付き合って彼女に「ドライブ行きたいな」と言われて初めて「じゃあ免許取るかなぁ」とかなり消極的な理由だった。常に車を持ち続けているのはもちろん家族のためだった。今も好きで乗っているわけじゃないので、用がなければほとんど運転しない。しかも近頃は夜の運転が怖いので夜は親でも死なない限りは運転しないようにしている。もしも完全な自動運転システムができあがったら真っ先に試すかもしれないな。
◆オチのない話になってしまった。『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』の刊行記念のサイン会を開催してもらえることになりました。東京で三省堂有楽町店さんです。詳しくはこちらから。書店さんの迷惑にならない程度のお客様に集まってもらいたいので、どうぞ皆さんよろしくお願いします。

どんな仕事でも、それは誰かのためになっている2018年04月07日

◆冷たい雨が降った日。
◆もちろん僕は野球ファンであり北海道日本ハムのファンだから大谷くんをずっと見てきた。そのマンガを超える活躍を目の当たりにして「底が知れん!」と何度叫んだことか。本当に彼は凄いんだ。50年間プロ野球を見続けているけれど、彼のような選手は初めてだ。僕自身はピッチャーよりバッターとしてやった方がいいと思っていたからメジャーに行っても打つ方は心配ないとは思っていたけれど、まさか、だ。現時点で三試合連続ホームラン。わかっていたのに、驚かされる。そして大谷くんの笑顔が日本にいるときより生き生きしているように見える。子供のときからの目標だったメジャーの世界に立つことができて本当に嬉しいんだろう。きっとまた僕らの想像をはるかに超える活躍を見せてくれるに違いない。
◆フィギュアの羽生くんといい大谷くんといい、同じ世代で世界を驚かせる才能がその翼を羽撃かせるのを見るのは、本当に嬉しい。気持ちがいい。まだこの日本も捨てたもんじゃないと思える。強いて長生きしたいとは思っていないけれど、こういう若者たちの凄い活躍を見られるんだったら、長生きするのも悪くないなと思える。
◆写真は大好きなミュージシャン中山うりさんの新譜〈カルデラ〉。
◆才能ある人を羨むことはある。僕もミュージシャンになりたかったけど才能がなかった。それを高校時代に周りのアマチュアミュージシャンたちに思い知らされた。僕には何ができるんだろうと悩んだ時期もあった。広告制作会社に入っても、同僚のコピーライターやデザイナーたちは皆僕よりも凄い人ばかりだった。だから、自分にできることを一生懸命やって、毎日勉強して、少しずつできることを増やしていって、給料分の仕事ができるようになって、そして自分の楽しみのために給料を使えるようになっていって。
◆どんな仕事でも、それは誰かのためになっている。自分の暮らしを豊かにするために働けば、それは誰かのためになっている。生きるってことは、同じ時代に生きている知らない誰かと一緒に暮らしているってことだ。お互いに毎日楽しく過ごしていくためにそれぞれの場所でそれぞれにできることをやっているんだ。そうやって皆が互いに幸せになるために過ごしていく。
◆だから僕は、知らない誰かを遠いところから罵倒したり威圧したりする人間を一切信用しない。たとえそいつがどんなに社会的に成功していようとも。

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