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Diary

『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』が出ます。2021年04月18日

◆小雨が降る中、今月末に発刊予定の単行本新刊『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』(集英社)の見本が届きました。
◆シリーズ第16弾になる今作は本編ではなく、4年に一回の〈番外編〉です。〈東京バンドワゴン〉は常に巻末で結んでいるように〈あの頃のホームドラマ〉へ捧げた物語です。なので本編は週に一回の一時間ドラマを常に意識して書いています(春夏秋冬ですから4本分ですね)。でも、〈番外編〉は年末とかお正月に放映される〈二時間スペシャルドラマ〉のつもりで書いています。
◆シリーズ第16弾、4本目の番外編スペシャルドラマとして、さて堀田家の先祖である〈堀田草平事件帖〉とか〈堀田達吉冒険譚〉とか、あるいは学生だった頃の紺たちの話とか、いろんなネタがある中でどんな話にしようかと編集さんと話したときに、イギリスネタがいいのではないかと。コロナ禍の中、旅行も自由にできず人と逢うことさえ躊躇われる日々が続いているので、せめて物語の中で海外などを、と。本編で藍子とマードックがイギリスで暮らしている最中に、二人のイギリスでの暮らしぶりを描きたいなぁとはネタとして考えていました。ならばそれでいきましょうと。
◆ただ、イギリスでのお話となると、まさか堀田家全員をイギリスに連れていくわけにもいきません。かといって、藍子とマードックだけでは、なんだかのんびりほのぼのとした二人だけの静かな暮らしぶりを伝えるだけになってしまって物語が動きません。ならば、ここは若い連中に海外に旅立ってもらおう! と、研人たち〈TOKYO BANDWAGON〉のメンバーに、ロンドンでのレコーディングを用意しました。そして、藍子とマードックは二人とも画家ですから、絵画絡みの事件を盛り込んでいけば、皆が揃って動けるのではと。
◆研人たちが喜び勇んでロンドンにやってきたのはいいですが、盗難絵画をめぐる事件に何故かマードックが巻き込まれてしまい行方不明になるという事件が起きてしまいます。まったくわけがわからない中で、東京にいる勘一たちとも連絡を取りなんとかマードックがいなくなった理由を探そうとします。そしてサチも、東京とロンドンを一瞬で行き来できるその身を使い自分にできることはないかと思うのですが、マードック家を訪れていたスコットランドヤードの人間が何故かサチを見ていることに気づき……。
◆いつもの堀田家とは違うメンバーと一緒に活躍するサチですが、実は今回主役は藍子でもマードックでも研人でもなく、サチと言ってもいいぐらいです。普段は語り手としてしか存在していないサチですが、今回は動き回り喋りまくりその存在感はまさしくヒロインです。どうぞ手に取って確かめてください。
◆もう間もなく、〈東京バンドワゴン〉サイトにも同じように紹介文が載ると思われます。そちらでも言及していますが、毎回読者と同じように歳を取って行く堀田家ですが、実はリアルタイムではなく、本編の最後の季節がいつも被ったり(つまり二冊で二年ではなく一年十ヶ月ぐらいしか経っていない)、番外編を挟んだりしていますので、厳密に計算すると皆さんより数年前の時間を生きています。いまだコロナ禍は〈東京バンドワゴン〉には訪れていません。また来年から続く本編で、どのように堀田家が生きていくかはこれからじっくり考えます。そして、昨年と同じように、今回も新刊記念のサイン会はなしになりました。安心して皆さんが集まれるようになったときに、また開催できればいいなと思っています。
◆それこそイギリスでは現在はワクチン接種が進み、日常が少しずつ戻ってきているとの報道もありました。日本ではようやく始まったばかりで、まだまだ先の話になりそうです。私たちにできることは、とにかく感染防止に努めることです。苦しい状況が続くことには違いないのですが、その中でも、この物語が少しでも皆さんの心の安らぎになればいいなと思います。
◆どうぞ堀田家を今回もよろしくお願いします。

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