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Diary

『壁と孔雀』が文庫になります2017年02月18日

◆曇り後晴れ。比較的穏やかな天候。
◆相変わらず締切りに追われている。もう少し前だったら余裕のはずなのにやはり集中力が落ちている。十年前なら一晩で余裕で書き上げられた原稿に四苦八苦して丸二日掛かったりするのだ。悲しいったらありゃしない。
◆さて、2014年に早川書房さんから出してもらえた『壁と孔雀』が今月末に文庫で発売されます。そして巻末おまけとして2008年の〈ハヤカワミステリマガジン〉に掲載されたエッセイ『私の本棚 母はミステリ、父はデザイン』を載せていただけることになりました。いやー、自分でも懐かしかったです。今はがらりと変わってしまった9年前の私の本棚の様子も写真で載っています(9年前の私も)。
◆この『壁と孔雀』は、ハヤカワミステリマガジンさんでの二回目の連載として掲載されたもの。何せミステリマガジンですから、ミステリを書かなければなりません。そして私はミステリが大好きで大好きでたまらないのですが、いざ自分で書くとあまりにも自分の中の理想が高過ぎて何だかそれにまったく追いつかない結果として〈ミステリ的〉なものになってしまっているのではないかと反省至極の毎日です。
◆エラリィ・クイーンが大好きなのです。本当に好きなのです。中でも〈ライツヴィルシリーズ〉が本当に大好きなんです。だったら一度〈憧れのライツヴィルへのオマージュ〉を書いてみてもいいんじゃないかと、とにかく舞台設定だけは日本のライツヴィル的なものを用意しました。クイーンの〈ライツヴィル〉はもちろんアメリカの古き良き田舎町という設定です。そして北海道も日本の中でも実にアメリカ的な開拓された土地です。開拓という言葉が似合うのは日本では北海道だけでしょう。そういう北海道の〈来津平町(らいつびらちょう)〉が舞台です。ちなみに北海道では〈平〉が付く地名はたくさんあります。〈ピラ〉というのはアイヌ語で〈崖〉を意味していて、そのピラがつく地名のところが〈平〉という漢字が当てられたようです(豊平とか平取とか糠平などという地名があります)。
◆警視庁のSPである主人公が、怪我の静養と墓参りを兼ねて初めてその故郷である〈来津平町〉を訪れるところから物語は始まります。楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆なお、装幀のイラストですが、単行本と同じものを使っていますが実はイラストレーターの丹治さん、ちょこっとだけ手を入れたそうです。どこが変わったかも確かめてみてください。

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