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Diary

あぶない男と、あやうい女2017年02月10日

◆曇ったり晴れたり。穏やかな天候。
◆高校生の頃からいわゆる〈水商売〉の世界に親しんできた。ここでも何度も書いているけれど、飲み屋街でおつまみの配達のバイトを始めたのがきっかけだ。それ以前に喫茶店の常連だったし、音楽をやっていたのでライブハウスにも出入りしていた。コンサートの打ち上げで飲んで朝帰りなんてのも普通だった。まぁなんというかそんな時代だったんだよ。もちろん普通の真面目な高校生はそんなことしていなかったんだろうけど、少なくとも僕の周りは(音楽をやっている連中は)それが普通だった。
◆二十歳を過ぎてからはススキノ近くの喫茶店や飲み屋でバイトもしたので、自然とススキノに知り合いも増えていった。バイトが終わってから皆でその店に飲みに行くのも普通だった。当然のようにススキノには〈あぶない人〉もたくさんいた。人間ってのはすごいもので、そういう環境に置かれるとどんどん〈その人がどういう人か〉っていうのが肌でわかるようになっていく。それに対しての回避能力も養われていく。それは、男性に対してもそうだけど、女性に対してもだ(〈あやうい女の子〉と〈あぶない女の子〉はもちろん違うんだけど、その辺の話をしているとめっちゃ長くなるので割愛)。
◆若い女の子をカウンターの向こうにしてお喋りしていると「あぁこの子は〈あやうい〉な」とわかる。そういう子に限って、やっぱり〈あぶない男〉に近づいてしまう。そして〈あぶない男〉は元々そういう匂いを嗅ぎ分ける能力に長けている(だからあぶない男になるんだけどね)。夜のバイトをしていて、何人もの若い女の子(つまり自分と同年代の女の子)が、あぶない男につかまってどんどん堕ちていってしまうのを見てきた。
◆あれは、止められないんだ。本当に。親しい常連の女の子にはそれとなく注意したり、本気でアドバイスしたりするんだけど、人が心に思うことなんか止められない。心に灯った灯を消すことなんかできない。そうやっていつの間にか来なくなったり、気づけば夜の世界に入っていった女の子はたくさんいた(まぁ僕自身もある種のあぶない男の一人だったので偉そうなことも言えなかったんだけど)。
◆一人だけ、本気で止めて、わかってくれた女性がいた。詳しいことは言えないけど、マスターと僕と同じバイトの三人で何度も話し合って、ある雨の夜にドラマのように街の中を駆け回って(少し大げさだけど)救い出したことがある。何年か経ってその女性が幸せな結婚をしてお母さんになったことを三人で喜んだ。もう三十年以上も前の話だからあの女性は今頃おばあちゃんになっているかもしれない。
◆写真の野田彩子さんのマンガ『潜熱』を読んで久しぶりにそんなようなことを思い出した。
◆まだ、自分の作品にしていないことはたくさんある。いつか書けるかもしれない。

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