SHOJI YUKIYA OFFICIAL SITE sakka-run:booklover’s longdiary since 1996.12.18

Diary

いつまでその泥に蓋をしたステージで踊るつもりだい?2016年11月04日

◆今日も一日曇っていた。この時期はだいたいいつもこんな感じです。otonaha
◆レコードなんちゃらを一億円で買ったというのをぶんしゅんほうなんていうので記事になったとかで、それなのに各テレビ局や新聞は一切それに触れないとかなんとかでまたそういう話かよって。でも、あら、私たち庶民は何十年も前からその話は知っておりましたわよ。最優秀新人賞と最優秀歌唱賞とレコード大賞は大きな芸能事務所がお金で買うんでしょ? しかも毎年持ち回りで。誰に確認したわけじゃないけどみーんな言ってたわよ。
◆小芝居はこれぐらいにして、その手の話はたぶん僕が小学生ぐらい、つまり40年以上も前から言われていたことだ。どうしてそんなふうに言われるかって言うと、〈明らかにそうじゃない人が賞を獲っている〉からだ。で、テレビを観ながら大人たちは「どうせ金だろう。そんな世界さ」と言うわけだ。で、僕たち子供たちは「大人の世界はそういうものか」と思っていたわけだ。いやホントの話。
◆ありがたいことだ。幼い頃から僕たちはテレビで大人の世界を勉強させてもらっていたわけだから。お陰様でこんな時代になって初めて〈領収書〉というショッキングな具体的な証拠があげられてもまったく動揺せずに話題にもしないどころか次の瞬間には忘れて日々を過ごしていける。
◆つまりきれい事じゃあ大きな商売なんかやっていけない、っていうのが戦後ずっと綿々と受け継がれているわけだ。もはや伝統芸と表現しても差し支えないだろう。小説家としては非常にありがたい。何せ光と闇の両方がなければ僕らとしてもネタが確実に減ってしまう。噺家は世情のアラで飯を食い、と言ったのは誰だったか。小説家も同じようなものだ。
◆だからといって、怒りや憤りを忘れるわけじゃない。真っ当に生きる人たちの苦しみや悲しみをせめて慰めるために芸はある。私たち創作家の存在意義がある。小説も映画もマンガも落語も何もかもそうだ。ちゃんと働く人たちが真っ当に稼いだなけなしのお金で芸を買ってくれるから私たちは飯を食っていける。
◆音楽も、そうなんだぜ。お前たちはいつまでその泥に蓋をしたステージで踊るつもりだい?

ページトップへ