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Diary

そのポーの一族によせて2016年02月26日

◆朝までに降った雪が20センチほど。poe
◆二日連続でそこそこ雪が降って、極端に少なかった積雪もなんとなくこの時期はこんなもんか、というぐらいになっている。やっぱり冬の野郎はきっちり帳尻合わせてくる。
◆どこかのテレビ局が『ポーの一族』を原案にしたバンパネラ(吸血鬼)の一族が絡むサスペンスドラマを制作すると発表した。主演はSMAPの香取慎吾くんだそうだ。香取慎吾くんがサスペンスドラマの主人公をやることは良いと思う。もう20年も前の『沙粧妙子 – 最後の事件 -』で見せたあの演技から僕は香取慎吾くんの演技が好きだ。そして不老不死の吸血鬼の一族がそこに絡んでくるのもいいだろう。そもそも〈不老不死の吸血鬼の一族〉それ自体がもう〈定番の設定〉だ。香取慎吾くんがどのようなバンパネラになってくれるのかは純粋に楽しみだ。
◆問題は、いや問題にすること自体こっちの勝手で申し訳ないのだが、何故名作『ポーの一族』を原案もしくはモチーフにした、と発表したか、だ。おそらくは作者である萩尾望都先生がそう言ってもいいと許可したのだからあれこれ言うべきものではないのだろうけど。
◆原作がどれほどの名作であるかを書き連ねることはしない。僕のバイブルと言ってもいいほどの漫画だ。写真は当時から持っているコミックス初版だ。もちろん今までに出された特装版やら何やらほとんどのものを僕は所有している。
◆萩尾望都先生の『ポーの一族』の実写化は(アニメ化はともかくも)、ハリウッド映画並みの豊潤な予算で外国人俳優を設定して大掛かりな長期海外ロケを敢行しない限りは不可能な作品。仮にそれができたとしても、原作漫画の持つ雰囲気、つまりは萩尾先生の絵柄から醸し出されるものを表出させるのは相当に困難。原作漫画を愛する人間ならそれは誰もが思っていること。共通の認識だと断言してしまう。
◆だから、〈『ポーの一族』を原案もしくはモチーフにしたバンパネラ(吸血鬼)の一族が絡むサスペンスドラマを制作すること〉それ自体が、『このドラマをやると判断したプロデューサーは本当に『ポーの一族』を愛しているのか? いや愛していないに違いない』と、勘ぐってしまうのだ。
◆良い方に解釈するのなら「あまりにも『ポーの一族』と設定が被ってしまうので、原作に敬意を表して原案・モチーフとさせてもらおう」ということで萩尾望都先生に許可を取ったのかもしれない。それならまぁなるほどしょうがないか、と頷ける。ドラマの内容は原作とかけ離れているから、頑張ってせめて永遠の時を生きる彼らの心の内を少しでも作品に込めてもらいたいと応援する。でももしそうではないのなら……いや、もう言うまい。決まって発表されてしまったことなんだから、せめて傑作ドラマになることを祈るしかない。
◆エドガー、おまえに。わたしのはるかなおまえに。そしてそのポーの一族によせて、と。

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