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Diary

『スローバラード』が文庫になります2020年01月30日

◆荒れそう、と言いながらも今のところ穏やかな日。
◆本当に今年は雪が少ないのだが、昨年のTwitterを確認すると2月にやたらと雪が降ったようだ。しかも大雪だ。そうだったらいやだなぁと。できれば少しずつ降って最終的にはいつもの積雪量になってほしい。雪も降らなきゃいろんなところが困るんだよね。
◆『スローバラード Slow ballad』が文庫になりますので見本が届きました。〈実業之日本社文庫〉です。〈ダイ・シリーズ〉の第4弾となり、これで『モーニング Mourning』(実業之日本社文庫)から『コーヒーブルース』、『ビタースイートワルツ』と続いてきた弓島大を主人公としたこのシリーズも一区切りになります。物語は、ダイの友人ヒトシの電話から始まります。ヒトシの息子である智一が東京に行くと書き置きを残して家出をしたと。何の心当たりもなく、さらには教頭という立場上仕事を休んで捜すこともできないヒトシのためにダイは自宅に下宿していた同じく友人ワリョウの息子の明を連れて、水戸のヒトシの家へ向かいますが、そこで発見したのは歌舞伎町での写真……。物語はさらに行方不明の高校生女子や傷害事件、淳平のストーカー事件など様々な様相を見せはじめます。そうしてダイたちは過去の自分たちと向き合うことになっていくのですが。という感じで進んでいきます。
◆そもそも『モーニング Mourning』を書いた時点ではシリーズ化などはまったく考えていなくて、続きを書いてみませんかと言われたときにさてどうしようかな、と。『モーニング Mourning』自体が過去と現在を行きつ戻りつする展開だったので、それじゃあ書いていない年代のダイたちを書いてみようかと始まったシリーズです。ダイもその仲間であるワリョウとヒトシ、淳平も僕と同い年『スローバラード Slow ballad』で現在の、つまり連載している当時の自分の年齢に追いつくことになったので、これで一区切りにしましょうと当時の担当編集さんと話しました。最後の物語はどうしようかと考えたときに、やはり『モーニング Mourning』に戻らなきゃならないだろうな、と。そもそも『モーニング Mourning』を書くときに考えたのは〈仲間たち〉の絆でした。それだけを書こうとした物語です。それならば、大学生だった彼らの絆を描いたのだから、最後は50代になって家族もいて社会的責任も何もかも抱えた大人になった、そしてそろそろ老いというものも感じはじめた彼らの絆を描かなければと思いました。だから、『モーニング Mourning』ではあえて描かなかった彼らの人生に大きなものを残したある人物のその後も、『スローバラード Slow ballad』ではしっかりと描いています。これだけを読んでも一応理解できるようにはなっていますが、男たちの30年間を描いているシリーズです。できれば、最初の『モーニング Mourning』だけでも先に読んでいただけると、より愉しめると思います。
◆計らずもシリーズになったものの、この〈ダイ・シリーズ〉はそれぞれのキャラクターに思い入れができました。今のところまだ予定は立っていませんが、別の形でダイたちのこれからも描いていきたいと思っています。

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