SHOJI YUKIYA OFFICIAL SITE sakka-run:booklover’s longdiary since 1996.12.18

Diary

『あの日に帰りたい 駐在日記』が出ます2019年09月14日

◆すっかり秋の気配が漂い始めた北海道。
◆ここの更新を途絶えさせてしまって随分経ってしまった。書くネタがないのもあるが、精神的に余裕もなかった。いや正確には余裕がなかったのではなく、余裕を作ろうとする余裕がなかったのか。それまでは上手くやっていた自分のエネルギーの振り分けを、執筆のこと以外にエネルギーを振り分けられなかったのだ。それじゃあいかんよなぁと反省している。これからまたここの更新もしていこうと思う。
◆そんなときに届いたのはおそらく今日ぐらいから出回る単行本新刊『あの日に帰りたい 駐在日記』(中央公論新社)です。前作『駐在日記』の続編ですね。シリーズになってしまいました。このシリーズは書き下ろしです。
◆時代は昭和50年、1975年から始まり、この続編では昭和51年になっています。僕の年齢に当てはめると14歳から15歳、中学生の時代の物語になっています。もちろんまだ携帯電話もパソコンも影も形もない時代。ようやくファックスが開発された頃でしょうか。その時代に、田舎の駐在所に自ら希望して、結婚したばかりの妻と一緒に赴任してきた警察官、蓑島周平と花が主人公です。語り手は妻の花。二人とも元々は横浜で、刑事と外科医でした。花が医師を辞めた理由になった事件で知りあい、結婚したのです。舞台はそのまま神奈川県の山奥の土地ですね。モデルにした地域はありますが、基本的には架空の田舎町です。
◆今の時代では限界集落とも言われるであろう田舎町ですから、駐在所に大きな事件などやってきません。前作でも窃盗やらなにやらの小さな事件は起こりますが、基本的にはその場で解決してしまうような小さなものばかりです。今回も、〈落とし物〉や〈逃亡犯〉〈霊能者〉に〈銃弾〉と、タイトルはなかなか物騒な話っぽくもなっていますが、全部駐在である周平の判断で、事件とはしないで済ましてしまうものばかりです。警察小説と帯には書いていますが、まったく肩を張らずに気楽に読める物語です。
◆実はこの元刑事の駐在〈蓑島周平〉にはモチーフにした刑事がいまして、1975年に放映された刑事ドラマ〈俺たちの勲章〉に出てきた中村雅俊さん演じる刑事です。ドラマでは最終回に彼は刑事を辞めてしまうのですが、もし彼が刑事を辞めても警察官は辞めずにいたらどんなふうになるかなぁ、と思いながらキャラクター像を作り上げました(あのドラマが大好きで、続編を観たかったんですよ)。あ、それと、前作の最後に犬を飼うことになり、名前はミルというのですが、これは小路家の亡き愛犬の名前です。いつかミルをどこかの物語に出せたらなぁと思っていたので、ここで登場させられて良かったです。
◆作者の僕にとってもこの周平と花の夫婦は好きなキャラクターなので、続編を書けたのはとても嬉しかったです。さらにシリーズが続くといいなぁと思いますが、それは本の売り上げ次第(^_^;)。手に取って楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

ページトップへ