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Diary

覚えていないことがあるんだ2017年01月11日

◆晴れ。
◆あちこちで暴風雪など荒れている北海道だけど、我が家近辺は申し訳ないぐらいに穏やかな天候。実際、すぐお隣りの町はマジひどい吹雪。
◆覚えていないことがある。職業柄昔の思い出を辿ることはよくあるんだ。幼稚園から始まって小学校中学校高校予備校大学アルバイト初めての会社などなどなど。周りの人がびっくりするぐらい僕は昔のことをよく覚えていて、ひょっとしたらそれも小説家になれた資質のひとつなのかもしれないなぁと思う。
◆けれども、実は、とんでもないことを覚えていない。高校時代の修学旅行でのことだ。僕はどうやって北海道から津軽海峡を渡って本州に辿り着いたのかを、まったく覚えていないのだ。
◆時代的なことを考えるなら、今はもうない青函連絡船は充分ありうる。船旅だ。しかし青函連絡船に乗った記憶はまるでない。飛行機も確かにあったのだが、そして乗ったのならおそらくそれが初めての飛行機の旅だったはずだが、飛行機に乗った記憶もない。もっと言うなら、当時は国鉄だったJRに乗った記憶すらないのだ。本州に渡って乗ったはずの新幹線の記憶もない。写真はどうした、という向きもあるだろう。当時撮った写真はないのか、と。そう、さらに恐ろしい話をするならば、写真はある。しかしその写真は何故か〈京都〉で撮った写真しかないのだ。結論から言うならば、僕の高校時代の修学旅行の記憶は〈京都〉の記憶しかないのだ。その他の記憶(思い出)が一切ない。あぁ恐ろしい。一体僕はどうやって京都に行ったのか。そして他の都市は行かなかったのか。同級生に訊けば? だろうけど、実は僕はある事情で(語ると長い)高校時代の同級生と付き合いはまったくないと言っていい。なので、今もって僕は修学旅行でどうやって本州に渡ったのかわからない。
◆どうして覚えていないんだろうなぁ。別にイジメにあっていたわけでも友達がいなかったわけでもない。楽しく修学旅行を過ごしたはずなのに、まるで記憶にないんだ。不思議だ。
◆まぁそうやって振り返れば、小学一年生の記憶はけっこうあるけど、二年〜四年生の記憶もほとんどない(五、六年のはたくさんある)。人間は忘れるから人生を歩いていけるんだ、とはよく言うけれど、今の自分に必要ないから浮かんでこないんだろうととりあえず結論づけている。
◆いつかネタにしてみよう。

二十歳の頃の僕はといえば2017年01月08日

◆晴れたり曇ったり。穏やかな天候。
◆次男は本州の大学に行っているのだが、正月で帰ってきている。地元の成人式に出てから大学のある町に戻るそうだ。まぁ彼は僕と同じ四月生まれなのであと三ヶ月もすると21歳なのだが。同級生たちとさんざん騒いでまた大学に戻っていく。
◆成人式だ。新成人の皆様、おめでとうございます。
◆自分が二十歳の頃にどんなことをしていたかと考えると、長男も次男も随分と真面目な男のような気がする。たぶん、僕が普通の人よりもかなりろくでなしだったせいかもしれないけど。
◆喫茶店でバイトしていた。ライブパブでもギター抱えて歌いながらバイトしていた。体重がいちばん少ないとき48キロしかなかった。もちろん彼女はいた。たくさんいたような気もする。気のせいかもしれないけど。ミュージシャンになると思っていたけどたぶん無理だなとは考えていた。じゃあどんな仕事をしようかなんて考えたこともなかった。なんとかなるだろう、などとも思っていなかった。要するに何も考えていなかった。大学には戻る気はまったくなかった。年上の女性と付き合ったこともあった。後からその女性の結婚式で教会から出てくるところを遠くから見ていた。自転車を盗まれた。デザイナーズブランドが流行って、ヨージヤマモトとかCPカンパニーとかアニエスベーとか買い始めた。酒は体に合わないから飲まないようにしようと思い始めた。煙草はマルボロを吸っていた。毎日自分の部屋でサイフォンでコーヒーを落として飲んでいた。毎朝熱いシャワーを浴びるのが習慣になっていった。実家にはまったく寄りつかなかった。二人の姉にもほとんど会っていなかった。そういえば実家で飼っていた犬が死んだのもこの頃だ。
◆二十歳になったから何をしようとかは何にも考えていなかった。
◆つまり、どうしようもない二十歳だったような気がする。それでも振り返るとどうにかなってきた人生だから余計に性質が悪い。それらしいアドバイスなど何もできない。
◆皆さんの新しい日々が希望に満ち溢れたものでありますように。

好きにならずにいられない2017年01月05日

◆晴れたり曇ったり。
◆締切りは続くよどこまでも夜を越え昼を越え年越えて。本当にありがたいことです。
◆ところでもう前作を書いちゃってるので秘密でもないだろうからお知らせしますが、以前、山田洋次監督作品『家族はつらいよ』のノベライズをしました。するとですね、山田洋次監督が僕のノベライズをいたく気に入ってくださいまして、今年封切りの『家族はつらいよ2』も「ぜひ小路さんにノベライズを」と山田監督直々にご指名でして。はい、そりゃあもう書きます。忙しいんだけど断れませんヽ( ´ー`)ノ。書きますとも。もうすぐ締切りなんで急いで書きます。ですので『家族はつらいよ2』のノベライズも今年出ます。なんでしたら名作『男はつらいよ』も全部僕改めてノベライズしましょうかどうですか各関係会社さんヽ( ´ー`)ノ
(寅さん口調は〈ザンティピー〉で書いたし(^_^;))
◆好きな仕事だったらいつまでもやっていてもいい。それが会社員としての仕事であっても納得するまでやりたい。僕は広告制作会社の社員を14年間やってきた。独身の頃はほとんど毎日午後11時まで(ビルが11時で閉められる)仕事していた。泊まり込む部署もあった。もちろん制作の仕事の正規の残業代なんか出ない。バブルの頃だ。そんな感覚もなかった。何よりも、ほとんどがまだ二十代の若者ばかりの同僚たちだったから、熱かった。自分たちの才能を信じていた。仕事が好きだった。自分たちの感覚を表現できる仕事なんだから好きにならずにいられなかった。たとえバカなクライアントに振り回されても。社長に何度もダメ出しを喰らっても。
◆働くことが、好きだった。
◆今の社会の状況をどうこうじゃない。今も、好きで働いている人たちはたくさんいるはずだ。何もかもひと括りでまとめられるのは、単純に嫌だ、と、あの頃反骨精神に満ち溢れていた若者だったおっさんは今も思う。
◆世の中は金だ。それは間違いない。でも、金だけじゃないものもたくさんある。

春を待つ季節2017年01月04日

◆曇り。穏やかな天候。
◆皆様、明けましておめでとうございます。どうぞ本年もよろしくお願いします。
◆ようやく〈東京バンドワゴン〉シリーズの新作を書き終えて(まだ担当編集ガールさんが読んでいる最中でこれから「ここが変じゃないですか?」とか「ここはもう少し書き込んでほしいな♡」とかの直しが出てくるんだけど書き上げてしまえばこっちのもんだヽ( ´ー`)ノ)心安らかに新年を迎える気持ちになっている。
◆しかし毎年締切りはわかっているのに、どうしてちゃんとスケジュール通りに書けないのか。もうここ七、八年僕はまともにクリスマスも年末も正月も過ごしていない。来年こそは、きっちり書き上げてクリスマスと年末と正月を心安らかに過ごすのをまずは今年の抱負にしたい。
◆1月に入って、北海道はこれからが積雪も寒さも本番だ。でも、気分的には、初春という言葉があるように、冬を迎える季節ではなく、春を待つ季節になる。そう、どんなに雪が降ってもマイナス十何度になっても、この先の冬はただ立ち去っていくだけで、やってくるのは春だ。なので、12月までの心持ちと1月からの心持ちはまるで違う。ただ、春がやってくるのを待てばいいんだ。そして春は必ずやってくるんだ。
◆もう子供は大きくなって家にいないので、この雪が降る町で妻と二人で暮らす必然性はまったくないんだけど、ないんだけど、やはり雪国の春はいい。雪が融けて、土の匂いがしてきて、何もかもが一斉に芽吹いていく様はいい。やってきた春の暖かさとやってくる初夏の爽やかさは何ものにも換え難いとは思う。
◆さて、一年が始まった。今年もスケジュールは詰まっている。たくさん書かせてもらえるのは本当にありがたい。もっときちんと考えなきゃならないことは山ほどあるように思うんだけど、まずは原稿だ。
◆今年も、書きます。どんな本が出るかは、また後日の日記で。

この言葉が大好きです。良いお年を!2016年12月31日

◆曇りがちだけどまずまず穏やかな天候。
◆今年も終わる。毎年のこの時期にあの原稿を書き上げなければならないとわかっているのに、毎年のように遅れてしまう(そうです〈東亰バンドワゴン〉シリーズの新作です)。もちろん、サボっているわけではなく、自分のスケジュール管理の甘さが原因なのだが、今年もついに年を跨いで書き続けなければならない。本当に担当編集さん並びに校閲さんには申し訳ないと思っている。クリスマスも年末も正月もなくずっと書いていますので、何とか新年早々には書き上げますので。
◆子供が生まれてから(突発的な事故を除いて)初めての自分の家で過ごす正月になる。もう、僕の実家には誰もいない。老いた母は今、施設にいる。妻の実家も、義母がひとりになってしまった。もちろん正月のうちにどちらにも挨拶には行くけれども。
◆人生はただ過ぎて行く。息子たちも今は二人とも家にいない。この年末に帰ってきて、ほんの数日間過ごすだけだ。かつての僕がそうであったように。家族というそこに集った人々の日々はそうやって繰り返されるのだと、この年齢になると実感する。社会に出ないとわからないこと、大人にならないとわからないこと、親にならないとわからないこと。人生はそういうもので満ちていて、それを知る度に、終わりに近づいていく。
◆今年もたくさんの本を出すことができた。この幸せな状況がおおよそ十年ぐらい続いている。すべて、僕の書く物語をおもしろいと思ってくれた編集さんと、出そうと言ってくれた出版社と、売ろうと思ってくれた書店さんと、好きになってくれた読者の皆さんのお蔭です。本当にどこを向いても感謝ばかりでどこにも足を向けて寝られないので天井に向けています(嘘です)。
◆本当に、ありがとうございました。
◆来年も、書けるだけ書きます。もっといい物語が書けるんじゃないかと55歳になっても思っています。どうか、また来年もお付き合いください。
◆良いお年を! 毎年書いていますが、この言葉が大好きです。誰もがこの年の瀬に、今までの感謝と未来への希望と思いを込めて掛け合う言葉だと思っています。
◆皆さん、良いお年を!

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