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Diary

ゴロワーズを吸ったことあるのはかまやつさんが歌ったからだ2017年03月02日

◆東京は雨が降っていた。
◆『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』のインタビューのために集英社さんにお邪魔した。このインタビューももう何年も同じ時期にほぼ同じメンバーでやっているので「あーどうもどうもー」って感じなのだ(老婆心ながら、それ以外の仕事や用事はないです)。
◆朝、妻に起こされてキッチンに向かうと「かまやつひろしさんが亡くなったって」と聞かされた。「えっ」と声を出し、少しの間そのまま考えてしまった。ご病気だとは聞いていたし、お年もお年なので大丈夫だろうか、もう少し元気な姿を見せてほしいと思っていたのだけど、叶わなかったみたいだ。
◆最初はもちろんザ・スパイダースだ。その頃はまだ僕は小学生で音楽的な云々などはまったく知らなかった。中学生になって初めてスパイダースの「いつまでもどこまでも」「バン・バン・バン」「ノー・ノー・ボーイ」「フリフリ」などの名曲の数々はかまやつさんの作品であり、音楽的なリーダーだったことを知った。そして、『我が良き友よ』に『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』だ。この二曲に、やられてしまった。かまやつさんとはこんなにも凄いセンスを持ったシンガーであり、ミュージシャンだったのかと思い知った。高校生になって煙草を吸い始めたとき、真っ先に試してみたのは〈ゴロワーズ〉だった。思えば高校生がデパートの煙草売り場で普通に洋モクを買えたのだからのどかな時代だった。
◆かまやつさんはその風貌とともに飄々とした独特の個性とスタンスでずっと僕が影響を受けたミュージシャンの皆さんの後ろにいた。まるで、いつもはどこにいるかわからないのに、ふいに笑顔で現われて楽しませてくれる〈ちょっと変わった親戚のおじさん〉みたいにだ。かまやつさんが呼ばれて脇からステージにひょいと現れると、皆が大喜びして笑顔と拍手喝采で迎えた。今も、その内に誰かのステージにひょいと現れて笑顔であの歌声を聴かせてくれるような気がする。
◆ありがとうございました。向こうで、もしも会えたときには、「全然知らないけどけっこういい小説を書いていた人なんだねぇ」と笑顔で肩を叩いてもらえるように頑張ります。

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