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2011年12月の日記

12月1日(木) 師走
◆雪が降る。12月になってさっそく雪景色。fukuhara
◆たぶんまた更新が途絶えがちになると思います。毎年のことながら上げなければならない原稿が詰まっているのです。元気で書いていますので心配しないでください。
◆写真は福原希己江さん『おいしいうた』。『深夜食堂2』の挿入歌として歌われているのを聴いて、これは好きな声のボーカリストだと。がんばってほしいです。思えば鈴木常吉さんも(お名前は存じ上げていたものの)この番組で聴いてファンになりました。そのドラマの方ですが、確かに丁寧に作られているのですが、僕は漫画もドラマもめちゃくちゃ「いい!」と思っているわけではなく、ただひたすらそのコンセプトに惚れているのです。漫画はもちろん〈深夜食堂〉というそのアイデアだけでももういいのです。ドラマはあの深夜食堂自体をあそこまで丁寧に作り上げたスタッフに感動です。何度もここで書いていますが、僕が二十歳ぐらいの頃に出入りしていた札幌北区の小さな居酒屋にそっくりなんです。もうそのまんまの雰囲気。『深夜食堂』を観る度に僕は二十歳ぐらいの自分と、その居酒屋のマスターや常連の皆を思い出しています。銀さん、丸ちゃん、良子さん、大将、ショーグン、眞奈美さん、設楽くん、皆元気ですか。ジョン・レノンが死んだ夜、皆で何度も何度も有線にリクエストしましたね。本当にお世話になりました。僕は元気で、ここにこうしています。

12月2日(金) 日々
◆晴れたり曇ったり。myback
◆最近若い方に〈何故会社を辞めてまで作家になろうとしたのか?〉と真剣に訊かれることが何度かあった。いやなりたかったからだよ、と笑って答えるしかない。もう少し真面目に答えると、もちろん広告会社に勤務しながら小説を書いて新人賞に応募を続けることはできた。ひょっとしたらもう少し頑張れば受賞できたかもしれない。でも、38歳の僕は、札幌の郊外に家を持ち愛する妻がいて二人の可愛い子供がいた僕は、その頃完全に心が腐っていた。広告の仕事はただ惰性で続けていた。惰性でしか仕事をしない自分にも憤っていた。帰り道、駅から自宅までの数分間、夜道を歩きながら毎日毎日「俺はいったい何をやっているのか」と自分に怒っていた。限界だったのだと思う。作家にもなれず、日々の仕事をこなすことにも倦んでいた。自分をどこかに追い込まないと自分を嫌いになりそうだった。だから、会社を辞めた。自分を追い込むことで何かが変わるんじゃないかと思ったから。実際のところ、そこからメフィスト賞を受賞するまでさらに4年間という時間が掛かり作家として生活できるまでにプラス3年間合計7年間、作家になれなくて悩み続けた日々よりさらに重い〈生活〉という名のうすのろがのしかかってきてまた僕は苦しんだわけだけど。今思い返せば、デビューしてからの明日の生活費もない苦しさよりも、自分というものを嫌いになってしまいそうな会社員としての日々の方が数倍苦しかったと思う。写真は映画『マイ・バック・ページ』。僕より上の世代の人たちの、若さ故の熱さと苦しみの日々の映画。
◆苦しまない方がそりゃあいいに決まってる。でも、苦しんだ分だけ、人は優しく強くなれると思う。

12月3日(土) コンサドーレ札幌J1昇格
◆曇り。雪もチラつく。consae
◆Jリーグ最終戦。コンサドーレ札幌はJ2チャンピオンFC東京とホームで昇格を懸けた最終戦。4万人近いサポーターが集まって後押しした試合は見事2-1で勝利。3位で昇格を決めた。今年のコンサは戦い方が見えなかった。多くのレギュラー陣特にDF陣がごっそり抜けたこともあって守備に時間を割いた分、攻撃のパターンが中々実を結ばず多くのサポーターがやきもきした。当初こそ中盤で早く繋ぐパスサッカーを目指したものの、勝てるようになってからはカウンター主体になってきた。前線からアタックを仕掛けしっかり守って中盤からの早いカウンターアタックを仕掛けるものだ。それでゴールが決まるようになってから選手たちに自信が芽生えた。メンタルの問題だったように思う。「これでいいんだ」と思えるようになるまで時間が掛かったということか。けれども、それだけで来季J1で戦えるとは思えない。そのスタイルを継続するなら来季までにより一層の磨きを掛けなければならないだろう。おそらくほとんどの選手が残留するはずだ。途中加入のFWジオゴが昇格へのきっかけにはなってくれたがDF陣はともかく攻撃陣は正直今のままでは辛い。J1で戦うためのワンピースとなるFWもしくは司令塔の確保は必要だろう。ただ、今は勝利の美酒に酔いしれていい。おめでとうコンサドーレ札幌。来季も楽しませてくれ。そして個人的には来季こそゴン中山がピッチを駆け抜ける姿を見たい。頑張ってくれゴン。
◆これで野球もサッカーも今季を終えた。また来年の球春を待つ日が続く。北海道の冬は長いけど、春が巡ってくることを思えば何でもない。来年も、スポーツを純粋に楽しめる日々が続くことをただひたすら願う。

12月6日(火) 日々
◆小雪がちらついたり。jujudelicious
◆何のネタもないのだが更新しておく。僕の若い頃と今とではいろんなものに対する受け止め方が違うのはあたりまえのことだろう。たとえばアルバイトだって、僕が二十歳かそこらの頃はアルバイトしている若者は『頑張ってるな』という印象の時代だった。今のようにマイナスのイメージなどはほとんどなかった。もちろんきちんとした会社に就職した人の方が印象が良かったのは間違いないけど、全体としてそんなに大きな落差はなかったのだ。むしろサラリーマンはキツクてアルバイトで生きている人間は自由でいいな、なんて視点もあった(あ、この話にはオチはない)。
◆僕の世代は実は〈公害世代〉でもある。光化学スモッグや水俣病など高度成長期のツケが一気に問題化して時代に僕らは少年時代を過ごした。何せ『スペクトルマン』というヒーローものの主人公の仮の姿は公害Gメンという設定だったほどだ。『帰ってきたウルトラマン』でも怪獣の中には公害怪獣なんてのもいた。確かに素直に未来を信じられる少年時代ではあったけど、大いなる影もまたそれに寄り添っていた。いつか、その辺りのことは物語にしてみたいと思う。写真はJUJUさんのジャズアルバム『DELICIOUS』。素晴らしいアルバム。
◆まぁ大人の話になってしまうけど、二十歳ぐらいの頃一夜限りの恋、なんてのも普通にあった。その夜に出逢って意気投合してそのままベッドインして朝にはさよなら、なんてのも変な話ではなかった。若い人と話すと「えー」とか引かれる。時代は変わるんだよな。

12月9日(金) 日々
◆晴れたり曇ったり小雪がちらついたり。moonridersciao
◆広告業界にいた頃叩き込まれたのは〈コンセプト〉というもの。広告を作るときの核になるものだ。そこがブレなければ何をどうしようが、その広告の完成度は高くなる。逆にコピーやデザインのどちらかもしくは両方でその〈コンセプト〉を曲解してしまうと、変なものになる。完成度は低くなる。僕は広告業界からゲーム業界そして作家と渡り歩いてきたけど、それはどんな制作の場でも同じだなと理解した。まったく広告のイロハを教えてくれた会社には感謝している。小説も漫画もドラマも映画も音楽もゲームも、最初の〈コンセプト〉を貫き通さないと、ブレてしまうと、二流三流の作品になっていく(そもそも最初のコンセプトがおかしい作品はもう言わずもがな)。じゃあ今まで書いたお前の作品のコンセプトはまったくブレがないのかと言われると自信がないのだが(^_^;)。写真はムーンライダーズのニューアルバム『Ciao!』
◆暮らしていくこともそうじゃないだろうか。生きていく上での何かをはっきりと掴まえた人の生き方は、とても良く見えるのじゃないか。もちろん人間だから迷ったりブレたりはするだろうけど、一度掴まえたコンセプト、しっかりとした考え方、自分の芯、というものはそうそう失われるものじゃない。何かに迷っている人は、小さい頃からの自分をもう一度思い出してみてはどうか。自分は何を好きだったのか、何に憧れたのか、何になりたかったのか。意外とそういうところに〈何か〉はあるはずだ。時は残酷だから今さら幼い頃の何かを取り戻すのには遅過ぎる場合もあるだろうけど、気持ちだけはいつでもどこでも取り戻せるはずだ。それはきっとこれからの暮らしに、何かを与えてくれるはずだ。

12月24日(土) メリークリスマスイブ
◆深く潜行中だけどとんでもなく長い間日記を書いていなかったのでとりあえずこれだけ。クリスマス。世界中の子供たちに幸せな未来が訪れますように。世界中の人々が平和を望みますように。
◆皆さんも楽しいクリスマスを!
◆僕は今年の原稿書きがまだ終わらないんだよ!ヽ( ´ー`)ノ

12月26日(月) 日々
◆北海道は大荒れ。二車線の道路が完全に一車線に。charlotte
◆長い間日記が更新できなかった。毎年のように今年はちゃんとやろうと思うのにまたしても年末の自主缶詰。どうにかならんもんかと思うのだけど、仕事をたくさん入れてしまう自分が悪いのだ。ご迷惑をお掛けした担当編集さん本当にごめんなさい。来年こそきちんとします。
◆したがって、日記を更新していない間何をしていたかというのはもう原稿しか書いていない。あとは犬の散歩と食事とお風呂と睡眠だけ。大変でしょうと言われるが大変だけどこれが案外大変でもない(どっちだ)。何せ自分のことしか考えていないのだからある意味ではものすごい楽をしている。年末の大掃除をいつも一人でやっている妻には本当に申し訳ないと思う。その分稼ぐので勘弁してください。
◆なのでまったく日記に書くネタはない。自分へのクリスマスプレゼントもない。写真は永遠のロリータの傑作〈シャルロット・ツインコレクション〉
◆観たいDVDも、やりたいゲームも、読みたい本も溜っている。DVDや本に関しては原稿書きの合間に楽しんでも罪悪感はあまり感じないのだが、ゲームはどうしても「あぁ原稿書かなきゃ」とか考えてしまう。これは何故なのか。ゲーム大好きなのに。ゲーム業界で働いてもいたのに。思う存分ゲームをやりてぇえ。

12月27日(火) 日々
◆比較的穏やかだったけどまた雪は積もった。aihadouda
◆仲良くしてもらってる札幌出身のバンド〈トライプレイン〉のお昼のユースト番組が、今日は札幌ペニーレーンから。なので、お邪魔して話してきた。お騒がせしてすみませんでした。お互いにいいコラボになればと思っているのだけど、正直に言うと僕はまだ彼らに何の貢献もできていない。彼らがブレイクする手助けができればいいなと思うのだけど、これから何ができるだろうか。その前にお前がブレイクしろよってなもんだが(^_^;)。がんばろうね。今年最後のライブもあったのだけど、若干体調不良のために欠席。年寄りになると体調維持を常に心掛けなきゃならない(^_^;)。写真は今までDVDされていなかった故・緒形拳さん主演のドラマ『愛はどうだ』。たった今テレビでは福山雅治主演の『容疑者Xの献身』をやっているけど、この『愛はどうだ』は彼のドラマ初出演だったのだよ。今もよく覚えてる。
◆来年、再来年ともっと高度を上げて行かなきゃならない。小路幸也やるじゃんと皆が思ってくれるようなものを書きたい。それには今のままじゃ駄目だと思う。今は、元から僕の中にあったものがある程度の経験と相まって動けているだけの話だ。お蔭様で忙しく書かせてもらったので、経験による伸び率はもう計算できない。じゃあ、何をどうやって上乗せして高度を上げて行くか。考えなければならない。

12月28日(水) 日々
◆最近にしては穏やかな日。doragonash
◆机の周りを掃除してようやく年末気分になってきた。クリスマス気分はまったく味わえなかったけどね。会社員の頃は仕事納めだとか挨拶回りだとか忘年会だとかでとにかくまぁ慌ただしかったし子供が小さかったからクリスマスなんて大忙しだった。確か、サンタさんにレゴブロックを息子は頼んでそれが売ってなくて仕事を抜け出して車で郊外のオモチャ屋さんまで走った記憶もある。戦隊ヒーローものの合体ロボットがクリスマス前に売切れでなんだそりゃとメーカーに怒鳴り込みたくなったこともあった。大変だったけど息子たちはそんなこと何にも覚えちゃいねぇな。まぁそんなもんだけど。写真はDragon Ash〈The Best of Dragon Ash with Changes Vol.2〉
◆不思議と子供の頃の記憶ってのは大人になるにつれて甦ってくるもので、今中学生の次男はたぶん幼稚園の頃の記憶なんか真っ白なんじゃないだろうか。小さい頃の大晦日の思い出はとにかくたくさん親戚が集まってきて大人たちは煙草の煙でかすむ座敷でずっとマージャンをやっていたな。あれは賭けていたのかなぁ。親父もいちばん大好きだった叔父さんももういない。まだ元気な他の叔父さんに今度会ったら訊いてみるか。
◆来年はきっと良い年になるよ。そう思おう。そう思わなきゃつまらないじゃないか。悲観する材料ならいくらでもあるだろうけど、それでもさ。来年はきっと良い年になる。そう思おう。

12月29日(木) 日々
◆雪が降ったり。seijun
◆年末の買い物を済ませる。実家に帰るのはあと何年ぐらいかと毎年思うようになってきた。母も老いた。姉がすぐ近くに住んでいるのでまだなんとか一人暮らしはできている。もちろん一緒に暮らしても問題はないのだけど、住み慣れた土地を離れるのを母は嫌がっている。実際、来てもらってもまた新たに友人を作らなければならないストレスは大変なものだろうし、手持無沙汰な毎日の気を紛らわせるものはない。孫も大きくなって相手などしない。申し訳ない気持ちは多々あるが、誰にも気を遣わず毎日通い慣れた施設に通える今の状態がベターではないかと思う。まぁいざとなったら僕が実家に住んでもいいのだ。原稿はどこでも書けるし犬も連れていける。写真は鬼才鈴木清順監督〈浪漫三部作 ブルーレイBOX〉
◆書くネタもないので来年の豊富をちびちび書いていこう。トータルとしてはもっといい物語を書く、ということだ。その結果としてもっと本が売れてくれればなお良し。電子書籍だなんだと騒がしいけど僕は根がバカだ。きっと良き方向へ流れていくと思ってる。もっといい物語を書くためには、やはりもっと気合いを入れねばならない。幸い、来年も既に数本の新連載や新しい書き下ろしオーダーを何本もいただいている。なんとかせねばならん。幸いまだ緩やかな右肩上がりではあるけど、満足なんかしてないけどそれに甘んじていてはいけない。
◆それと、最近札幌出身のバンド〈トライプレイン〉と仲良くさせてもらって二十年以上ぶりに作詞などしたものだから、ちょっとソングライターとしての虫が騒いでいる。自分は音楽の才能がないとすっぱりあきらめたけど、今だから作れる〈自分の歌〉もあるのではないかと思うようになった。久しぶりに作曲をしてみようかと思う。小説もそうだけど、音楽だって何歳からだってできるのだ。

12月30日(金) 日々
◆晴れたり曇ったり雪が降ったり。company
◆年末モードに入っている。年明けすぐの締切りで書かなきゃならない原稿はあるものの、若干の余裕はある。妻の実家にいるので机がないので、まともに原稿を書けないというのもある。いや原稿はどんなところでも書けるのだけどいかんせん机がない。座卓では僕は腰や足がすぐに痛くなってしまいどうしようもないのだ。テレビを観たりごろごろしたり本を読んだりマンガを読んだり。まぁ要するにダラダラしているのだ。写真は映画〈カンパニー・メン〉。名優揃いでなかなか渋いストーリー。観なきゃ。
◆毎年、いろんな出来事がある。政治は相変わらず三流の日本。未曾有の災害はさらにその三流政治を浮き彫りにした。どうやったら日本は良き方向へ進むのかと日々考えて悩んでいる人もたくさんいるのだろう。そしてその答えはたぶん出ないのだろう。答えが出るものだったらとっくに世界は素晴らしいものになっているはずだ。どんなに科学技術が発展しても戦争はなくならない、貧困は消えない、世界は平和になんかなっていかない。でも、考えることを、望むことを、願うことを止めてはいけない。
◆簡単だ。自分の大切な人を守ることを考えればいい。その人の幸せを願えばいい。自分が幸せになることを望めばいい。それが大きくなれば、きっと来年は良い年になる。と言いながらもきっと来年も悲しい現実は振り掛かる。当たり前だ。人生そんな甘いもんじゃない。世の中は厳しい。それでも、明日があるさと思えばいい。

12月31日(土) さようなら2011
◆生まれた町旭川は晴れ。uewomuite
◆今年も終わる。ほぼ全ての日本人が初めて経験する未曾有の災害に襲われた年として記憶される2011年。来年は2012年。毎年書いているように思うけど、僕が子供の頃に夢見た〈2010年代〉の日本は、世界は、輝く未来都市になっているはずだった。現実は、ただひたすら地続きの世界だった。何もかもが変わってしまったようで、何もかもが変わっていない。
◆でもそうやって続いていくことこそが、幸せなのかもしれない。世の中いろいろあってあたりまえなんだ。上手くいかないからこそ、頑張れるんだ。頑張ることを抑えるような風潮があるけど、僕は違うと思う。だって生きていくことはすなわち頑張ることなんじゃないか。
◆まぁ僕自身はそんなに肩に力を入れて生きてきたわけではなく、むしろ自分の好きなことしかしたくないという我儘し放題でいきてきたわけだけど、とりあえず、常に前向きに生きてきたことだけは間違いない。それでなんとかなってきたから、たぶん何とかなる。
◆何とかなるというのは誤魔化すという意味合いじゃない。常に何とかしようと思いながら歩き続ける意思だ。何とかなる、どうにかなる、だから歩いていこう。上を向いて。
◆今年一年もたくさんの皆さんのお蔭で、作家として暮らしていくことができた。でも、相変わらず自分の中の焦燥感は消えない。〈俺はまだ何もしていない〉という思いを胸に、何とかしようと来年も歩き続けようと思います。ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
◆『よいお年を!』僕はこの言葉が大好きです。誰もが、明日へ顔を向けて、手を振りあうような場面が浮かんでくるからです。よいお年を!