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Diary

アメリカの風に吹かれて乾いた心はそう簡単に湿らない2017年02月01日

◆晴れたけど後に吹雪。また荒れるとか。
◆アメリカに憧れていた。たぶん、僕らの年代はほとんどがそうだと思う。まだ本当に小さい頃から、テレビ映画を観て「アメリカは夢のような国だ」と思っていた。そこには自分たちの家にはないカッコいいものがたくさんあって、お洒落な人たちがニコニコして暮らしていたのだ。大きくなって音楽やファッションに目覚めてからは尚更だった。ジーンズは(当時はジーパンと呼んでいた)まさしくアメリカで若者の象徴だった。カリフォルニアの風は遠くから吹いてきて僕たちを魅了した。
◆何がそんなに魅力だったのか。アメリカは自由だった。平等だった。チャンスの国だった。アメリカンドリームの国だった。ブルーズで、ジャズで、ロックで、フリーダムだった。ハリウッドに、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオ。とにかくあの頃の僕らはいつも顔をアメリカに向けていたのだ(もちろん、イギリスにもフランスにもだけど)。
◆そのアメリカが、大変なことになっている。まだ実感としてはないしこれからどう動くか予想がつかないんだけど、無関心ではいられなくなってくるのは間違いない。
◆憧れ続けたアメリカの地に降り立ったのは、28歳のときだった。カリフォルニアだ。ロスアンジェルスに、サンフランシスコ。そしてニューヨークへ。
◆何十年も憧れ続けた気持ちがそう簡単に消えるはずがない。アメリカの属国だなんだと言われようと、僕たちは物心ついたときからずっとアメリカの風に吹かれてきたのだ。その風で乾いた心が簡単に湿っぽくはならない。今も、アメリカは憧れの国だ。
◆もちろん、いいおっさんになった今は、日本という国の文化を愛している。この国に生まれて良かったと思う。この国で生まれてこの国で死んでいくことに何のためらいも後悔もない。だからこそ、アメリカには自由の国でいてもらいたい。あの乾いた風を運んでほしい。憧れの国でいてほしい。
◆ガラッと話題は変わりますが、〈東京バンドワゴンシリーズ〉が、〈第二回吉川英治文庫賞〉にノミネートされました。ありがたいお話です。皆様のご愛顧の御蔭だと思っています。発表は三月ですが、受賞落選にかかわらず、〈東京バンドワゴン〉を愛してくれた皆様に御礼申し上げます。四月にはシリーズ新刊『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』(番外編だよ)、そして文庫の『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』が出ます。どうぞこれからもよろしくお願いします。

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