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Diary

タイトルに何もかもが詰まっている2017年01月18日

◆晴れたり曇ったり。穏やかな天候。
◆このサイトの日記は実はもう20年続けている。21年目に入ったのだ。最初は読書日記として始めたのだが、デビューしてからは同業者をディスることになってもまずいので(^_^;)、読んだ小説の感想は一切載せていない(あ、海外文学はたまに載せる)。マンガや映画やドラマの感想をたまに書いているぐらいだ。まぁだからいつもネタに困ってはいるのだが。
◆久しぶりに小説の感想を書く。でも小説と言っていいのかどうかはわからない。どうやらほぼ〈自伝〉らしい。同人誌即売会〈文学フリマ〉で大人気となり即完売になったものに掲載されていたそうだ。
◆在野の士、という言葉がある(あるいは在野の徒もあるか)。どういう意味か知らない方はググっていただきたい。僕は同人誌のことを昔からこの〈在野の士〉の方々の作品だと思っていた(違う! という意見はあるでしょうが個人の感想です)。公に姿を現さないけど才能を持った人は、たくさんいるのだ、と。僕は公になりたくて(つまりプロとしてデビューしたくて)作家になった人間だけど、そうではない活動をされている方々は大勢いる。作者である〈こだま〉さんもその一人だったようだ。
◆タイトルは『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)だ。このタイトルを見て、そして冒頭の文章を読んだ瞬間に「読みたい!」と声を上げたら扶桑社さんからプルーフをいただいた(扶桑社さん、つきあいもない三文作家にありがとうございました)。読む前からわかっていたけど、読み終わっても「このタイトル以外ありえない」と思う。決して奇をてらったわけでもウケを狙ったわけでもないしもちろんふざけているわけでもない。本当に〈このタイトルしかない〉のだ。そしてそれがすべてなのだ。よくぞこのまま出版する決断をしたと扶桑社さんを褒めてあげたい(上から目線すみません)。
◆正直言って、そこらへんの純文学なんか全てなぎ倒してしまうような作品だ。〈こだま〉さんの生きてきた日々は小賢しい作られた閉じた世界など全て押し流す。きっと候補にすらならないだろうけど、芥川賞を受賞してもいい。もしも候補にしたら芥川賞選考委員会事務局を褒めてあげたい(またしても上から目線すみません)。ご本人がどこまで〈創作〉の意識を持って書かれたのかは訊いてみなければわからないし、たぶん訊いてもご本人も答えられないような気がする。でも、間違いなく〈こだま〉さんは〈書くべき人〉だ。無論、ほぼ自伝として書いたこの次に〈創作としての作品〉を書けるかどうかはまた別の話なんだけど。
◆細かい内容は、紹介しない。サイトのあらすじが全てだ。そこに何もかも詰まっている。
◆もしも、この作品を土台にして〈こだま〉さんが在野ではなく公の創作の世界に入ってこられるのなら、また一人素晴らしい才能を持った作家が現われたのだと、心から嬉しく思う。
◆余談だけど、〈こだま〉さんは同じ北海道の出身らしい。それもまた、愉しい。

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