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Diary

『ロング・ロング・ホリディ』について2015年12月30日

◆晴れ。longlong
◆年の瀬も押し迫ってきたところでようやく今年中に書かなければ多大なる迷惑を編集さんにも装幀家さんにも掛けてしまう原稿を書き上げた。もっと早く書き出せよ、と一ヶ月前の自分に言いたい。そしてもっとスケジュール管理きちっとしろと来年の自分に言っておく。
◆そして来年1月中旬に発売予定の単行本新刊『ロング・ロング・ホリディ』(PHP)の見本が届きました。なかなかに渋い装幀になって出来上がりました。
◆青春群像劇、というお決まりの言葉で括れる物語です。舞台は1981年の札幌。駅前通りにある〈D〉という喫茶店でアルバイトをする大学生たちの物語です。大きな事件が起こるわけでもないのですが、彼らの特別な場所となっていた喫茶店〈D〉でどんなことを考えてどんなふうに過ごしてきたかを追います。
◆今までの著作でいうと、『ダウンタウン』(河出文庫)と同じ流れで、ある意味では兄弟のような作品です。舞台設定も主人公の設定もほとんどノンフィクションと言ってもよく、自伝的な作品と言えます。けれども、物語の内容は(起こる出来事は)90%フィクションです。〈D〉という名前ではありませんが、実際に僕がアルバイトをしていた喫茶店が舞台になっています。
◆あの頃と今とどれぐらい時代は変わっているでしょうか。インターネットも携帯もありませんでした。禁煙のお店なんかありませんでした。未成年の僕らは普通に毎晩のように飲みに行ってました。でも、バレンタインにはチョコが飛び交ったしクリスマスにはパーティをやっていたしカップルが街に溢れていました。リア充なんて言葉はなくて単純に彼氏彼女がいるかいないかでした。そんなにも変わっていないような気がします。
◆今にして思えば、この物語で描いた日々は長い長い休日を過ごしていたような気がします。それで、こういうタイトルになりました。どんなに長くても休日は必ず終わり、普通の日々がやってきます。僕は今、何度目かの普通の日々を過ごしているのではないかと思います。楽しんでいただけたら嬉しいです。

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