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Diary

『風とにわか雨と花』が出ます2017年05月20日

◆晴れ。気温も上がってまるで初夏のような天気。
◆そんな日に今月末に発刊予定の単行本新刊『風とにわか雨と花』(キノブックス)が届きました。〈キノブックス〉さんとは初めてのお仕事でした。担当編集さんの「子供たちの物語なんかいいですね」というリクエストがあったので、小学生のお姉ちゃんと弟、そしてそのお父さんとお母さんの物語にしました。
◆物語の舞台は海辺の町です。作中ではどこ、とは書いていないのですが、僕の物語を読んでいる方ならわかるかもしれません。『Q.O.L』や『ナモナキラクエン』や『つむじダブル』あるいは『COW HOUSE』なんかも同じ舞台の、海辺の町です。鎌倉の辺りを思い浮かべていただければいいと思います。
◆お父さんとお母さんが離婚してしまうという悲しい幕開けになります。理由は、お父さんが専業作家になるために会社を辞めて、離婚して一人で過ごすことを決めたからです。物語は、お姉ちゃんの風花と弟の天水が夏休みを過ごすためにお父さんの住む町へ向かうところから始まります。このお父さん、僕と同じようなことをやっていますが、僕とはまったく違う方向性です。僕は作家になるために会社を辞めましたが、それは家族を養っていける作家になるためにでした。なので、自伝風の作品ではありません(^_^;)。思い描いていた、オマージュを捧げたともいうべき作品はあるのですが、それが何かはいずれまたにしておきます(でも、有名な作品ですからわかる人はわかっちゃうと思います)。
◆親の離婚というものをお姉ちゃんと弟はどう感じているのか、子供たちの思いに親はどう答えるのか、父親と母親としてどう生きるべきなのか。そういうことを、親子四人のそれぞれの立場でシンプルに綴っていきました。夏に向けて、天気の良い日に風に吹かれながら軽く楽しんでいただけると嬉しいです。
◆親は、自分の子供たちが、自分で生きていくための力を身に付けさせなきゃなりません。でもそのためにどうしたらいいか、なんていう正解はありません。僕も結局子供たちにご飯を食べさせて大きくさせただけで、彼らのために何かができたというわけでもなかったです。ただ、彼らがもしものときに帰ってくる場所を確保したことだけは、まぁそれだけは何とかなったかなという気がしています。
◆父親として、男として、母親として、女として。子供たちへ向けて、どう生きるか。そんなお話です。どうぞよろしくお願いします。

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