SHOJI YUKIYA OFFICIAL SITE sakka-run:booklover’s longdiary since 1996.12.18

Diary

そこにJAZZが描かれている2017年03月16日

◆晴れたり曇ったり。少し風の強い日。
◆小さなライブハウスに行ったことある人はどれぐらいいるだろう。そこで、身体が震えるほどの音量の演奏に包まれたことのある人はどれぐらいいるだろう。その音楽にいっぺんで魅せられてしまった人はどれぐらいいるだろう。僕はその一人だ。
◆人気漫画家である石塚真一さんの『BLUE GIANT』はそんなマンガだ。音楽のジャンルはJAZZだ。それも、ボーカルの入らない、純粋な演奏だけのJAZZ。そもそも音楽マンガってだけでとても難しいのに(だって、マンガからは音がしない)その中でも最も難解かもしれないJAZZだ。ロックバンドなら多くの人が知っているから想像もしやすいだろうけど、JAZZのトリオの演奏を生で聴いたことがある人がいったいどれぐらいいるんだろうか。そんなマンガを描こうと思った石塚さんも凄いし、許した編集者も凄いと思う。もっと凄いのは、石塚さんの画力だ。サックスが、ピアノが、ドラムが、トリオのその音が聴こえてくるかのようなライブシーン。
◆天才とは、世界へ出て行くミュージシャンとはこういうものだという、主人公〈大〉の描き方もいい。大ほどではないけれど、僕もかつて音楽を演っていた頃に「あぁこいつは凄い」と思った奴も、こんな人間だった。信じられないぐらいにただ真っ直ぐに自分の音楽に向かっていく。それしか、ない。それ以外は、ない。そんな人間。
◆羨ましいと思う感情を思い出した。そうそう、こういうような奴がいたから、僕は音楽を諦めたんだ。僕には無理だって。とても、そんなに真っ直ぐに進んでいけないって。まぁ端から進んでいける技量も才能もなかったんだけど、それに気づかされたから。
◆もしも音楽好きなら、JAZZが好きならお勧めする。『BIUE GIANT』は全10巻。そして主人公〈大〉が一人で海外へ立ち向かう新章として『BLUE GIANT SUPREME』が始まっている。
◆楽器のテクニックも作曲のセンスもなかったんだけど、作詞だけは自信あったんだよね。あの頃は。今読むとけっこうひどいものもたくさんあるんだけど(^_^;)。その中に「あぁ、ここに俺がいるな」ってつい苦笑いしてしまう歌詞もある。今の小説に繋がるような言葉選びに、歌詞の向こうにある物語。やっぱり昔っから物語が好きだったんだ僕は。

ページトップへ