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Diary

『君と歩いた青春 駐在日記』が出ます2021年06月13日

◆気温26度という夏のような暑さになった我が家近辺。幸いにも北海道らしい湿度の低いカラッとした暑さ。
◆そんな日に見本が届きました。今月の26日ぐらいに店頭に並ぶ予定の単行本新刊『君と歩いた青春 駐在日記』(中央公論新社)です。〈駐在日記シリーズ〉の第3弾になります。
◆『駐在日記』『あの日に帰りたい 駐在日記』そして『君と歩いた青春 駐在日記』と来ていますが、二作目からサブタイトルになっている名曲にはあまり深い意味はなく(というか内容にはまったく関係なく)、担当編集さんと話し合い「時代設定となっている年代のヒット曲を使おうか!」となったのです。解説しなくてもお分かりでしょうが、〈あの日に帰りたい〉は〈松任谷由実さん〉(当時は荒井由実)、〈君と歩いた青春〉は〈風〉の名曲ですね。この後もシリーズが続くようであれば、またその年代の名曲を使っていくと思います。
◆神奈川県警松宮警察署雉子宮駐在所勤務(もちろん架空です)となった蓑島周平とその妻蓑島花。周平は元は横浜市で刑事をやっていたのですが、ある事件で被害者となった外科医の花と出会い、愛を育み、そして心と身体の傷を抱える花のために静かな暮らしができるように駐在所勤務を希望し、雉子宮駐在所にやってきました。それから一年と十ヶが過ぎて、『君と歩いた青春 駐在日記』が始まります。今までの二作品とまったく変わりなく、田舎である雉子宮で起こる小さな事件を、駐在である周平が花の手助けもありながら、優しく時には厳しく解いていきます。ほぼ、周平の裁量で事件を片づけてしまいますので、厳密な意味での警察小説ではありませんね。駐在夫婦の村でのちょっとした出来事を四季で描いていく物語です。
◆描いている時代は昭和50年頃なのですが、僕はと言うとその頃はまだ中学生ぐらいです。その時代に見ていたドラマなどを思い出し、時代背景や雰囲気などを考え合わせて書いていっています。今の時代と何が変わったかというのは、どうなのか。人間なんてそうそう変わらないとは思いますが、この時代はまだファックスさえ一般的ではなかったです。情報の伝達のスピードは今とは雲泥の違いでしょう。極端に言えば江戸時代と昭和初期ぐらいの差があるかもしれません。そういうものが、人の心持ちに与えている影響は大きいでしょうね。知っている人も知らない人も、そういうものも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。

『猫ヲ探ス夢 蘆野原思郷』が文庫になります。2021年05月30日

◆なかなかすっきりと気温が上がってくれない北海道の我が家近辺。こんな時期になのにちょっとだけ暖房を入れた夜もあったりして。
◆『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』(徳間文庫)の続編である『猫ヲ探ス夢 蘆野原偲郷』(徳間文庫)が文庫になりました。その見本が届きました。スキャンしたのですがなかなか微妙な色合いの写真ばかりなので、ちょっと色の再現が難しかったですね。
◆〈蘆野原〉はもちろん〈偲郷〉というのも造語です。たぶん国語辞典には載っていません。でも漢字の雰囲気で意味はけっこう伝わりますよね?
◆〈蘆野原〉というあの世とこの世の端境にある〈郷〉で生まれ育った者たちは、人に災いをもたらす災厄である〈事〉を静かに〈為す〉ことができます。そして、それが自分たちの宿業であると理解しています。一種の能力者たちの物語ですね。陰陽師の雰囲気を思い浮かべていただければいいかもしれませんし、もっとくだけて人間界の鬼太郎たちと言ってもいいかもしれませんヽ( ´ー`)ノ
◆そもそもこの物語、〈夫婦〉をテーマにした短編を書いたのですがいきなり妻が猫になったりしてあまりにもふわふわしていてよくわからない世界になって「これはちょっと……」と編集さんに言われてボツにしたのです(ちなみに書き直したのは『小路幸也 少年少女小説集』(ちくま文庫)に収蔵されている『林檎ジャム』です)。そのボツにした短編の世界観を気に入ってしまったので、後からきっちり組み直して連作短編のスタイルにして徳間書店さんで書き続けたのが『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』でした(さらにちなみに最初は『蘆野原偲郷』というタイトルだったのですがあまりにもわからんと言われてタイトル付け加えました)。続編を書くつもりはなかったのですが、売れはしなかったんですけどけっこうマニアックな方々に人気になり、続編書いてみませんかと言われて書いたのが、この続編の『猫ヲ探ス夢 蘆野原偲郷』でした。
◆時代設定がぐんと進んで、一作目の主人公たちはあの戦争で死亡(行方知れずとも)し、一作目では生まれたばかりだった次の代の息子達が主人公になっています。ですから、できましたら一作目の『猫と妻と暮らす 蘆野原思郷』(徳間文庫)から読んでいただいた方が、話がすっきりと繋がると思います。楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆なお、今回の表紙の猫は我が家の猫です。ギャラはありませんので、私の方でおやつを多めにあげておきます。

『あの日に帰りたい 駐在日記』が文庫になります。2021年05月14日

◆随分気温が低い日が続いていて、夜にはカーディガンなど着込んでいたんだけど、今日は気温が上がって窓も全開。そんな日に届いたのは『あの日に帰りたい 駐在日記』(中公文庫)。〈駐在日記シリーズ〉第二弾が文庫になります。
◆昭和五十年の春に雉子宮駐在所に赴任してきた箕島周平と花夫妻。そしてほぼ一年の四季を追ったのが『駐在日記』(中公文庫)でした。そして年が明けて昭和五十一年の冬からまた物語が始まります。ですから、できれば『駐在日記』の方から読んでいただいた方が、周平と花のことはもちろん、近くの神社の神主さんとなどの登場人物それぞれのことも深くわかってきますが、一応、この『あの日に帰りたい 駐在日記』から読んでいただいても充分流れを掴むことができるようにはなっています。
◆主人公は駐在所の警察官ですが、小さな村ともいっていい田舎町なので大きな事件などはまったく起こりません。どれもこれも、箕島巡査の裁量ひとつで結末をつける形になっています。とはいえ、箕島は元は横浜で優秀な刑事でした。小さな事件の奥に潜む謎や人の心の複雑さに鋭く切り込み、優しさと厳しさで事件を解決に導きます。
◆もちろん架空の村の架空の駐在所ですが、モデルにしたのは神奈川県のとある地域です。そこに行ったことがあるわけではなく、Googlemapで見つけて(^_^;)、しっかりと写真などを見て選びました。ですので、詳しい村の様子などはそれほど描写してはいませんが、そこに住んでいる方が読むと、駐在所と神社と学校の位置関係、なんとなくうちの町に似てる……? とは思うかもしれません。
◆シリーズにするつもりはなかったのですが、こうして第二弾が文庫になり、そして夏にはシリーズ第三弾『君と歩いた青春 駐在日記』(中央公論新社)が出ます。そちらも楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆あと、サブタイトルには実はあまり意味がありません。時代設定であるその年のヒット曲を使うようにしていますのであまり深く考えなくてもいいですよヽ( ´ー`)ノ

『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』が出ます。2021年04月18日

◆小雨が降る中、今月末に発刊予定の単行本新刊『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』(集英社)の見本が届きました。
◆シリーズ第16弾になる今作は本編ではなく、4年に一回の〈番外編〉です。〈東京バンドワゴン〉は常に巻末で結んでいるように〈あの頃のホームドラマ〉へ捧げた物語です。なので本編は週に一回の一時間ドラマを常に意識して書いています(春夏秋冬ですから4本分ですね)。でも、〈番外編〉は年末とかお正月に放映される〈二時間スペシャルドラマ〉のつもりで書いています。
◆シリーズ第16弾、4本目の番外編スペシャルドラマとして、さて堀田家の先祖である〈堀田草平事件帖〉とか〈堀田達吉冒険譚〉とか、あるいは学生だった頃の紺たちの話とか、いろんなネタがある中でどんな話にしようかと編集さんと話したときに、イギリスネタがいいのではないかと。コロナ禍の中、旅行も自由にできず人と逢うことさえ躊躇われる日々が続いているので、せめて物語の中で海外などを、と。本編で藍子とマードックがイギリスで暮らしている最中に、二人のイギリスでの暮らしぶりを描きたいなぁとはネタとして考えていました。ならばそれでいきましょうと。
◆ただ、イギリスでのお話となると、まさか堀田家全員をイギリスに連れていくわけにもいきません。かといって、藍子とマードックだけでは、なんだかのんびりほのぼのとした二人だけの静かな暮らしぶりを伝えるだけになってしまって物語が動きません。ならば、ここは若い連中に海外に旅立ってもらおう! と、研人たち〈TOKYO BANDWAGON〉のメンバーに、ロンドンでのレコーディングを用意しました。そして、藍子とマードックは二人とも画家ですから、絵画絡みの事件を盛り込んでいけば、皆が揃って動けるのではと。
◆研人たちが喜び勇んでロンドンにやってきたのはいいですが、盗難絵画をめぐる事件に何故かマードックが巻き込まれてしまい行方不明になるという事件が起きてしまいます。まったくわけがわからない中で、東京にいる勘一たちとも連絡を取りなんとかマードックがいなくなった理由を探そうとします。そしてサチも、東京とロンドンを一瞬で行き来できるその身を使い自分にできることはないかと思うのですが、マードック家を訪れていたスコットランドヤードの人間が何故かサチを見ていることに気づき……。
◆いつもの堀田家とは違うメンバーと一緒に活躍するサチですが、実は今回主役は藍子でもマードックでも研人でもなく、サチと言ってもいいぐらいです。普段は語り手としてしか存在していないサチですが、今回は動き回り喋りまくりその存在感はまさしくヒロインです。どうぞ手に取って確かめてください。
◆もう間もなく、〈東京バンドワゴン〉サイトにも同じように紹介文が載ると思われます。そちらでも言及していますが、毎回読者と同じように歳を取って行く堀田家ですが、実はリアルタイムではなく、本編の最後の季節がいつも被ったり(つまり二冊で二年ではなく一年十ヶ月ぐらいしか経っていない)、番外編を挟んだりしていますので、厳密に計算すると皆さんより数年前の時間を生きています。いまだコロナ禍は〈東京バンドワゴン〉には訪れていません。また来年から続く本編で、どのように堀田家が生きていくかはこれからじっくり考えます。そして、昨年と同じように、今回も新刊記念のサイン会はなしになりました。安心して皆さんが集まれるようになったときに、また開催できればいいなと思っています。
◆それこそイギリスでは現在はワクチン接種が進み、日常が少しずつ戻ってきているとの報道もありました。日本ではようやく始まったばかりで、まだまだ先の話になりそうです。私たちにできることは、とにかく感染防止に努めることです。苦しい状況が続くことには違いないのですが、その中でも、この物語が少しでも皆さんの心の安らぎになればいいなと思います。
◆どうぞ堀田家を今回もよろしくお願いします。

『アンド・アイ・ラブ・ハー 東京バンドワゴン』が文庫になります。2021年04月11日

◆もう新しい本が出たときしかこの日記を書かなくなってしまった。常に書きたい気持ちはあるのだけど、どうしてもそのエネルギーが足りない。原稿を書くので精一杯になってしまっているのだ、という同じいいわけをずーっとしているね。
◆4月になって〈東京バンドワゴン〉の季節になりました。今年もまず文庫から、シリーズ第14弾『アンド・アイ・ラブ・ハー 東京バンドワゴン』(集英社文庫)が20日ぐらいに発売になります。今日、見本が届きました。
◆さて実は〈東京バンドワゴン〉シリーズはちゃんと特設サイトがありましてこちらです。そしてそれぞれの作品解説もありますので、ここで長々と書くよりも、『アンド・アイ・ラブ・ハー 東京バンドワゴン』はこんな物語です。こちらをちょいとクリックして読んでいただければな、と思います。
◆読んでいただけましたね?(^_^;)。
◆前作『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』で病に倒れてしまった我南人のバンドメンバー、ボンさんなどのエピソードをこの巻でも引き続き受け取り、人生の中で誰にでもやってくる悲しい別れを扱った巻になりました。明るく楽しいホームドラマである〈東京バンドワゴン〉ですが、光と影が表裏一体であるように、出会いもあれば別れもあるのが人生です。とはいえ、いつものように賑やかに楽しい一年を過ごしている堀田家の日々を楽しんでいただければと思います。
◆さて、間もなく特設サイトで今月末にでる新刊『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』の紹介も掲載されると思います。そちらでも少し触れていますし毎度お伝えしていますが、皆さんと同じように歳を取っていく堀田家ですが、毎巻最後の季節が被り(冬で終わったら次作もその冬から始まっています)、そして番外編も四年に一回入っていてその一年は堀田家ではなかったことになりますので、実はリアルタイムではなく皆さんより数年前の時代を生きています(厳密に計算すると何年前かは出てきます)。ですので、今世界中を覆っているコロナ禍はまだ堀田家が生きる世界では訪れていません。とはいえ、数年経ってから堀田家にやってくるコロナ禍をきっちり描くのは正解なんだろうか、という思いもあります。この先、また来年から始まるであろう〈本編〉で堀田家かどう過ごして行くのかは、これからゆっくり考えます。
◆海外ではワクチン接種が進み、少しばかり日常が戻ってきた感がある国もあるようですが、日本はまだまだです。この先、国内のコロナ禍が落ちつくのはどう考えてももう一年は掛かるでしょう。私たちにできることは、とにかく感染予防に努めることのみです。そして、変わってしまった世界の中の苦く辛い日々の中でも、生きる楽しみを見つけて大事にして毎日を暮らすことです。
◆さて、これからの刊行予定ですが、今月は、この『アンド・アイ・ラブ・ハー 東京バンドワゴン』(集英社文庫)、そして新刊単行本『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 東京バンドワゴン』(集英社)が出ます。5月には『あの日に帰りたい 駐在日記』(中公文庫)が出ます。6月には、その駐在日記シリーズ第3弾『君と歩いた青春 駐在日記』(中央公論新社)、そして『猫ヲ捜ス夢 蘆野原思郷』(徳間文庫)が文庫になります。7月には新刊単行本『明日は結婚式』(祥伝社)が出て、そして文庫新刊で初めての時代小説である『隠れの子』(集英社文庫)が出ます。主人公は定廻り同心なのですがその名前に「!」となる方もいるでしょう。お楽しみに。8月には、『マイ・ディア・ポリスマン 夏服を着た恋人たち』(祥伝社文庫)が文庫になり、そして9月には文庫新刊として『続・すべての神様の十月』(PHP文芸文庫)が出る予定です。今のところはっきり決まっているのはこれぐらいでしょうか。毎月のように出てしまいますが、どうぞよろしくお願いします。

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