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Diary

良いお年を!2019年12月31日

◆またしても久しぶりの更新。
◆ネタがなくても何となく更新できていたのは遠い昔(^_^;)。何度も書いているけれど本当に執筆体力が落ちていて、原稿を仕上げるだけで精一杯の毎日だ。
◆令和元年になった今年も終わる。まさか自分が昭和・平成・令和と三つの元号に亘って生き続けるとは思わなかった。明治・大正・昭和と生き続けた祖父母辺りはこんな感覚だったんだろうか。しかも天皇陛下はほぼ同年代だ。同じ時代に生まれて同じ季節を過ごしてきた同年代だ。まぁおそらくだが僕の方が先に死ぬので、令和が最後の時代だろう。
◆今年もたくさんの原稿を書いてたくさんの本を出すことが出来た。執筆依頼をくれる編集さん、本を置いてくれる書店員さん、そして買ってくれる読者の皆さんのお蔭で小説家として生活していける。本当にありがとうございました。
◆そして来年の話になってしまうけれど、もう新連載の予定がびっしりだ。わかっているところでは、『駐在日記』(中高公論新社)もシリーズになってしまって連載開始、それから『すべての神様の十月』(PHP)がずっと好評なので、これも連載で続編がスタートする。シリーズというわけじゃないけれどドラマにもしてもらった『娘の結婚』(祥伝社)とゆるく繋がるような〈結婚〉にまつわる連載も開始になる。さらには〈花咲小路シリーズ〉(ポプラ社)も引き続いて連載をするし、二月刊行予定の『銀の鰊亭の御挨拶』(光文社)も同じ設定で違う物語の連載開始になる。〈小説すばる〉で連載している初めての時代小説『隠れの子』や『国道食堂』(徳間書店)も引き続き書く。うわぁいっぱいだどうしよう(^_^;)。
◆本当に、いつも言ってるけどそんなに売れてるわけでもない作家にありがたい話だ。とにかく、書けるだけ書く。
◆ニュースはほとんど見ない。ここの日記をずっと読んでくださっている人にはわかると思うが、実は僕は常に怒っている。ほとんどアベンジャーズのハルク状態だ。もしも力があったのなら愛のある独裁者になって下衆でしかない政治家どもを消す。非道な犯罪者連中も全部消す。〈世界平和〉を実現するためにブラッディー小路となる勢いだ。それぐらい常に怒っている。でも、怒っていると原稿が書けなくなってしまうので、ニュースは見ない。表現する場所を与えられた幸せな表現者として、幸せな物語を書き続けるために。
◆ハッピーエンドしか書かないと決めている。ハッピーエンドになるためには、悲しく辛いことが起こらないと幸せな結末へと向かえない。そして人生は実はほとんどつまらなく普通でそして悲しく辛い出来事で一杯だ。だからこそ幸せな結末へと向かおうと生きていく。全ての人生はハッピーエンドへ向かっている。たとえそこに辿り着けなくても光へ向かっていく。そういう物語をこれからもずっと書いていく、と、この年の瀬に決意を新たにするために毎年同じことを書いている。
◆「良いお年を!」。毎年繰り返されるこの言葉が僕は大好きです。誰もが、そう願って互いに手を振り明日へ、新しい年へ向かっていく言葉。
◆本当に、今年もありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
◆良いお年を!

『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』が出ます2019年12月01日

◆昨日に引き続きの更新。
◆もう間もなく店頭に並ぶはずの単行本新刊『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』(ポプラ社)の見本が届きました。〈花咲小路商店街シリーズ〉の第6弾です。いつの間にか6冊目になったんですね。
◆今作は淳ちゃん刑事も住んでいる一丁目に戻ってきて、舞台になるお店は〈床屋さん〉です。昔ながらのあの赤と青のポールがくるくる回っている〈理髪店〉ですね。語り手は理容師になりたくて専門学校に通い無事卒業した〈せいら〉ちゃん。偶然見つけた憧れの〈昔ながらの理髪店〉である花咲小路一丁目〈バーバーひしおか〉に「ここで働かせてください!」と飛び込んでいった行動力も情熱もたっぷりのモデル並みに背の高い女の子です。その〈バーバーひしおか〉の経営者は口髭を蓄えたイタリア大好きのちょっと太めの旦那さんの凌次郎さん、ではなく、奥さんのミミ子さん。では凌次郎さんは何をやっているかというと、床屋さんの仕事は何もしていません。文字通り〈髪結いの亭主〉なのでした。しかしこの〈朱雀凌次郎〉。何やら由緒ありそうな名字が示す通り只者ではなく、かつてルーブル美術館でキュレーターも務めたことがあるという〈美術品〉のプロフェッショナル。特に西洋美術に関してはその道では知らない人がいないというほどの鑑定士だったのです。様々な美術品や骨董品に関して蘊蓄を語り、さらにはちょっとした美術品にまつわる謎などを解決していくのです。そしてあの〈怪盗セイント〉に関する骨董品がさるところから持ち込まれて、彼が何者であるかがはっきりしそうになるのですが……というようなお話になっていきます。
◆シリーズをお読みになっている方はおわかりのように、いつものようにセイさんも出てきますしミケさんなどのレギュラーメンバーも顔を出します。そして前作のすばるちゃんもちらっと顔を出しますが時間軸としては前作『花咲小路三丁目北角のすばるちゃん』のお話の少し前、まだすばるちゃんが高校を卒業する前の話になっています。今作だけでもお話は通じるように書いてはいますけれど、できましたらシリーズを最初から読んでいただいた方が、いろんなところが繋がっていますのでより楽しめるかと。特に『花咲小路三丁目のナイト』を読んでからにしていただいた方がいいかもしれません。
◆実は次作も来年からまた連載で書かせていただくことが決まっていますので、シリーズはさらに続きますよ。次は何丁目のどんな店になるかはお楽しみに(まだ決めてませんヽ( ´ー`)ノ)。

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』のノベライズです2019年11月30日

◆また久しぶりの更新になってしまった。
◆今度はちゃんと更新しようとこの日記に書いたくせにこうだ。でもやっぱり〈書く〉という部分で全般にパワーが落ちているのだろう。なんとも自分が情けないがどうしようもない部分ではあるか。
◆12月の初旬に発売予定のノベライズ『男はつらいよ お帰り 寅さん』(講談社)の見本が届きました。もちろん、山田洋次監督作品です。〈男はつらいよ〉第一作の公開から50周年、そして50作目の〈寅さん〉です。その作品のノベライズを任されたというのは光栄ですし、なんでも寅さんの映画のノベライズは初めてらしいです。本当にありがたいお仕事でした。
◆ま、でもこういう依頼が来るだろうなとは思っていたんです。山田監督の〈家族はつらいよ〉三部作のノベライズをしましたし、なんたってこの映画の制作前に山田監督とサシで映画の内容についてお話しましたからね(あ、言っちゃったけどいいよね(^_^;))。そのときにはまだ制作は決まっていたけれど脚本は上がっていなくて、僕は山田監督に「吉岡さん演じる満男の現在の職業が大事ですよねー」って話をしたんですけど、まさか〈小説家〉で来るとは思わなかった(^_^;)。いやマジで椅子から転げ落ちそうになりましたからね。なんたって実はそのとき……(この辺は言えないヽ( ´ー`)ノ)
◆あちこちで言っていますが、ノベライズとはあくまでも脚本と完成した映画を元に小説として成り立たせただけの物語です。決して僕の作品ではなく、言ってみれば山田監督が作った美味しいステーキに、僕は付け合わせの野菜を添えて見栄えの良い〈小説〉という名の食器を用意しただけのこと。もしもこのノベライズがおもしろければ、それはとりもなおさず映画がおもしろいということです(あ、ノベライズがおもしろくなかったらそれは僕の責任です。映画はおもしろいですからゼッタイ!)。
◆どんな映画かはサイトの予告編を観ていただくとして、ノベライズは概ね映画の筋に添って書かれています。新たに追加したエピソードは、寅さんの甥っ子である満男が小説家になった経緯や、現在の境遇についてです。この辺は映画ではあまり触れられていないので、読んでから映画を観ても、あるいはその逆でも楽しんでいただけると思います。そして、どうしてもノベライズでは表現できなかった部分も多々あります。それは50年分の〈寅さん〉です。どういうことかは、ぜひ映画本編で確かめていただければと思います。そして、ノベライズもぜひよろしくお願いします。
◆さて、日記の更新をできない日々はいつもと変わらない日々だけど、Twitterでは言ってたけど除雪機を導入したりした。そして、来年の四月に発売予定の〈東京バンドワゴン〉シリーズの新作も書いています。タイトルは例年通り来年になったらお知らせしますね。

繋がりは力になるよ2019年10月31日

◆晴れたり曇ったり忙しい天気の一日。
◆どうもやっぱり書くことがないのでここの更新ができない。書く体力が落ちているんだなー。昔はいくらでも書けたしここを始めた23年前は〈読書日記〉ってことでまだただの活字中毒者でしかなくて毎日本を読んで毎日感想をアップしていたのだが。そういえばもう23年も経つんだな。
◆その頃にネットで出会った読書仲間の皆さんも随分年を取った。その多くの方々に今もネットであるいは出版関係のパーティなどで会えるというのも楽しいものだと思う。
◆パーティというのはいわゆる文学的な〈○○賞〉の受賞パーティというものなのだけど、ほとんどの出版社がそれぞれの〈○○賞〉を主催しているので時期になると招待状が届く。この招待状が届く、というのも、小説家として認められたみたいな感じがして嬉しく感じたものだ。ま、今もあの賞とかあの賞なんかは届きませんけどね(^_^;)。デビューした頃は嬉しいのが半分、もう半分は営業のつもりで顔を出していた。パーティに行くのでついでに編集さんに会って次を書かせてもらえないかどうかお願いしたりもした。顔繋ぎって部分もあった。そりゃあ会えない作家より実際に会って話した方が書いてもらおうかな、って気になる確率は高まるだろう。ましてや執筆依頼を電話やメールで済ませるのは失礼という意識もあるからね。まぁまるで売れてない頃にはお金もなくて飛行機代や宿泊費を借金して行ったこともありました。電車代節約でホテルまで歩いたりね。いや辛かったなぁ。
◆ネットの時代だ。それはもう間違いない。どこにいたって仕事ができる時代だ。互いにパソコンの前で顔を見ながら打ち合わせだって普通にできる。だから会わなくてもいいんだけど、ネットで顔を合わせているんだけど、それでも仕事はやっぱり人対人だ。実際に会って話をすることは、儀礼とかそういうものを抜きにして、必要なことだと今も思う。生身の身体というものがある限り、その存在を抜きにして人と人は本当の意味で繋がれないのだと思う。もちろん、実際に会ったからってその人はいい人とは限らないし仕事が上手く進むとも限らないけど、人と会って話して感じたその記憶は体験として自分の中に残っていく。それが、経験として生きる力になっていく。その生きる力が発揮される場面は訪れないかもしれないけれど、備えの力はあった方がいいに決まってる。
◆苦労は買ってでもしろ、って言うけれど、そりゃ苦労なんかしない方がいいに決まってるしできればしたくないけれど、58年生きてきて、してきた苦労(と思えるもの)を思い返せば、あれがあったから今があるな、と納得して頷ける。

ボスになっていく彼女たち2019年10月07日

◆曇りの日。
◆随分と寒くなってきた。もうそろそろ暖房のスイッチを入れないと朝晩がツライかなぁという感じ。そもそも座り仕事なのでずーっとじっとしていて動くのは指と頭の中だけだ。なので、薄ら寒いだけでも気になる。対して妻は家事一切を全部やっているので動き回る時間帯が多い。三度三度の食事の支度だってキッチンでは火を使う。なので、そこんところは声を掛けあう。「そろそろ暖房を入れていいでしょうか」「いいわよ」そんな感じで(^_^;)。
◆作家になって16年が過ぎている。デビュー当時から担当してくれた編集さんは、もうほぼ全員が代替わりしている。あくまでも僕の場合だけどデビュー当時から担当編集は女性が九割だった。しかも皆さん若かった。僕は四十を超えてからデビューしたのでほとんど娘といってもいい年齢のお嬢さん方ばかり(もちろんそうではない人も少しいたけれど)。その人たちも十数年経った今はほとんどが要職に就いている。つまりボスになっているのだ(部署が変わった人もいるけどね)。
◆今日、その中でほぼ最後の砦として最初から僕を担当していた女性もついに担当編集を変えるとメールが来た。彼女も既にそこのボスになっていたので遅過ぎたぐらいなのだが。十数年も僕を担当してくれた人だ。彼女と作った本の数も片手では数えられないぐらいになった。もちろんこれからも繋がりはあるけれども、長い間売れない作家に本を書かせてくれてありがとうございましたと言いたい。
◆ここで内情を少しバラしてしまうと、もう何年もそこから本が出ていない出版社もある。そこの担当編集さんはもう担当なんだかそうじゃないんだかわからないぐらい連絡もない。一切ない(そもそもまだそこの部署にいるかどうかもわからない)。まぁぶっちゃけ僕の本が売れないから執筆依頼がないのだ。それはもうこちらの力不足なのでしょうがない。幸い他のところから依頼があるのでこちらも放っておいている。いつか縁があればまた連絡が来るでしょう。
◆僕にとって担当編集さんは、クライアントだ。前職が広告会社だからそう表現するわけじゃなく文字通り執筆という仕事をくれるところだ。まずはそのクライアントのためにいいものを作るのが、仕事だ。それが成功すれば読者へと繋がる。ただ、前職と違うのは、クライアントが要求するものを作るわけじゃない。僕がおもしろいと思ったものを書ける。それを許してくれる。むしろそうしてくださいと言ってくれるありがたいクライアントばかりだ。本当に、ありがたい。
◆これからも頑張るよ。だから執筆依頼ちょうだいねヽ( ´ー`)ノ

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