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Diary

良いお年を!2015年12月31日

◆実家にいる。lifeis
◆既に息子たちも家を出て、正月に帰ってくるなら我が家に、というスタイルの方が楽なのだが、まだ私の実家には老いた母がいる。なので、今年も家族揃って私と妻の実家に帰るという正月になる。何はともあれ、八十半ばを越えた母や義父義母が元気で正月を迎えられることを喜びたい。いろいろと、老いの問題は我が家にも多々訪れているのだが、それも今のところそれほど深刻なものではないので、神に感謝している。
◆今年も随分と忙しく仕事をさせてもらった。大して売れもしないろくでもない作家なのに仕事を与えてくれる編集さんと、本を出してくれる出版社さんと、置いてくれる書店さん、そして買ってくれる読者の皆さんに心から感謝しています。
◆もちろん、書いているときは「おもしろいな」と思って書いているんだけど、出来上がってみると「何だかまた大したことない物語を書いてしまった」という思いを抱えることをもう何年も繰り返している。来年こそ来年こそと思いながら過ごしてしまっている。本当に申し訳ない。
◆でも、困ったことに、もう五十半ばになろうとしているのに、自分にはまだ伸びしろがあると思っているんだこれがヽ( ´ー`)ノ。「まだまだこれからだぜ」という変な自信も持っている。誠に申し訳ありませんが、もう少しお付き合いくださると助かります。きっと、必ず、もっともっと凄いおもしろい物語を書いてみせますので。
◆〈良いお年を〉。毎年書いていますが、この言葉が僕は大好きです。今、辛い人も悲しい人も苦しい人も淋しいひともやるせない人も、来年にはきっといいことがありますように、いいことが訪れますようにと皆でお互いに願い合うような言葉。今年も、願いながら言います。
◆今年もどうもありがとうございました。来年もがんばります。どうぞ、皆さん良いお年を!

『ロング・ロング・ホリディ』について2015年12月30日

◆晴れ。longlong
◆年の瀬も押し迫ってきたところでようやく今年中に書かなければ多大なる迷惑を編集さんにも装幀家さんにも掛けてしまう原稿を書き上げた。もっと早く書き出せよ、と一ヶ月前の自分に言いたい。そしてもっとスケジュール管理きちっとしろと来年の自分に言っておく。
◆そして来年1月中旬に発売予定の単行本新刊『ロング・ロング・ホリディ』(PHP)の見本が届きました。なかなかに渋い装幀になって出来上がりました。
◆青春群像劇、というお決まりの言葉で括れる物語です。舞台は1981年の札幌。駅前通りにある〈D〉という喫茶店でアルバイトをする大学生たちの物語です。大きな事件が起こるわけでもないのですが、彼らの特別な場所となっていた喫茶店〈D〉でどんなことを考えてどんなふうに過ごしてきたかを追います。
◆今までの著作でいうと、『ダウンタウン』(河出文庫)と同じ流れで、ある意味では兄弟のような作品です。舞台設定も主人公の設定もほとんどノンフィクションと言ってもよく、自伝的な作品と言えます。けれども、物語の内容は(起こる出来事は)90%フィクションです。〈D〉という名前ではありませんが、実際に僕がアルバイトをしていた喫茶店が舞台になっています。
◆あの頃と今とどれぐらい時代は変わっているでしょうか。インターネットも携帯もありませんでした。禁煙のお店なんかありませんでした。未成年の僕らは普通に毎晩のように飲みに行ってました。でも、バレンタインにはチョコが飛び交ったしクリスマスにはパーティをやっていたしカップルが街に溢れていました。リア充なんて言葉はなくて単純に彼氏彼女がいるかいないかでした。そんなにも変わっていないような気がします。
◆今にして思えば、この物語で描いた日々は長い長い休日を過ごしていたような気がします。それで、こういうタイトルになりました。どんなに長くても休日は必ず終わり、普通の日々がやってきます。僕は今、何度目かの普通の日々を過ごしているのではないかと思います。楽しんでいただけたら嬉しいです。

映画好き2015年12月19日

◆風が強く寒い日。brutuseiga
◆映画が大好きだ。でも、初めて自分から読んだ小説とか、初めて買ったレコードとかは覚えているけれど、初めて観た映画が何だったのかはまったく覚えていない。ただ思い出を探っていくと高倉健さんの『網走番外地』を観た覚えがあり、それが1965年で4歳のときだ。さらに『大怪獣ガメラ』も覚えているのでそれも1965年。おそらくこの二本が初めて映画館で観た映画じゃないのかと推察している。連れていってくれたのは、父親だったか母親だったかは覚えていない。
◆映画を観た後の思い出で、今でもはっきりと覚えているのがある。『チキ・チキ・バン・バン』という映画だ。7歳の時だった。
◆とんでもなくおもしろかった。鮮やかな色彩、見たこともない風景、幸せそうな人々の笑顔、そして空飛ぶ車! アメリカという国がどういうものかも知らずに、ただただ「なんて楽しそうな国なんだろう!」と思った。いつか大人になったらあんな国へ行けるに違いない。そしたらああいう人たちがいて、ああいう車もあるに違いない。もちろん車が空を飛ぶなんてそんなことはない、と思いながらも、ワクワクする思いが身体中を巡っていた。きっと幼い僕は相当に喜んでいたんだろう。
後日父が、デパートであの車のミニカーを買ってきてくれた。大喜びした僕は毎日のようにそのミニカーで遊び、どこに行くのにもポケットに入れて持ち歩いた。
◆そのミニカーの翼はいつしか取れてしまったけれど、あの頃の空想の中でその翼にはらんだ風は今も吹き続けているように思う。
◆映画はいい。死ぬまで観ていたい。
◆俺、この原稿を書き上げたら『スターウォーズ フォースの覚醒』を観に行くんだ……。

来年の刊行予定(全部で15冊です)2015年12月18日

◆曇り。雪もちらつく。
◆またしても原稿に追われていて更新ができていない。やろうと思えばほんの十分かそこからで書けるのだから簡単にできるはずなのに、心に余裕がないのだ。ま、そんなこともない。単純に日記を書くほどのネタがないのだ。
◆そこで、改めて来年の刊行予定を改行を取って行を稼いで(^_^;)、見やすくお知らせします。
1月 単行本『ロング・ロング・ホリディ』(PHP)
2月 単行本『アシタノユキカタ』(祥伝社)
文庫『スタンダップダブル! 甲子園ステージ』(ハルキ文庫)
文庫『札幌アンダーソング 間奏曲』
3月 単行本『恭一郎と七人の叔母』(徳間書店)
単行本『札幌アンダーソング(最終巻)』(KADOKAWA)
文庫『そこへ届くのは僕たちの声』(文春文庫)
4月 単行本『東京バンドワゴン 新刊』(集英社)
文庫『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン』(集英社文庫)
5月 単行本『オールディーズ・ロマンス』(小学館)
6月 単行本『タイトル未定』(中央公論新社)
文庫『娘の結婚』(祥伝社文庫)
7月 単行本『小説家の姉と』(宝島社)
8月 文庫『ビタースイートワルツ』(実業之日本社文庫)
9月 単行本『スローバラード』(実業之日本社)
◆今のところ、以上です。単行本と文庫合わせて15冊ですね。出し過ぎです。マジで。いつも買ってくださる皆さんには散財させて本当に申し訳ないと思います。でも買ってくれると嬉しいです(^_^;)。
◆こんなにたくさん出させてもらっているのに、たいして売れていないっていうのが本当に申し訳なく思う。幸いにして今まではほとんどギリギリ赤字になっていない(はず)からこうして続けていられる(原稿依頼が来る)と思うんだけど、ドカッと売れて担当編集さんに恩返しや、出版業界を賑わしたいのは山々です。
◆今の僕の立ち位置は、野球で言えば2割5分3厘ぐらいの8番打者でとにかく守備がいいセカンドって感じかなぁ(^_^;)。サッカーならそんなに運動量はないけど位置取りが抜群にいい守備的なボランチか。
◆皆さんの応援の声に応えられるよう、三冠王や得点王を目指して日々精進します。どうぞよろしくお願いします。

あしながおじさん2015年12月12日

◆晴れたり曇ったり。ashinagaojisan
◆子供の頃から読書好きで名作と呼ばれるものは一通りは読んできた。僕は江戸川乱歩から読書の世界に入ったのでミステリーが中心ではあったものの、その後は純文学から児童文学から大衆小説ととにかく読みあさってきた。中学生のときに呼んだ大江健三郎さんの『性的人間』などほとんど内容は覚えていないがとにかく読んだ記憶はある。タイトルからして中学生男子が読みそうではないかヽ( ´ー`)ノ
◆でも児童文学の傑作との誉れ高いジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』は読んでいなかったのだ。何故読まなかったのかはもちろん覚えていないけど、読まなかった。そしてあまりにも有名な物語のためにその内容はもうほとんど知っている。
◆最近ふとそれが気になって気になって仕方がなくなってきて、購入して読んだ。なるほど、細部はこういう物語だったのかと満足して本を閉じた。生き生きと綴られる当時の女学生の暮らしぶりとユーモアとアイロニーに溢れた文体は確かに時代を越える名作だなと確認できて嬉しかった。あと挿絵が実に味があっていい。
◆実は他にも、児童文学ではないけれど名作と呼ばれる物語で読んでいないものがある。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』だ。いやー海外文学で育ったとかインタビューで答えていながらどうしてこれを読んでいないのかと言われれば面目ない。本はあるんだ。家の本棚に確か三冊か四冊ぐらい版の違うものがある。あるんだけど、何かタイミングを逃してしまって全部読めていない。ちらっとは読んだんだ。何かこう、バイオリズムみたいなものが合わなかったんだろうね。今読んではこの名作が自分にとっては駄作になってしまうかもしれないと本能が叫んだんだろう。この年になるとさすがにもう読めないかもしれないなぁとも思う。
◆でも、いつか読めるだろうと手元に置いたままにしておく名作があるというのも楽しい話じゃないか、とも思う。

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