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Diary

カワイイとは2016年04月13日

◆曇り。少し寒い日。thunderbirdsago
◆昨日、カワイイという話をしたけど、カワイイという感覚はどこから生まれたのか。学術的な文化風俗的な考察は専門家にお任せするとして、僕が広告業界に入ったのは24歳のとき、1985年だ。そのときに既に〈カワイイ〉は広告業界ではスタンダードな表現、その感覚を褒めるものになっていた。
◆グラフィックデザイナーが制作したポスターを皆で見て「おお、カワイイじゃんこれ。いいじゃん!」と、言い合う感覚だ。その頃はもうめちゃくちゃいい意味での褒め言葉になっていた。
◆ただ、今の〈カワイイ〉とは少し趣が、方向性が違う。いや違うな〈カワイイ〉の解釈が思いっきり広がっているんだ。昔は〈カッコいい〉とか〈オシャレ〉とか〈尖ってるじゃん〉とかの褒め言葉に微かな時代的な色合いを付けるのが〈カワイイじゃん〉の用法だった。もちろん、地域差も個人差もあるだろうけど概ねそういう感じの表現だ。
◆〈スターウォーズ〉の新たなキャラ〈BB-8〉は見た目通りに〈可愛らしく愛らしい〉という意味合いで誰もが〈カワイイ!〉となるが、クリエイターたちはそこには今までの〈スターウォーズ〉の歴史の中のすべての制作物を踏まえて〈BB-8〉をこの新作であの形でデザインしたその感性の素晴らしさを評価して〈カワイイじゃん〉となる。つまり、クリエイターとそうじゃない人の〈カワイイ〉に込める〈深度〉が違う。老婆心ながらクリエイターではない人を貶めているわけではない。〈深度〉を理解するためにはそれなりの経験と感覚が必要になる。その〈深度〉があるからこそ、表に浮かび上がる〈カワイイじゃん!〉とか〈カッコいいじゃん!〉はまるで違う輝きを放つんだ。
◆そうそう、ついでに、東京オリンピックのエンブレム問題に関しては何も言いたくないけど、おちょくるようなことをやってる奴にそれだけは言っておきたい。デザインの〈深度〉は計り知れないんだぞ、と。
◆で、いまや〈カワイイ〉は〈kawaii〉となって世界の共通語になっている。ファッションやマンガや音楽や雑貨やいろんなジャンルで世界中の人が日本初の〈kawaii〉に夢中になっている。まさかメタルの皆さんまでもが〈カワイイメタル〉にハマるとは思わなかったがすごいモノだと思う。どこまで広がっていくか楽しみだ。

宮下奈都さんと〈BABYMETAL〉2016年04月12日

◆晴れ。babymetal
◆昨夜はちょっと待てよ、と思うぐらいに雪が降っていた。うっすらと積もってしまうほど。それも朝になって陽が差すとあっという間に融けてはいったけれど。春まだ浅き北海道。
◆仲良しの作家さん、宮下奈都さんが〈本屋大賞〉を受賞した。もう今回は絶対だろうと思っていてその通りになったのですごく嬉しい。宮下さんとは『つむじダブル』(ポプラ社)を一緒に書いた。兄と妹の物語だけど、そのまま僕と宮下さんが兄と妹だと公言している(嘘ヽ( ´ー`)ノ)。サイン会やミニトークショーも三回ほどやったし、インタビューも一緒に四、五回うけたと思う。たぶん知人の女性作家さんの中ではいちばんたくさんお話しているんじゃないだろうか。心の底から、宮下さんのような小説家が評価されるべきだと思う。この先何年も何十年もずっと作品が残って然るべき作家だと思っている。本当に、おめでとうございます。
◆ガラッと変わって〈BABYMETAL〉だ。詳しいところはググってもらうとして(^_^;)、簡単に言えばアイドルにメタルロックを歌わせて踊らせたのだ。現在ワールドツアー真っ最中であり、ニューアルバムは世界のチャートで上位に入り、既に日本が世界に誇っていい〈カワイイメタルバンド〉になっている。そもそもこのカワイイとメタルを融合させたところが発明だ。僕自身はメタルのいいファンではないのだけど、何せ四十年も音楽ファンやってるからメタルの発生から今までの流れは把握している。それを踏まえても、〈BABYMETAL〉は上質のエンターテインメントを世に送り出していると思う。懸念は彼女たちがあと四、五年で二十歳を過ぎてしまっても〈BABYMETAL〉を維持できるかどうか。それまでにこのプロジェクトを潔く終らせるのか、別の形で発展させるのか。日本が世界に誇る〈カワイイ〉の新たな矢の行く末を見守っていきたいと思っている。

サイン会のお知らせや春の景色などなど2016年04月09日

◆晴れたが風が相当に強い日。samurai
◆締切りに追われて更新はまったくできなかった。今もまだ追われているのだが、とりあえずここで一呼吸入れておかなければ。
◆サイン会のお知らせです。4月の20日過ぎに発売予定の新刊『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン』ですが、10周年を記念してサイン会を開催できることになりました。今年は東京です。三省堂書店池袋本店さんで5月7日(土)の14;00〜になります。詳細は、お店の情報で確認してください。連休中かと思いますが、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。
◆相変わらず執筆しかしていない日々が続いている。でも、北海道も季節は春に移り変わり、庭に残っていた雪ももうほとんど融けた。散歩に出歩いても残っている雪はもうわずかだ。家々の庭ではもう花を咲かせているクロッカスなんかも見える。桜は、まだまだこれからだ。庭の桜が咲くのにはあと一、二週間かかるだろう。北海道これからがいちばんいい季節だ。
◆新しい生活に飛び込んだ人たちも、そろそろ緊張した身体も心もほぐれてくる頃だろうか。それともまだ慣れなくてどきどきしているだろうか。どんな環境だろうと自分で飛び込んだものなら、住めば都だ。ゆっくりと馴染んで自分のペースを作るようにしていけばいいと思う。
◆初めての独り暮らしをした19歳の頃を考えると、いつも思うのだがおそろしいほど今とあんまり変わりない。困ったもんだと思うぐらい精神に成長がないヽ( ´ー`)ノ。そりゃあいろんな経験をしてきたから経験値は上がっていて危機回避能力や社会適応能力も相当に上乗せされてはいるが、根本的なところはあの頃のままだ。
◆だから、恐れずに進めばいいと思う。歩くにしても走るにしても跳び回るにしても、長い人生、躓いたり転んだりするのはもう絶対に間違いないんだから。まっさらな服で転んで汚れたとしても洗えばきれいになる。洗えば風合いも出てくるってもんだ。そう思えばいいよ。

犬との日々から3年。2016年03月27日

◆晴れたり曇ったり。穏やか天候。mill12
◆FBが教えてくれたのは、今日は3年前に愛犬ミルが亡くなった日。そういえばそうだと思い出した。3年前の今日はまだ雪が道路にたっぷり残っていたのを覚えている。今年はもうすっかり春仕様なので、今年の雪はやっぱり相当少なかったんだなと実感。
◆犬がいなくなってから過ごしてきた日々も3年。やっぱり早いね。もうミルがいつもいた階段の踊り場をつい見てしまうこともなくなったけど、散歩をしているとここはミルのいつものコースだったよな、と思い出す。今頃は向こうで僕の父と一緒に毎日散歩をしているんだろう。時間の感覚はたぶんないと思うから、今度会えたときには別に騒ぐこともなく「買い物から帰ってきたの?」って顔をしてこっちを見て、また寝るのに違いない。そして夕方の散歩の時間が来たら僕の部屋まで歩いてきて「まだですか? 散歩に行きますよ?」って顔をしてこっちを見るんだ。
◆命日はついうっかり忘れちゃったりするけども、あの日のことは忘れない。3年経っても、何時ごろどうなって、妻と二人でずっと声を掛け続けたことは、その内容まではっきり覚えているから、まぁ怒るなよ。
◆夫婦揃って動物は大好きなので、いつかまた一緒に暮らす。たぶん、次は猫だ。ひょっとしたら犬も一緒に飼うかもしれない。また見送るのは淋しいから今度は猫や犬たちに見送られるのもいいなぁと思うがどうだろう。そうなると自宅の畳の上で死ななきゃならないか。そう遺言でも遺しておくかヽ( ´ー`)ノ
◆まぁそんな淋しいことは言わんで、いつかやってくる犬や猫との日々を楽しみにしておく。

『札幌アンダーソング ラスト・ソング』2016年03月25日

◆少し雪がちらついた日。undersonglast
◆穏やかではあるものの、気温が下がり目。春の格好で外に出ると寒くて震えることになってしまう。まぁ三寒四温だよね。そうやってどんどん春になっていく。個人的な感覚では今は春30パーセントという感じ。
◆4月生まれなので、もうすぐ一つ年を取ることになる。まぁこの年になるとさっさと老人と呼ばれる歳になってわがまま言い放題で黙れこのくそジジイとか言われたいぜと思っちゃうけどね(^_^;)。来月で55歳になる。孫がいてもおかしくない年齢だし社会的にも充分に年寄りで普通の会社なら部長か役員クラスだろう。でも作家としてはデビュー13年目なのでまだまだ小僧なんだぜ。作風からもこのまま〈永遠の若手〉ってポジションを保つのもいいかヽ( ´ー`)ノ
◆締切りに追われて日記の更新がなかなかできない中、『札幌アンダーソング ラスト・ソング』(角川書店)の見本が届きました。
◆天才で変態の専門家で美貌の少年が主人公というこのとんでもないおかしな設定の『札幌アンダーソング』シリーズもこれで終幕。相棒である刑事のキュウが殺人犯に仕立て上げられるところから始まり、札幌の闇の部分を仕切る黒幕との最後の対決を描きます。最初の構想ではもっと変態の部分でぶっ飛んだところを書こうとしていたんですがさすがに良い子も読む一般書では無理だろうという部分があり(^_^;)、若干大人しめの展開になっていきました。そこがちょっと残念といえば残念ですヽ( ´ー`)ノ
◆たかが百数十年という歴史の浅い北海道でなおかつ計画的に造られた札幌という街にも、実は結構歴史の闇に埋もれていったアンダーな部分がありまして、そのあたりを上手いこと書いてみたいなぁと思ったのですが、どうだったでしょうか。いつもそうなのですが、書き終わった後にもう少し何とかならんかったのかという思いが残ります。それが次を書く原動力にもなるのですが。軽い感じで楽しんでいただければ嬉しいです。

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