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Diary

『スターダストパレード』が文庫になります2017年07月09日

◆晴れ。今日も30度超え。
◆3日続けて30度を超えるという7月初旬にして真夏じゃん、という北海道。まぁ夏は暑くなってもらわないと困るのだが、いきなり過ぎる。心も身体もついていかない。夜は寒いって言って暖房つけたいとか言ってたのはほんの何日か前なのに。
◆さて、3年ほど前に講談社さんから久しぶりに出した単行本『スターダストパレード』が今月に文庫になります。14日ぐらいには店頭に出るのではないかと思います。忘れられてるかと思いますが実は僕は講談社主催の〈メフィスト賞〉作家でして、あの森博嗣さんとか西尾維新さんとか辻村深月さんとかと同じ賞の受賞者なのです(名前出さなかった人ごめんなさいヽ( ´ー`)ノ)。そのメフィスト賞の本誌〈メフィスト〉で、受賞後十年近く経ってからようやく初めて連載したのがこの『スターダストパレード』でしたね。時代は1980年、元暴走族のヘッドだったマモルが、刑務所を出るところから物語が始まります。出迎えてくれたのは兄とも父とも慕い、けれども自分を無実の罪で刑務所にぶちこんだ刑事の鷹原。その鷹原は、フランスとのハーフの幼稚園の女の子ニノンを連れていました。そしてマモルに言うのです。「この子を、守ってくれ」。そこから、物語は動き出します。何故マモルは刑務所にぶちこまれたのか。どうして刑事である鷹原はニノンを連れてきたのか。死んでしまったというニノンの母親の死の真相は……。マモルは自分のことを気に入ってくれたニノンを守るために、そして鷹原とともに自分の過去とも向き合うために車を走らせます。そんなような、物語です。楽しんで貰えたら嬉しいです。
◆実はこの〈スターダストパレード〉というタイトル。僕の作品に『Q.O.L』(集英社)という物語があるのですが、それに仮題としてつけていたタイトルなのです。いろいろありましてボツになったタイトルなのですが、気に入っていたのでここに持ってきたという裏話があります。残念ながら『Q.O.L』(集英社)自体が文庫化もされずに今現在幻の作品と化しつつあるんですよね(^_^;)。読んだことある方なら、そういえば何となく雰囲気が似かよっていると思うのではないでしょうか。

『マイ・ディア・ポリスマン』が出ます2017年07月05日

◆曇り後晴れ。夜になって少し気温が下がって涼しすぎる。
◆台風や大雨があちこちで被害をもたらしているようだ。日本という国に住んでいれば避けて通れないものだ。どうぞ該当地域の方は充分に注意してください。そして、自分も災害対策を確認しておこう。
◆そんな日に、今月の12日ぐらいに発売予定の単行本新刊『マイ・ディア・ポリスマン』(祥伝社)の見本が届きました。毎度のことですが、月刊小路幸也のように新刊が出て申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
◆さて、物語の舞台は東京近郊のとある門前町〈奈々川市坂見町〉です。〈東楽観寺〉というお寺の門の横にある古い建物を交番にした〈東楽観寺前交番〉が中心になります。そこに勤務する若きお巡りさん(25歳です)が宇田巡(うためぐる)巡査です。偶然なのですが、〈東楽観寺〉の跡取りで副住職の大村行成は小学校の同級生。宇田巡査は小学校までこの町に住んでいたのですが親の都合で引っ越し、巡査になって赴任してきて再会したのです。ある日、宇田巡査と行成副住職が交番前で話をしていると、女子高生楢島あおいがやってきます。あおいは「ぜひ写真を撮らせてください!」と宇田巡査に頼みます。何でもあおいはマンガ画家志望で、今度交番のお巡りさんを主人公にしたマンガを描きたいので、その資料にしたいと。「いいですよ」と快諾して宇田巡査はあおいに写真を撮らせます。ところが、あおいが去った後にそこには謎の財布が……そんな感じで、この坂見町に住む様々な住人たちが、宇田巡査とあおいを中心にちょっとした出来事の舞台上に浮かび上がってきます。実は宇田巡査はこの町に昔住んでいただけではなく大いなる縁があり、さらにはあおいにもちょっと普通ではない秘密もあって……。
◆お巡りさんが主人公ではありますが、大きな事件が起こるわけではなく、のんびりとゆるやかに少しばかりの恋の香りも漂い、けれども〈人に歴史あり〉という物語になっていきます。
◆実は発売前ですが、続編を書くことも決定してしまいました。今年中にまた祥伝社さんの〈コフレ〉で連載が始まります(なので、ちょっと続編を意識した展開にもなっています)。楽しんでいただけたら嬉しいです。
◆小路幸也のコアなファンの方(^_^;)、は〈東楽観寺〉という名前に覚えがありますでしょうか。デビューした頃に書いた短編に出てきたお寺の名前です(『小路幸也少年少女小説集』(ちくま文庫)に収録されています)。物語に直接の関係はありませんが、気に入ってるので今回使ってみました。どうぞこちらもよろしくお願いします。
◆そうそう、マンガ原作で、亀梨くんの主演でお巡りさんと女子高生の映画がありますよね。お巡りさんと女子高生という設定が同じですが、まったくの偶然です(^_^;)。さらには今年この後に、また女子高生が主人公の物語『花歌は、うたう』(河出書房新社)が出ちゃうんですよね。べ、別に女子高生が好きなわけではないですからねヽ( ´ー`)ノ

大人である僕たちは新たな公害にどう立ち向かわなきゃならないのか2017年06月30日

◆爽やかなカラッとした風に快晴という実に北海道らしい一日。
◆未来が来ちまっているよなぁと時々思う。20歳の頃の僕の一日は朝起きたらまずシャワーを浴びてレコードをプレーヤーにセットするかあるいはカセットデッキにカセットを入れてスピーカーから音楽を流してコーヒーを落として、そしてバイトに地下鉄で出かけた。バイト先の休憩室で煙草を吹かしながら新聞を読んで昨日どんなニュースがあったのかを知った。どんなに大きな事故や事件が起こってもバイト中はずっとカセットで音楽を流しているから、やってきた常連さんが「ねぇねぇテレビのニュースでさ」と教えてくれないとまるで知らずに過ごす。家に帰ってもテレビは音楽番組か映画ぐらいしか観なかったし、ラジオは深夜番組ぐらいしか聴かなかった。友達が僕に連絡したくても、僕が電話のある自分の部屋かバイト先にいなかったらまるで連絡が取れなかった。飲み歩いたり友達の家に泊まったりしたら急用があっても丸一日下手したら二日ぐらい連絡がつかなかったりもした。
◆それが、36年経った今は、起きた瞬間から世界中の出来事が目の前のパソコンでもしくはポケットの中のスマホで、音楽を聴きながらでも映画を観ながらでもリアルタイムで入ってくる。連絡はいつでもどこでもどんな方法でもつけようと思えば、つく。下手したらGPSで僕がどこにいるかさえもわかってしまう。何だったら遠くにいる老いた母の部屋にカメラを設置すればスマホでいつでも様子を確認できたりする。これを〈未来が来てる〉と言わないで何を言うのかって話だ。
◆でも、人間は一ミリも未来人になってたりしない。20歳の頃、汚職や自己保身にばかり走っていた政治家がたくさん山ほどいたけど、今もそのまんまじゃないか。何ひとつ良くなっていない。むしろ精神的に逆行もしくは退化してんるじゃないかってぐらいの話だ。芸能人のスキャンダルばかり大袈裟に騒いでいたマスコミもそのままだ。むしろ一般人がネットのせいで一億総マスコミ化(変な言葉だけど)しちゃっている。
◆僕らが子供の頃、便利さと豊かさを追求したら公害が生まれた。僕らは〈公害の世代の子〉だ。それと同じだ。未来になった分、別の意味での、色んな意味での、新しい公害が生まれてしまってるように思う。結局、進歩っていうのはそういうことなんだろう。
◆でも、僕らが子供の頃の大人たちは必死になって公害をなくそうとした。頑張った。その結果、甦った青空や青い海や清流や緑がある(もちろん、消えたものも、そのままのものもあるけど)。じゃあ、今、大人である僕たちは新たな公害にどう立ち向かわなきゃならないのか。
◆僕は、書く。希望の物語を。

僕たちは改札口への階段を駆け上がるために同じ方向へ歩き始めた2017年06月23日

◆曇り後晴れ。気温も上がった日。でもまた明日は雨だとか。
◆噺家は世間のあらで飯を食い、ってな言葉がありますが小説家も似たようなもので大概は自分の生きてきた人生を切り売りしてるようなもの。もちろん事実をそのまま書いちゃあさっぱり自分が浮かばれないしノンフィクションになっちまうので、そこを幹にして、あるいは枝葉にして、嘘と体験をうまいことごっちゃにしていくのが小説。虚実皮膜っていう言葉もあるけれど、要するにそういうもの。
◆よく昔のことを思い出す。書いている最中に、自分の体験がふっと浮かんできてそれを物語の中に溶け込ませることで、気持ち的にも内容的にも〈物語内リアリティ〉というものが生まれてくる。そういうのが上手くいくと、満足できるシーンができあがっていく。
◆今まで書いてきたものの中に、女性との出来事で体験を元にしたものがあるか、と訊かれると、ありますと答える。どの物語のどの場面とは言えないけど、その女性が読んだら「あ、これは私と小路くんのことだ」と思う場面はある。そういう女性たちとは現在まったく交流はない。許可も取っていない。なので、「勝手に書いて!」と怒っているかもしれない。申し訳ないって謝るしかないのだけど、できれば苦笑いで許してくれたらいいなと思っている。
◆そうやって思い返すと、自分の人生はわりと平凡だと思っていたんだけど、意外とそうでもなくてまるでドラマのワンシーンのような、文字通りドラマチックなシーンというのはけっこうたくさんあった。たまにネタにしてるんだけど、〈リアル〈ルージュの伝言〉〉をされたこともある(これも書いたら怒られるかなーと思っているんだけど)。
◆いつか書いてみたいシーンがある。地下鉄のホームの向こうとこっちに、僕と彼女は立っていた。そのほんの何十秒か前に改札口のところで「じゃあね」と手を振って別れたのだから、お互いの姿を確認しあっていた。最初に僕のホームに電車が入ってくるのがわかったので、彼女は僕に手を振った。僕が振り返している最中に電車が滑り込んできてお互いの姿が見えなくなった。でも、僕は乗らなかった。走り去った地下鉄のホームにまだ僕が立っているのに、彼女はちょっと驚いた顔をした。その瞬間に彼女のいるホームにも電車が滑り込んできて、そして電車が走り去ったけど、彼女もまだホームに立っていた。お互いに笑みを交わして、僕たちは改札口への階段を駆け上がるために同じ方向へ歩き始めた。
◆そういうようなシーンが、これから書く小説に出てきたら「あ、これは小路さんの体験談か」と思ってくださいヽ( ´ー`)ノ

マンガのキャラクターとしての小路幸也はこんな感じ2017年06月22日

◆冷たい雨が降っていた一日。明日からは晴れるかな。
◆自分の顔、っていうのはなかなか客観視できないものだと思う。毎日毎朝鏡で自分の顔を見てはいるものの、他人から見てどんなふうに思われているのかっていうのは、わかんないよね。
◆小さいころから声には自信があった。何故かはわからないけど、「幸也ちゃんは良い声をしてるわねぇ」と皆に言われ続けてきたのだ。なので、その気になって小学校・中学校では放送部に入ってアナウンサーをやっていた。そこでも「良い声だねぇ」と言われ続けた。作家になってインタビューやら、ラジオに出たこともあるけれど、そこでも皆さんに褒められているので、自慢になってしまうが良い声をしてるんだろう(声変りはしたけれども、ほとんどイメージは変わらなかったみたいだ)。
◆しかし顔は、まぁ普通だ。今まで生きてきたどの時代の基準に照らしても決して良い男ではない。嫌悪感を抱かれない程度には普通だと思っているが、どっちかと言えば悪人顔だ。今回、機会があって人気マンガ家の〈うめ〉さんに似顔絵を描いてもらえることになって、それが写真のものだ。本人そっくりにではなく、あくまでも〈うめ〉さんのマンガに出てきそうなキャラクターに少し寄せた〈小路幸也〉として。だから、実物よりは70%増しぐらいでいい男にはなっているのではないかと思う。そして、あぁ僕は人様にはこんなふうに見られているんだなぁというのがよくわかって、とてもおもしろかった(うめさんありがとう!)。
◆人は心だ、というのは本当で、決して見かけではない。でも、人間は視覚の動物だから見た印象で決まってしまうものがある。だから、50半ばを過ぎて今更モテようなんて気はさらさらないが、写真を撮られて人前に出ることも多い商売なので、人様に不快感を与えないように、きちんとした男に見られるように努力はしている。そしてそれはとても大事なことだと思っている。
◆背筋を伸ばす、きちんと歩く、しっかりと座る、素直に笑う、人とちゃんと向き合う。そして、相手の話を聞いて、自分の話も聞いてもらう。お互いにそうしようと努力するだけで、毎日の暮らしは良くなっていくものだと思う。
◆ま、一人で部屋にいるときはだらーっとするのがいいけどねヽ( ´ー`)ノ

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