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Diary

今年もまた新しい旅に出るよ2018年02月01日

◆きれいに晴れ上がった青空が見えた日。
◆もちろん連載を休んでしまったのでどの口が言うか、という話なのだが今月からはいつも通りのスケジュールで、つまり遅れない(いや遅れたりはたぶんしないと思うしないんじゃないかな)ように原稿が書けるんじゃないかと思う。担当編集さんには本当にご迷惑をお掛けしてしまった。そして当然のように休んだ分の原稿料は入らないわけだがそれは自業自得だ。
◆実は〈書き下ろし〉といわれるものには原稿料はない。出版後の一ヶ月か二ヶ月先に入ってくる印税が収入の全てになる。たとえば一ヶ月かけて書き下ろしたとして、それから本が出るまでにはおおよそ三ヶ月かかる。印税が入るのはさらに一ヶ月先なので、つまり小説家はその書き下ろしで収入が入るのは四ヶ月後、書いている間も収入はないので五ヶ月間まるっきり小説家としての収入はないのだ。今の僕は原稿料が毎月入る連載を抱え、文庫も連載後の単行本もどんどん出ている状態なのでまったく問題はないけど、書き下ろししか書いていない新人さんや連載がない小説家は本当に苦労する。作家デビューしても仕事は絶対に辞めるな、と先輩作家が真剣にアドバイスするのはそのせいだ。僕もそうアドバイスする。作家デビューできても仕事は絶対に辞めるな。学生のうちにデビューしたならまずは就職しろ、と。じゃあ、いつ専業作家になればいいのか、というのは、賭けだ。本当に、ギャンブル。今も僕は(全ての専業作家は)いつ執筆依頼がなくなって収入の道が途絶えるかのギャンブル継続中というわけだ。たぶん死ぬまで。
◆なんか愚痴めいた日記になったので反省して今後の予定。3月には映画『家族はつらいよ3』のノベライズが出る予定です(はい、また書かせていただきました)。4月には『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン』の文庫、そしてシリーズ新刊『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』。5月には『探偵と踊り子とパリを』(文藝春秋)の文庫が出ます。その後は連載作品が終了次第単行本になっていく予定です。連載中なのは『花咲小路三丁目北角のすばるちゃん』(ポプラ社)や、『春は始まりのうた マイ・ディア・ポリスマン2』(祥伝社)や『テレビ探偵』(カドカワ)や『ラバーズ・コンチェルト』(実業之日本社)などですね。
◆そして、今年中には新しい連載も三本ほど始まる予定です。まだほとんど考えていませんけれど(^_^;)、今の連載がわりとほんわかしたものが多いので、反対にハードっぽい感じになるかなー、という気もしています。まったく新しいところでの連載もあるのでご期待ください。

思い出はいつも指を動かしてくれる2018年01月27日

◆雪が降ったり晴れたり曇ったり。
◆ここ何日か日本中を襲っている寒波はもちろん北海道も例外ではなく、我が家近辺はマイナス22度まで下がった日もあった。さすがにそこまで下がるのは年に一回あるかないかなんだけど、子供の頃は日本の最低気温を記録した旭川市に住んでいたので、確かワンシーズンで二、三回はマイナス20度になっていたはずだ。そんなときでも子供は元気で外で遊んでいたりしたんだけど、そこまで気温が下がると雪玉が作れないで困った。そう、基本北海道の雪はパウダースノーになることが多いし気温が下がると湿り気がなくなってしまうので雪玉を作りにくいのだ。あと誤解されやすいがかまくらも作れない(かまくらの文化は東北)。すぐに崩れてしまうからね。
◆もう40年近く昔の話になってしまうが、同じ店に通う常連仲間のMさんと親しくなった。Mさんはその頃予備校生だった僕より三つ年上で既に社会人。ショートカットの元気な女性で明るく陽気な姐御タイプの人だった。整った顔立ちでスリムなMさんを狙っていた常連客は多かったけど、Mさんは酒を飲んでも乱れず常に軽やかに春風のようにそういうものを受け流していた。当時僕はアパートの自室で豆を挽いてサイフォンでコーヒーを淹れていた。それを目当てにやってくる友人も多くて一日に何杯もコーヒーを落としていた。ある夜にMさんが飲んだ帰りに「コーヒー飲ませて」と僕の部屋にやってきた。淹れてあげて二人でコーヒーを飲みながら煙草を吸いながらあれこれと話していた。「男になりたいんだよね」と、Mさんはぽつりと言った。男社会での女性の扱いについての話なのかと思ったけど、違った。こんなふうに夜中に男友達の部屋にふらりとやってきても何も起こらない、つまり友情で繋がる男になりたいんだ、とMさんは言った。「あの店で女として見られるのが辛い。私は皆と一緒にただ楽しく過ごしたい」と。当時の僕はその言葉の真意を計り兼ねて気が利いた言葉の一つも言えなかったんだけど、Mさんの真剣なそして淋しそうな笑顔は今もよく覚えている。「ここでならいつ来ても男でいいよ」と言うと、嬉しそうに微笑んで頷いてくれた。Mさんはいわゆるトランスジェンダーだったのかどうかはわからないけれど、それからも何度か夜中にふらっと僕の部屋に来てコーヒーを飲んでいった。引っ越してしまってからは交流も途絶えたけれど、もう還暦近くになっているはずのMさんはその後元気で自分の人生を歩んでくれただろうか。
◆何十年も付き合う友人はもちろん、ほんの数ヶ月の付き合いで会わなくなったけど覚えている友人もいる。同じクラスで過ごしたのに一度も話さないで別れたクラスメイトの中にも印象的な人はいた。そういう人たちが、僕の物語の向こう側にいつもいる。思い出はいつも指を動かしてくれる。

『札幌アンダーソング ラスト・ソング』が文庫になります2018年01月20日

◆晴れ。比較的良い天気。
◆そんなにしっかり観ていたわけではないのだが、〈わさお〉という犬とその飼い主のおばあちゃんの話は知っている。そして僕も犬をずっと飼っていた人間なので、画面越しでも犬の様子を見ればなんとなくはわかる。わさおは本当に飼い主のおばあちゃんが大好きだったのだ。そのおばあちゃんが亡くなってしまって、淋しがるわさお。でも大丈夫だ。わさおには仲間がいた。わさお、おばあちゃんの分まで長生きしろよ。
◆『札幌アンダーソング ラスト・ソング』(角川文庫)が今月の25日頃に発売になるはずです。〈札幌アンダーソング〉三部作の完結編です。そもそもシリーズにはならないだろうなぁと思っていたのですが予想に反してちょっと売れてしまって(^_^;)、三部作になりました。札幌の街で暗躍する天才〈山森晴行〉と、札幌の地で生きる同じく天才で自ら変態の専門家と名乗る〈志村 春〉の戦いの物語。本当に変態の探偵を描こうと思いついたアイデアなんですが、やはりそこはそれ、自主規制がいろいろ入りまして表面上はおとなしめになっていますが、よく読めば本当にこの主人公は変態です。いろんな意味で。バックボーンにした北海道開拓の歴史の暗部ともいうべきものも、匂わすだけにしておきましたが、まぁ激動の明治時代です。そりゃあもういろいろあったのですよ北海道。もちろん地元ですので入念な下調べはしてあります。申し訳ないですが、三部作なので、『札幌アンダーソング』『札幌アンダーソング 間奏曲』(角川文庫)を順番に読んでいただかないと話が通じません。軽く楽しめる物語になっています。どうぞよろしくお願いします。

春を待つ季節2018年01月19日

◆そこそこ雪が降った一日。
◆新年に入ってもまったくここを更新できなかった。つまり原稿が上がっていなかったということ。〈東京バンドワゴンシリーズ〉の新作である『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』はようやく書き上げたけれど(まだ編集さんが読んでいるところだけど)、どうにもならなくて他社の連載を何本か休んでしまった。しかも〈チーム東京バンドワゴン〉にもスケジュールの大幅な見直しを強いてしまった。関係部署の担当さんには本当に申し訳なく思っている。言葉で謝っても気持ちが済まないので担当編集さんに大好きな菓子折りでも酒でも肉でも持って土下座したいところなんだけど、何だったら殴ったり蹴ったりなじってもらったりしても構わないんだけど、北海道にいるのでそうもいかない。まだ遅れは取り戻せていない。とにかく一本一本、遅れに遅れた原稿を書くことでしかお詫びできないのだ。とにかく書きます。
◆今年の目標こそちゃんとスケジュール通り進行させるってのを掲げたい。いや既にもう遅れまくっているんだけど、何とかここから必死のリカバリーをかけたい。写真は戌年なので亡き愛犬。笑う門には福が来ます。
◆(と、原稿が遅れたり休んだりしたことを考えているとどんどん落ち込んでいくので切り替える)
◆毎年書いているけれど、1月からは僕の中ではもう〈春を待つ季節〉だ。そう、もう厳しい冬は来ない。もちろんまだまだ寒い冬は続くんだけど、この先に来る季節は春だ。大変な思いをして雪国の冬を過ごさないで雪のない地方へ引っ越すこともできるんだけど、しないのは面倒臭がりってのもあるけれど、厳しく辛い冬を乗り越えた先に来る〈春〉を味わいたいと心の奥底で感じているからじゃないかと思う。
◆今年も書きまくっていきます。新しい連載も始まる予定が数本あります。今年は57歳。もう初老なんだろうけど、老人の中ではいちばんの若手なんだろうから気持ちはいつまでも新人のつもりで。
◆北海道日本ハムも北海道コンサドーレ札幌も新しい陣容でスタートしている。球春ももうすぐそこだ。
◆で、本当にスケジュールがガタガタになっているので、また当分ここの更新も滞ります。申し訳ない。

良いお年を!2017年12月31日

◆晴れ。
◆マイナス15度まで下がった朝でダイヤモンドダストがあちこちで見られる。小さい頃から冬になればごく普通に見られる光景なので特に嬉しくも何ともないのだが、通勤している頃に駅のホームで電車を待っているときにキラキラ輝くと「あぁ絵になるよなぁ」と思ったもんだ。
◆今年も終わってしまう。毎年のことなのに今年中に書かなければならない原稿が上がっていない。担当編集さんには既に泣き言の連絡を入れてあるけれど本当に申し訳ないと思う。今年こそちゃんと仕上げるつもりだったのに結局書き上がらない。もちろんわざとやっているわけではない。
◆こういうときには本当に落ち込む。情けなさとどんどん過ぎていく時間に胃が痛くなるし食欲もなくなっていき、ちょっとした鬱状態になりかけることもある。あくまでもなりかけでならないところが私の長所だ。どう乗り切るかというと「書き上がらないんだからしょうがない」と開き直るのだヽ( ´ー`)ノ、まぁそれはジョークだけど、実際のところ焦っても何もいいことはない。とにかく、書くことだけに集中する。それしかないのだ(もちろん必死に書いてます。この日記は晩ご飯の前の休憩時間に書いています)。
◆相変わらずたくさんの原稿を書く一年が過ぎていった。単行本も文庫本もいつもの年のようにたくさん出せた。本当にありがたい。僕の物語をおもしろいと買ってくれる読者さん、本を仕入れてくれる書店さん、そして執筆依頼をしてくれる編集さんに出してくれる出版社さん。今年も本当にありがとうございました。
◆表現する場を与えられた幸運な人間として、自分の中にある物語を全部描き出していきたい。それが受け入れられるかどうかはわからないけど、読んだ人の生活の中にほんの少しでも幸せな光を与えられるような物語を。それは来年も変わりなく続けていこう。
◆毎年言っていますが、「良いお年を!」。この言葉を掛け合うことが出来る時間が好きです。どんな時代であろうとも、その言葉を掛け合うもの同士が未来に希望を見ている気がします。
◆良いお年を。来年もよろしくお願いします。

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