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2015年1月1日(木) あけましておめでとうございます
◆穏やかな天気。tokyokazoku2015
◆新年明けましておめでとうございます。何せ原稿の上がっていない僕はとてもそんな気分になれないのですが、世間は初春です。お正月です。凧上げて独楽回してお雑煮食べてお節を食べます。皆様も穏やかな新年をお迎えになられているでしょうか。今年こそ世界が平和になりますようにと願いながら今年もよろしくお願いします。
◆大晦日正月の様々なしがらみをこなしながらも慣れない環境で疲れた身体で原稿を書いていたのですが、さすがに皆がテレビを観ているのは気になります。しかも紅白歌合戦には中森明菜さんや中島みゆきさんが出るといういうじゃありませんか。別に中森明菜さんのファンでもなんでもないんですが、彼女の声は好きです。そして歌い手としての表現力は当時のアイドルの枠を超えていたと思っていたので、観ました。変わっていなくてホッとしましたね。もう一度あの素晴らしい歌声をテレビで観たいものです。そして言うまでもなく圧倒的な存在感だった中島みゆきさん。おそらく現在日本の女性シンガー、ソングライターでは唯一無二の存在であり、これからも彼女を越える人はそうは出てこないでしょう。まさしく彼女の前に道はなく彼女の後の道は誰も歩けません。そしてサザンオールスターズ。NHKで今現在日本で歌えるのは彼らしかいないと言っていいあのメッセージソングを歌ったのはお見事でした。しかも東京オリンピックのメッセージソングまで抱き合わすとはさすが桑田さんです。たぶんそこまで考えていますよね桑田さんなら。どこぞの筋肉バカミュージシャンとは格が違いますねヽ( ´ー`)ノ
◆写真は名作のひとつ上げていいと思う映画『東京家族』。何度もここで書いていますが、僕は『東亰バンドワゴン』というホームドラマを書いているくせに、家族への思いは希薄な人間でした(だからこそ書いたという気もします)。お正月は家族のことを考える良い機会だと思います。どんなに時代が変わっても、人間である以上は〈家族〉というものを抱えて生きていきます。捨てようが捨てられようが失おうが自分が今ここに存在しているということは家族も存在している(いた)はずです。そして今家族が存在しているのなら、仲良く過ごせればそれがいちばん。それができないのなら、遠くから思うだけでも、思い合うだけでも、そう努力するだけでも、世の中を善き方向へ向かわせることの一助になると思います。
◆そんな物語を今年も書き続けます。今年もよろしくお願いします。

1月8日(木) 『少年探偵』
◆吹雪いたり曇ったり晴れたり。shonentantei
◆昨日からの大荒れの天気で道内はJRは止まるわ高速道路は通行止めだわ飛行機は飛ばないわ、で、悪趣味な言い方ですが冬の風物詩と言える事態。でもまぁなんとかやってます。そんな日に見本が届きました。以前からお知らせしている〈江戸川乱歩誕生120年記念オマージュ企画第3弾〉として刊行されます、小路幸也のみんなの少年探偵団 少年探偵』(ポプラ社)です。年配の読書好きの方なら、誰もが一度は手に取り、中には僕のようにここから読書好きになった人も多いでしょう。あの怪人二十面相と明智小五郎と小林少年の活躍する〈少年探偵シリーズ〉へのオマージュ作品です。これが、どんなに光栄で嬉しいことか皆さんに伝わるでしょうか。何度もインタビューで、あるいはここで言ってますが、僕が初めて自分から手に取り読書をしたのが江戸川乱歩の少年探偵シリーズ『青銅の魔神』でした。そこから僕はこのシリーズを読みあさり、読書好きの子供になりました。今も当時買ったポプラ社のあのシリーズが本棚にあります。僕の原点と言い切ってもいいのが、この少年探偵シリーズなのです。そのオマージュを、堂々と、装幀のイメージもそのままに、〈小路幸也の怪人二十面と明智小五郎と小林少年の活躍譚〉を書けたのです。ぶっちゃけデビュー作より嬉しいかもしれませんヽ( ´ー`)ノ
◆〈怪人二十面相〉〈明智小五郎〉〈小林少年〉、彼らは何者なのか?
 というのを僕の新しい解釈でキャラクターを作り上げました。時代設定はオリジナルが活躍した〈戦前戦後〉を若干ミックスしたもの、あるいは多少の虚実を交えた戦後間もなく、という解釈もできるようになってます。とにかくこの中に〈江戸川乱歩の少年探偵シリーズ〉が抱えたものを全部詰め込んだつもりです。その上で、小学生も読めるようにしました。もちろん、大人なら色んな深読みもできるようになっています(^_^;)。
◆とにかくこの装幀が素敵なので、全部見せちゃいます。
shonentantei1
◆もう嬉し過ぎて舞い上がっていますが、小路幸也の〈少年探偵団〉(あっ、都合により団は出てこないんです。だからタイトルは『少年探偵』なんです。もしもう一度書けることがあれば団も活躍させます)をどうぞよろしくお願いします。1月14日発売予定です。

1月19日(月) 春を待つ季節
◆晴れ。比較的穏やかな天気。jerseyboys
◆言い訳にしかならないのだけれども、ようやく遅れに遅れた数々の締切りを通常の締切りに戻すことができた。つまり、次に書く連載の締切りは(一週間後だけど)予定通りだということ。いやーしかし我ながら昨年の10月ぐらいから書きまくった。限界なんかとっくに通り越していたと思う。通常の連載の締切りに加えて書き下ろしが三本ほどもあったのだから。ご迷惑をお掛けした担当編集の皆さん本当にごめんなさい。申し訳なかったです。もう今この時点から「すみません締切り何とかなりませんか」というメールは二度としません。たぶんしないと思う。しないんじゃないかな。ま、ちょと覚悟はしておけ。いや本当にしないつもりで今年も頑張ります。
◆実際、上の日記の『少年探偵』(ポプラ社)もその怒濤の時期にに書き下ろしたものですよ。もう書き立てのほやほやで本になりましたヽ( ´ー`)ノいつもの年に増してクリスマスも正月もなかったなー。この三ヶ月ちょっとでまともに外出したのはたぶん一日だけ(旧友との忘年会)。
◆そんなわけで、ようやく今年の抱負とかも考えられるようになりました。何よりもまず締切りを守る。そして腹周りについた贅肉を落とす。あとは、無病息災、家内安全、無事故無違反、世界平和。
◆写真はこの映画も結局観に行けなかった。『ジャージー・ボーイズ』。せめてDVDで観る。
◆世間のことには一切目を向けず耳を傾けずに来たのだけれど、まぁいろいろあったみたいだ。いろいろ言おうと思ったけれどとりあえずバカを相手にしてもしょうがないんだってことを確認するのみ。
◆まだこれから冬が厳しくなる北海道だけど、1月に入ってしまえば文字通りの新春。冬がやってくる季節から、春を待つ季節になる。どんなに雪が降っても寒くなっても吹雪いても、季節は春に向かっていくんだ。そう思えば、待ち遠しくて、毎日が楽しい。

1月20日(火) 日々
◆猛吹雪。も・う・ふ・ぶ・き。hyakken
◆札幌および近郊は朝から猛吹雪で道路はホワイトアウト状態。よんどころのない事情があって朝から車で出なければならなかった。覚悟を決めて出ていったよ。死ぬかと思ったよ。幸いだったのは前日まで良い天気で、途中から道路のあちこちにかすかにアスファルトが見えていたこと。そう、地面さえ、ほんの少しでも見えていればホワイトアウトは怖くないのだ、っていうかホワイトアウトにならない。本当のホワイトアウトはマジで360度真っ白になるからね。帰り道は風が治まり雪も小降りになって助かったよ。
サッカー日本代表はアジアカップ予選を3連勝で勝って決勝トーナメントへ。3試合とも盤石の戦いぶりだったのではないだろうか。とにかく、相手がどこでも怖くなかった。じりじりもイライラもしなかった。前線の攻撃陣、中盤、そして守備陣。全てが意図のある余裕のある戦い方をしていた。もちろん完璧ではないけれども、何というか、自信に満ち溢れていた。このままで決勝トーナメントを勝ち進んでいただきたい。そして、アジア王者は当分交代しないというのを知らしめてほしい。
◆専門学校でゲームシナリオの講師を三年やった。大学で文章創作の講師もやった。夏休みの中高生たちに創作教室もしている。その学生や子供たちに〈才能〉があるかどうかは、物語を書かせればすぐにわかる。わかっちゃうんだ。だから、小説を書く才能っていうのは確かにあると思う。でも、そこから先は、わからない。才能って生まれるものだと思う。努力した先にひょいと顔を出すかもしれない。僕は30歳の誕生日に作家になろうと決めて、初めて小説を書いた。その初めての小説はたぶん今となっては読むに堪えないものだと思う。僕はそういう先生に習ったことは一度もないのだけど、何作も何作も書いていくうちに、ある日に書いた文章に何かを自分で感じたことがある。するっ、と書けた。その作品は、ある新人賞で最終選考に残った。そういうことも、ある。だから、書くことが好きならどんどん書けばいい。作家になるのが目標なら、書き続ければいい。小説家なんて何歳になってもなれるものなのだ。僕がデビューしたのは42歳だ。おっさんすぎる年で、新人になったのだ。そしてそれから10年以上、喰っていけてる。手本にはならないけど、見本にはなるだろう。

1月21日(水) 日々
◆晴れ。穏やかな天気。gbh
◆何せネタがないので今年の刊行予定をまずは。もう出ていますが1月に単行本で『少年探偵』(ポプラ社)、同じく1月には『コーヒーブルース』(実業之日本社文庫)が文庫になります。そして2月は宮下奈都さんと一緒に書いた『つむじダブル』(ポプラ文庫)が文庫になります。3月には単行本で『札幌アンダーソング 間奏曲』(角川書店)が出ます。『札幌アンダーソング』のシリーズ第2弾ですね。一応三部作を考えていますのでもう一冊出る予定です。4月にはまず『フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン』(集英社文庫)が文庫になります。そしてシリーズ最新作単行本『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』(集英社)が出ます。5月には『話虫干』(ちくま文庫)が文庫になる予定です。そして6月には『はるかな星へ(仮題)』(筑摩書房)が刊行予定になっています(連載時のタイトルからもうちょっと考えます)。7月以降がまだ決まっていないのですが単行本で『踊り子と探偵とパリを』(文藝春秋)、そしてもう一、二冊予定があるようなないような(^_^;)。文庫も確かもう一、二冊あったような気がします。相変わらず出し過ぎですが、どうぞよろしくお願いします。
◆たくさん本を出してもらっているのに、自分の不甲斐なさで正直結果が出ていない。申し訳ないと思い続けて10年過ぎてる。このままじゃいつか執筆依頼がなくなるんじゃないかという不安は常にある。その不安と戦いながら書かなきゃならない。でもまぁ、自分でやってることだから、立つ舞台がなくなったのなら、自分はそこまでの人間、実力だったということで諦めもつくのだけど。
◆書かなきゃ。書いていないと死んじゃいそうだ。

1月22日(木) インフルエンザ
◆曇り。穏やかな日。danjhon
◆10数年ぶりに病院に行ってきました。インフルエンザです。実は三日前から妻がインフルにやられまして寝込んでいたんです。うつらなきゃいいなー、どうかなー、と思っていたのですが、昨夜ついに微熱と喉の痛みが。今朝になってもその微熱が治まらないので、これは行ってきた方がいいだろうと。正確に言うと12年ぶりに自分の病気で近所の内科医に行ってきました(子供の病気ではよく来てたけどね)。よくもまぁそんなに長い間風邪ひとつ引かずにこれたものだと自分を褒めてやりたい。で、病院に行ったらとっくにカルテはなくなっていて、全部やりました。尿検査も身体測定も。身長が伸びていたような気がするのは気のせいでしょうか。ご飯を食べて薬を飲んで寝て、起きてまたご飯を食べて薬を飲む、を二回繰り返して現在原稿執筆中。たぶん薬の副作用で若干身体が怠いけれど、熱もとくになし。普通に原稿書けます。元気です。お風呂は入らない方がいいと思って控えました。明日は入りたいです。
◆そもそも健康体なんですよ。会社勤めの頃の健康診断でもいつも全ての検査が標準値でなんにも悪いところがない。少しぐらいは病気自慢をしたいのに、まったくない。高校生からの喫煙者だけど肺もきれいだといつも首を傾げられていたの。まぁ病と言えば耳鳴りぐらいですね。これはもう全然治らないのでしょうがない。
◆とはいえ、やはり怠いことは怠いので、執筆もほどほどにして今日は早く寝ます。明日には完全復活できますように。
◆写真は九井諒子さん『ダンジョン飯』。この方のセンスが大好きです。寡作な方みたいですが、どんどん描いてほしいです。
 

1月23日(金) 日々
◆曇ったり少し雪が降ったり。teshima
◆インフルエンザは回復しました。一応薬は飲んでいますが、熱もなく体調も万全。むしろ薬飲みたくないぐらいだけど今日一日は飲む。丈夫な身体に生んで育ててくれた親に感謝する。
サッカー日本代表はアジアカップ準々決勝敗退。まぁ引き分けでPK戦でだけど負けは負け。久しぶりにこんなところで落ちたね。原因を探れば、油断、かな? 前にも書いたけど今大会はすごく強い日本代表を感じていた。今日の試合にしてもほとんどボールを支配した。でも、立ち上がり明らかに狙ってきていたUAEに先制点を取られて、そこから2点取れなかった。とにかくUAEは身体を張って勝ちへの執念を感じた。そして日本の攻撃陣のシュートがことごとく枠を外れていくので「あぁ今日はひょっとしたらダメだな」と感じていたらPKで本田と香川が外すというドラマのお約束のようなパターン。油断を引き起こしたのは、まぁなんだろ。何とも言えないけど監督の采配に求めるしかないかな。しかしこれで八百長疑惑との合わせ技でアギーレ監督解任への動きが加速するのは間違いないのではないだろうか。
◆強さってなんだろうね。特に日本代表は難しいよね。年取ったせいか腹も立たなくなって「さてどうしたら日本は世界で勝てるチームになるかのぉ」とじいさんの茶飲み話のような気分だ。日本代表への求心力も弱まっていることだし、ここは一発起死回生の監督交代劇でも見たいね。日本人監督とかさ。あるいは日本も人気のあの人とかさ。
◆写真は手嶌葵さんのアルバム『Ren'des-vous』。今の日本で存在感のある女性ヴォーカリストの一人。相変わらずの世界観が心地よい。
◆今年の単行本刊行予定、現在連載中の祥伝社さん『アシタノユキカタ』、およびポプラ社さん『花咲小路二丁目の花乃子さん』もありました。ひょっとしたら出ます。

1月24日(土) 『コーヒーブルース』文庫
◆晴れたり曇ったり。今日も穏やかな日。coffeebluesb
◆そんな日に〈ダイ・シリーズ〉の二作目となった『コーヒーブルース coffee blues』(実業之日本社文庫)の見本が届きました。連載時のタイトルは英文字なのですが、単行本化の際にはやはりわかりやすさを重視してカタカナになっています。
◆一作目『モーニング』を書いたときにはまさかシリーズにするなんて思っていなくて、そもそも単発で終わるお話でした。でも、意外と評判が良かったので「シリーズにできないか?」というお話があり、主人公である弓島大には〈過去に事件がありそれで隠遁するように喫茶店をやっている〉という設定があったので、そこを膨らませて書いたものです。以前にも書きましたが〈弓島大〉という名前は敬愛する漫画家さん〈大島弓子〉さんから勝手にいただいたものです(^_^;)。最初に〈大〉という名前が浮んできたので、それに似合う名字は何かなと思ったときに目の前にさっきまで読んでいた大島弓子さんのコミックがありまして(^_^;)「あ、これだ」と。面識も何もないのに大島先生本当にごめんなさい。
◆弓島大は本当にただの喫茶店の店主です。特殊な技能も才能もありません。強いて言えば〈善人〉であると。友人達に言わせると〈大善人〉。本人にはそんなつもりはないのですが、普通に行動するとそれは全部〈自分を犠牲にしても他人のために動く〉ことになってしまうという男です。さらには〈何故かトラブルの現場に居合わせる〉という運の悪さも持っています。そうなんです。実はこの弓島大って、映画『ダイ・ハード』の主人公の真逆版なんです。本人は静かに黙って暮らしているのに(それを望んでいるのに)トラブルに巻き込まれて自分だけではなく仲間を頼って(仲間が集まってくれる)解決する、という設定なんですよ。
◆その第一歩となったのがこの作品。幼い女の子に頼まれた小さな問題と、ダイ自身の過去の事件が同時に浮き上がってきて、二つの事件がやがて……というふうに話が進んでいきます。三作目の『ビタースイートワルツ』(実業之日本社)、そしてこの春から連載予定の四作目『スローバラード』で、弓島大の大学時代から現在(僕と同い年という設定なので53、4歳)までの人生とトラブルを書くことになります。もし、その次があるとしたら高校生・弓島大ですかね(^_^;)。僕もこのダイたちの仲間と会うのが楽しみです。どうぞよろしくお願いします。
◆余談ですが、〈弓島珈琲〉名物の〈丹下さんのミートソース〉のモデルは、僕が学生時代にバイトしていた喫茶店で出していたミートソースです。本当に美味しかったんですよ。今でも思い出すと食べたくなります。その喫茶店での日々をモデルにした札幌の若者の群像劇『ロング・ロング・ホリディ』PHPさんの〈文蔵〉で連載中です。
◆そしてさらに余談ですがその『ロング・ロング・ホリディ』が掲載されている〈文蔵〉さんには北大路公子先生のエッセイ『私のことはほっといてください』も連載されている。同じ北海道に暮らす者同士と編集者が気を使っているのかどうかいつもセットで前後に掲載されている。そして僕はいつも北大路公子先生のエッセイを先に読んでその才能に打ちのめされるのだ。「おもしろい……俺の小説など足元にも及ばない……くっ……」。
◆北大路公子大先生、こんな感じでよろしかったでしょうか。

1月25日(日) 日々
◆晴れたり曇ったり。穏やかな日。yorisou
◆しばらく札幌近郊は穏やかな天候が続いている。このまま春になってくれればいいなぁといつも思うのだけどそうはいかない。またきっとどかっと大雪が降る日がやってくるのだ。人生楽ありゃ苦もあるさ。くじけりゃ誰かが先に行くのだ。
◆昨年今年と僥倖にも作詞の仕事を二つすることができた。ひとつはBUZZの東郷昌和さんのソロアルバムに二曲。しかも伊藤銀次さんの作曲も一曲ある。僕らの世代、そして少し上の世代にとって忘れられないミュージシャンお二人が僕の歌詞に曲をつけてくれたのだ(正確には曲先ですが)。そして同じ北海道出身で仲良しのバンド〈TRIPLANE〉が2月に出す新譜のタイトルチューン『ノンノ』はボーカルの兵衛くんの曲に僕と共作で作詞した。ずっと憧れていた音楽の世界で作詞という仕事ができて本当に嬉しい。そもそも僕の最初の創作活動は作詞だった。その仕事を作家になってからできたのだから、いや人生どうなるかわからないものだ。ありがたいありがたい。
◆そうそう、音楽の仕事と言えばバービーボーイズの30周年記念アルバムのライナーノーツにも原稿を書くことができた。これはバービーのIMASAさんこといまみちさんとのお付き合いがあったからだけど、これもありがたいお仕事でした。
◆ボーカリストというのは、ソロであれバンドであれその音楽の顔になる。その人の声が、その音楽の核になる。ワンフレーズ聴いただけで「あ、いいなこの人」と思わせてくれないと、いち音楽ファンとしては困ってしまう。とかく年寄りは今の音楽状況を嘆くものだけど、僕もときどき嘆く。いいボーカリストがいない。いや歌の上手い人がいくらでもいるのだけど、やっぱりハートに飛び込んでこられないと困る。カラオケが上手いだけではボーカリストとは呼びたくないのだ。そもそも下手でもいいボーカリストはたくさんいる。そこに何が必要かと問われれば、やっぱり〈魂〉なのだ。ソウルなんだ。と、我南人みたいなことを言うしかない。写真は、決して派手さはないけれども心に届く歌を作り唄ってくれる人の一人、福原希己江さん『よりそうものたち』
◆いいミュージシャンにたくさん出会いたい。音楽は、世界を変える。

1月27日(火) 日々
◆雨が降ったり。chetbaker1
◆2月末とか3月ならば歓迎だがこの時期の雨は勘弁していただきたい。いったん融けた雪が凍る気満々になるじゃないですか。間違いなく明日は転んで病院に担ぎ込まれる人が普段の十倍になること請け合い。
◆大人的な考え方、社会人としての何かを考えられるようになった年齢を仮に25歳としておこう。それから28年間を僕は社会人として過ごしてきたわけだ。結婚したり子供ができたり親が死んだり、会社を辞めたりど貧乏になったり作家になったり生活が楽になったりそして子供が巣立っていったりと一応フルコース的な人生を今まで歩んできたわけだ。日本というこの国で、暮らしてきた。この国を見つめてきた。じゃあ、世の中は住み難くなったのか、日本人はダメになっているのか、日本という国は変な方向へ走っているのか。
◆正直なところ、わからない。
◆歌の文句じゃないけど世の中は常に変わっていく。人の感じ方も変わっていく。変わらないものは確かにあるけれども、変わっていくものこそが時代を作っていくような気もする。わかりやすいマンガというサブカルチャーひとつ取っても28年前と今では〈描かれる感性〉は明らかに変質している。でもそれは単に〈形を変えた〉に過ぎないという気もする。人間の本質なんてたぶんアダムとイブの頃から変わっていない。二分してしまえばそこに描かれるのは結局〈戦い〉と〈安らぎ〉だ。
◆生きるための戦いはもちろんする。今までずっとしてきた。誰もが平等に同じものを食べて同じ暮らしをするなんてことはできるはずもない。でも、国を奪い合うような人を殺すような戦いはもう二度としなくても人は生きていける。少なくとも日本という国はそれをしてきた。それは、変えてはいけない。
◆日本は、今でも世界の国の中でも〈強者〉の部類なんだ。それを忘れてはいけない。たとえ国内に貧困にあえぐ人がいたとしても、国として考えれば経済的な〈強国〉なんだ。そして、強き者は弱き者に優しくなくてはならない。優しくなくては本当の強者ではない。安らぎを与えられる者こそが、真の強者だ。
◆まぁ何を言いたいかといえば、カッコいい大人になろうぜってことだ。

1月29日(木) 刊行予定訂正
◆晴れたり曇ったり。穏やかな天候。fury
◆いやー、うっかりしていました。気づかれていないと思いますが今年の刊行予定をさくっと訂正します。数日前の記事と比べてツッコんだりしないでください。原稿はちゃんとあげてますので(^_^;)。まずは、もう出ていますが1月に単行本で『少年探偵』(ポプラ社)。お蔭様で重版掛かりました。同じく1月に『コーヒーブルース』(実業之日本社文庫)が文庫になります。たぶん明日明後日辺りでで店頭に並ぶのではないかと。よろしくお願いします。そして2月は宮下奈都さんと一緒に書いた『つむじダブル』(ポプラ文庫)が文庫になります。3月には単行本で『札幌アンダーソング 間奏曲』(角川書店)が出ます。『札幌アンダーソング』のシリーズ第2弾ですね。一応三部作を考えていますのでもう一冊出る予定です。4月にはまず『フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン』(集英社文庫)が文庫になります。そしてシリーズ最新作単行本『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』(集英社)が出ます。5月にはまず単行本で『踊り子と探偵とパリを』(文藝春秋)が出ます。そして『話虫干』(ちくま文庫)が文庫になる予定です。そして6月には『はるかな星へ(仮題)』(筑摩書房)が刊行予定になっています(連載時のタイトルからもうちょっと考えます)。7月以降がまだ決まっていないのですがあくまでも予定として、現在連載中の『アシタノユキカタ』(祥伝社)が10月に単行本で出ます。同じく連載中の『花咲小路二丁目の花乃子さん』(ポプラ社)も刊行予定です。どこをうっかりしていたかは本当に気にしないでくださいヽ( ´ー`)ノ
◆写真は傑作戦争映画『FURY』。これは本当に傑作だと思う。戦争映画が好きならば観るべき。現実での戦争はもちろんもう二度とやってはいけない。でも、戦争映画は好きだ。しかも好きな戦争映画の半分ぐらいは日本が敗戦国となった戦争の映画だ。この矛盾は、考えない。解消しようのない矛盾なのだ。どうしようもないんだ。総じて男は戦車も戦闘機も戦艦も銃も剣も大好きだし戦いが好きなんだ(もちろんそうではない男性もいるけれど)。小さい頃から〈戦う物語〉が大好きなんだ。ウルトラマンだって仮面ライダーだってそうなのだ。おっさんだからもっと古い例を挙げるけれど〈忍者部隊月光〉なんか本当に大好きだったぞヽ( ´ー`)ノ

1月30日(金) 『つむじダブル』
◆晴れたり曇ったり。tsumujidoubleb
◆私用で大阪にいる。夜について、明日の昼にはもう帰るというスケジュール。残念ながらあちこちふらつくというお気楽な用事でもない。大阪には昨年『東京バンドワゴン』のサイン会でお邪魔しましたね。その時もあまり観光はできなかった。でもたこやきは食べたヽ( ´ー`)ノ。あ、大坂城も行った。また今度のんびり来れたらいいな。しかし明日は北海道荒れるんだけど帰れるんだろうか。
◆そんな日の午前中に見本が届きました。2月の頭に発売予定の『つむじダブル』(ポプラ文庫)です。宮下奈都さんと一緒に書いた物語が文庫になりました。
◆単行本の際にもお話ししましたが、この物語、ツイッターで始まりました。僕と宮下さんはアンソロジーでご一緒したことはあっても面識はなく、ツイッターで〈はじめまして!〉の挨拶。その後なんだなんだとどうでもいいことを(^_^;)ツイートし合っていたのですが、僕の〈つむじが二つあってヘアスタイルが決まらない〉というツイートに宮下さんが〈私もです!〉と反応して〈つむじダブルですね!〉と宮下さんが言ったのです。そこから、始まってしまいました。つむじが二つある兄妹の物語を書くことになったのです。妹のパートを宮下さんが書き、兄の部分は僕です。「かっこいいお兄ちゃんを書いてください!」という宮下さんのご要望に応えて、とにかくかっこいいお兄ちゃんにしました。兄妹の年齢差はちょうど僕と宮下さんの年齢差をそのまま使いました。小路と宮下兄妹の誕生ですヽ( ´ー`)ノ
◆実は単行本が出たときに宮下さんとミニトーク会をやったのですが、そのときに宮下さんのご兄弟が内緒でいらしていて、宮下さんがとんでもなく焦ってあわあわしたのを覚えています。その後、ご兄弟と話す様子を見て「あぁ良いきょうだいだな」と感じたのを覚えています。僕にも姉が二人います。普段は意識はしませんが、僕の物語に出てくる〈姉〉という登場人物には何かしらその雰囲気が出ているかもしれません。
◆家族の秘密をめぐる、ちょっとどきどきするけど、楽しい物語です。可愛らしい妹と、かっこいいお兄ちゃん、二人の暮らしを楽しんでいただけたら嬉しいです。