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2014年5月1日(木) 日々
◆晴れたり曇ったり。matsuokanaoya
◆庭の桜の芽も膨らんできてもう少しで咲きそう。良い陽気の日々。またひとつ、訃報が飛び込んできた。ジャズミュージシャンの松岡直也さんが亡くなられた。一般の人に説明するときには、中森明菜さんの『ミ・アモーレ』の作曲者と言えば多くの人が頷いてくれるだろう。知らない人でもいくつのか曲を聴かせれば、必ずどこかで聴いたことがあるはずだ。少し哀愁を帯びた日本人好みのメロディラインが特徴の、ラテン・ジャズ・フュージョンだ。80年代、ジャズ・フュージョンが全盛期の頃に松岡直也さんも自身のバンドを率いて大活躍していた。ジャズ・フェスに彼の名前は必ず上がっていた。ジャズからフュージョンの洗礼を受けた僕もLPを何枚も買って何度も聴いていた。広告会社に入社して、イベントプランナーとしてディナーショーのディレクターをしていたとき、迷わず松岡直也さんに電話して出演をお願いした。電話口で事務所のマネージャーさんが「松岡でいいんですか?」と親しげに軽い冗談を言ってくれた。空港で出迎えたときに松岡直也さんは「わざわざありがとうございます」と笑顔で握手してくれた。現場で、ステージ裏などで控える僕に「よろしくね」「ありがとうね」と気さくに声を掛けてくれた。終わった後に「実はずっとファンでした」と言うと、にっこり笑って「早く言ってくれればステージに上げたのに」と冗句を言ってくれた。長い闘病生活だったと聞きました。お疲れ様でした。ご冥福をお祈りします。
◆若い頃から大好きだったミュージシャンや俳優さんたちが先に逝ってしまう。それは僕自身が50を過ぎた年齢になっているのだからしょうがないこと。いつもこういうときに言うけれども、いつか向こうで会えたときに「お前も頑張ったじゃないか」と笑って肩を叩いてもらえるように、頑張る。

5月2日(金) 清志郎さんへ
◆晴れたり曇ったり。穏やかな天気。imawanokiyosiro1
◆清志郎さん、あなたが長い長いツアーに出かけてしまってもう五年が過ぎたよ。作家なのに月並みな言葉で悪いけど、早いね。あっという間に時が過ぎていくよ。五年間何をしてたかって思うけど、ずっと書いていたんだ。時にはあなたの歌を聴きながら。
◆今日もきっとあちこちで、皆が清志郎さんの歌を歌っていると思うよ。皆で笑って、ジャンプして、イエーッて叫んで、ステップを踏んで、ご機嫌で、どかどか蹴飛ばして、楽しそうに歌っていると思うよ。
◆僕たちは夢を見続けているよ。毛布にくるまって、同じ夢を。
◆昨日も書いたけれど、僕は今年で53歳になった。この年になると小さい頃から憧れていたミュージシャンや、作家や、俳優たちがどんどん先に逝ってしまうという経験をし続けることになる。その度に、ただただ淋しくなる。ぽっかり胸に穴が開いたような気分を何度も味わう。でも、人間は慣れる動物なのだ。日々を過ごしていけばその気持ちは薄らぎ生活に一生懸命になる。そうやって、生きていく。憧れた人だけではなく、もっと身近な仲間や家族も先に逝ってしまうことも増えていく。それでも、残された人間は生きていくのだ。いつか自分にその日が訪れるまで。
◆僕は好きなミュージシャンの新曲を聴きたい。好きな漫画の続きを読みたい。面白い映画をもっと観たい。野球を観たい。サッカーワールドカップを見続けたい。もっと面白い小説を書きたい。美味しい御飯を食べたい。だから、生き続ける。
◆死ぬ理由はたくさんあるのかもしれないけれど、生きる理由だって、その辺にたくさん転がっているんだぜ。
◆rock 'n' roll!
◆とりあえず、締切りだ(^_^;)。大人なんだから、約束は守らなきゃ。

5月6日(火) 日々
◆晴れたり曇ったり。少し風が冷たかったかな。item5
◆トップページにあるようにこの日記は実は1996年12月に始めていてもう18年にもなる。まぁデビュー前の古い日記は見られないようになっているしデビューしてからの日記はサーバートラブルで見られなくてまだ修正できていない。それもしなきゃなぁ。
◆デビュー前の日記を読めないようにしているのはほとんど毎日書いていた〈読書日記〉だからで、まぁ随分と辛辣なことも書いているからだ。同業者になってしまった皆さんへの刃がそのまま自分にも返ってくるのでそれはちょっと嫌なのでヽ( ´ー`)ノ。デビューしてからもしばらくは読書日記をつけていたけど、その内に完全に映画と音楽とスポーツと身辺の雑記になってしまった。そしてここ最近はマジでネタもないし忙しいしで更新頻度も減っている。18年もやってるんだから止める気はさらさらないんだけどせっかくだから毎日更新したいので、何か更新できるネタを考えなきゃなぁと思っている。
◆とか言いながらFBとかも全然整理してないし。何かを変えなきゃね。写真は映画『42 世界を変えた男』。野球好きにはたまらん。
◆たぶん、近々環境を変えることにはなると思う。来年次男が高校を卒業すれば、寮生活をしている彼が帰ってくる来ないに関わらずひとつの区切りになるからね。部屋を改装するなり新天地を探すなりあると思う。そうしたときに、全てのものを変えるのもまたいいものだと思う。人生は死ぬまで勉強と冒険の繰り返しだ。

5月10日(土) サイン会ありがとうございました。
◆京都も大阪も晴れ。暑い。wolfof
◆まぁとにかく北海道に比べればどこに行ったって暑いのだ。完璧にこれは夏だろうという気温と日差しの中、大阪紀伊国屋書店梅田本店さんで行われたサイン会へ行ってきました。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。80名ほどの方が参加してくださって、どうやら書店さんにご迷惑は掛けない形で終われました。嬉しい言葉や、お土産などもたくさんいただきました。重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。紀伊国屋書店の皆さん、集英社の担当諸氏お疲れ様でした。ありがとうございました。
◆お手紙などもたくさんいただきました。毎回、サイン会の度に本当に嬉しいお手紙をいただくのです。こんなにも『東京バンドワゴン』シリーズは愛されているのだなぁとつくづく思います。「いつまでも続けてください」という声が本当に多いので、集英社さんにもういらないと言われるまで、書き続けます。
◆京都に泊まっているのは、せっかくなので修学旅行以来の京都観光をしようと思ったからです。大阪の観光はほとんどできませんでしたが、道頓堀でたこやきは食べてきました(^_^;)。あ、大坂城もちょっと観てきました。
◆観光しつつも、締切りに追われて夜はホテルでひたすら執筆。まぁ本当に出不精なんで、ずーっと閉じこもっていてもなんとも思わないんだよね。酒も飲まないし。
◆明日も少し京都を観光します。

5月19日(月) 日々
◆晴れ。穏やかな日。chageand
◆大阪と京都から帰ってきて遅れに遅れた原稿を必死に書いている内に随分更新が空いてしまった。そして今月もまだ締切りが山ほど残っている。ありがたいことだ。本当にありがたいことだがしょうじきしんどいががんばる。がんばるよ俺。
チャゲ&飛鳥の飛鳥が、今はASKAという表記なのかな? 覚せい剤所持で逮捕された。疑惑が出ていたとはいえ、かなりの衝撃が走ったのではないだろうか。間違いなく、日本を代表するソングライターであり、シンガーだった。それはもう誰もが認めるところだろう。まったく馬鹿なことを、としか言い様がない。やってしまったことはもうどうしようもないので、素直に罪を認めて、クスリを断ち、また素晴らしい曲を書いてほしい。それしかない。ただ、もう関連のものを発売停止や回収を発表したようだけど、それはしなくていいと個人的には思う。彼の作った楽曲の素晴らしさは彼が犯した罪で消えるものではないし、どこかに悪影響を与えるものでは決してない。発売停止にする必要はまったくない。彼の復帰を願うファンはもちろん、彼の歌が好きな人はこれからもカラオケで歌い続けるといい。聴き続ければいい。歌うことを、止めるな。
◆ここでも何度か書いているけど、チャゲ&飛鳥には鮮烈な思い出がある。彼らが初めて『夜のヒットスタジオ』という当時のナンバーワン歌番組に出演したときのことだ。まだデビューしたばかりの新人。華やかな衣装の歌手たちに比べて彼らはジーンズにネルシャツといういかにも当時のフォークシンガーの格好。明らかに場違いで、生放送のスタジオにはあきらかに〈どれどれ、どんな奴らだい〉という空気が漂っていた。それが、彼らが歌い出すと一変した。歌は『ひとり咲き』。まさに〈熱唱〉だった。ブラウン管を通じて二人の〈心意気〉が〈俺たちの歌を聴いてくれ〉という叫びが伝わってきた。茶の間にまで届いた。本当に、掛け値なしに、鳥肌が立つほどの素晴らしい歌唱だった。その証拠に歌が終わったとき、後ろで控えていた司会者も他の出演者たちも全員が思わず立ち上がりスタンディングオベーションをしたのだ。映った彼らの顔を見ればそれは心からの称賛のものであることがすぐにわかった。二人は、チャゲ&飛鳥は素晴らしいアーティストだったんだ。それは、間違いないんだ。
◆僕はただの音楽好きだけど、飛鳥には、あの頃を思い出してほしいと切に願う。

5月21日(水) 日々
◆雨降り。久しぶりにまとまった雨。sting2014
◆しばらく更新していないうちにコンサドーレ札幌は相変わらずの得点力不足を露呈し下位に落ち込んでいった。得点源の内村の怪我がもろに響いた形になっているが、その内村も復帰する。そして6月には小野がやってくる。ここからどう巻き返せるか。チーム力自体はそれほど下位に低迷するチームではない。個々の能力には際立ったメンバーがいるのだから、何度も何度も何度も言うが得点パターンの確立。何とかしていただきたい。そして北海道日本ハムはどうにかこうにか先発陣が若手の台頭で持ち直しギリギリAクラスに留まって交流戦に突入。微妙なラインを漂っているという印象かなぁ。何とかここで踏みとどまっていただきたい。
◆来月はいよいよFIFAブラジルワールドカップだ。繰り返さなくても知ってると思うけど4年に1回だ。つまり、僕はもう53歳なので、80歳ぐらいまで元気に生きられたとしてもあと7回観られるかどうかってところなのだ。人生であと10回も観る機会はないのだ。同じアホなら楽しまなきゃソンなのだ。僕はもう残りの人生を〈心安らかに楽しくワールドカップを観る〉ために生きると決めている。そのために作家になったようなものなのだ。
◆〈働く〉ということに意味とか意義とかましてや夢や希望など見出せない時代になって久しいのかもしれない。僕が20代の頃にはまだあったと思う。でも、一生懸命働くことが悪いことであるはずがない。僕がアルバイトをしている頃はただひたすら〈自分で稼いだお金で好きなことをする〉ために一生懸命働いていた。それは〈自分のため〉だ。やがて結婚して子供ができるとそれは〈家族のため〉に変化した。ところが僕はろくでなしなのでどうしても自分のために生きたくてしょうがなくて、作家になる道を選んだ。作家になって自分の好きなことをしてなおかつ家族も養おうとしたのだ。〈働く〉ことに意味と意義と夢と希望の全部を求めたのだ。現段階では何とかなってる。将来はどうなるかまだわからないけどそんなの一生わかるわけない。お天道さまだってわからない。
◆文句を言ってる暇があったら、働いた方がいい。動いた方がいい。夢や目標は持たないより持った方がいい。這ってでも進めば、道はできる。
◆皆、不平不満を語り過ぎだ。不満を口にするより夢を語った方が絶対にいい。

5月24日(土) ナモナキラクエン
◆曇り。風が冷たい。もっと気温よ上がってくれ。namonakibunko
◆そろそろ発売になったと思います。角川書店さんから出ていた『ナモナキラクエン』(角川文庫)が装いも新たに文庫になりました。物語自体はもう8年も前に連載していたものです。あらためて読むとこの時期の僕がどんなベクトルを持って物語を書いていたかがうかがえます。舞台は湘南と呼ばれる地域。山紫水明という一風変わった名前をつけられた四人の異母兄妹。彼らは四人がそれぞれに母親が違います。夏休みを前にして父親が突然亡くなってしまい、その遺言にしたがい、それぞれを捨てて家を出ていった母親に会いに行くかどうかを話し合い、父親が亡くなったことを告げに、それぞれで行くことを決めます。そうして夏休み、彼らの小さな旅が始まります。という物語です。装画は、手前左の女の子が長女の紫(ゆかり)、右側の男の子が次男の水(すい)、流木に座っているのが長男の山(さん)、跳ねているのが次女の明(めい)です。物語に重要な色を与える車モーリスマイナートラベラーも描かれています。四人兄妹のひと夏の旅を、楽しんでいただければ嬉しいです。
◆実はこの物語を書くにあたって、ずっと頭に思い描きながら書いていた人がいます。その人が誰であるかは言えませんが、その方も先年、お亡くなりになってしまいました。メールでしかご挨拶できず、そして自分がこんな物語を書いたこともお伝えしていませんでしたが、作家としてデビューし、苦しい時期に励ましていただきました。いつか、墓前に改めて報告したいと思っています。
◆さて、お気づきの方も多いと思いますが装画・装幀の方向性は『札幌アンダーソング』(角川書店)に引き続き完全に担当編集者さんの趣味でこざいますヽ( ´ー`)ノ。
◆いやまぁもちろん営業方針とかいろいろあるでしょう。基本的に僕は担当編集さんの方向性にはっきりとした意図があれば納得してOKを出しております。物語は僕一人で考えるものですが、本はたくさんの人の手で出来上がっていくものです。それだから、楽しいのです。

5月30日(金) 日々
◆晴れたり夕立が降ったり。yumetokyoki
◆また更新の間が空いてしまった。とにかく締切りに追われ書くネタもなし。どうしたもんかなぁ。たくさんの編集さんに「すみませんもうちょっと待ってください」と言い続ける日々なのですよ。まぁ大体のところ締切りってのは余裕を持って設定されていますので(おい)ほんの一日二日なら想定内なのですが(やめろ)僕も以前は広告業界でライターさんやイラストレーターさんに発注する編集の人間だったのでその辺はまあね。いやしかしだからと言って遅れていいわけがないので本当に一生懸命書いているのですごめんなさい。
◆こんなにも連載の仕事がたくさんあって毎日毎日書いてばかりいると自分について振り返る時間などない。つまり、作家としてどんな作品を生み出せばいいのか、とか。まぁそんなもん考えなくてもいいかなーとも思っているんだけど。とにかく書けるときは書く。振り返るなんてのは死ぬ前でいいんじゃないか。写真は砂田麻美監督が追ったスタジオジブリドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』Blu-ray。
◆小説家も含めて創作なんてのは狂気がなければできないものだ。もちろん夢というものを持たなければできないものだ。もし私には夢も狂気もありませんという創作家がいたならそいつは偽物だ。詐欺師ですらない。そもそも夢中になる、ということ自体が、狂気の中にいるのだ。自らどっぷり漬かっている。
◆世の中の全ての創作物は誰かを幸せにするために存在するべきだ。もちろん、その幸せの形は人それぞれだ。どんなにいびつであろうと、その人にとっての幸せがそこにあるなら、その創作物には存在意義がある。
◆僕の小説は、読んでくれた誰かがちょっとでも幸せな気持ちになってくれればいい。その幸せな気持ちを他の誰かに伝えてくれればいい。ほんのちょっとでいいんだ。それぐらいでいいんだ。