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2013年9月1日(日) 日々
◆曇り。はっきりしない天気。septemberwind
宮崎駿監督長編映画制作から引退のニュースが流れた。記者会見もするというので本当に引退するのだろうか。短編は作るということか。でもまたいつものように「長いものを作りたくなった」と素晴らしいアニメーションを届けてくれるのではないか。それを期待する。
◆でも、何度も言うけど、『風立ちぬ』は素晴らしい作品。これを引退作とするのは納得。年齢的にも、重労働であるアニメ製作はきついのかもしれない。何にしても僕は生きている間ずっと宮崎駿監督に感謝し続ける。素晴らしい映画をありがとうございましたと。
北海道日本ハムはしょっぱい試合を続けて3連敗。うーん、上位進出も危うくなってきたかな。コンサドーレ札幌は引き分け。こちらはまだまだ上位を狙える位置。そしてチーム力もついてきた。何にしてもシーズンも残り少なくなってきた。頑張ってほしい。
◆写真は懐かしい一枚。松岡直也さん『九月の風』。名盤だ。あぁ聴きたくなってきた。聴こう。
◆宮崎駿監督とはちょうど20歳違う。僕はあと20年書いていけるだろうか。10年は書けるような気がする。いや気がするだけでどうかはわからないけど。小説家として死のうと決めてはいるけれども、それは死ぬ瞬間まで小説家として稼ぎたいという意味だ。いい作品を目指して書くのはあたりまえとして、それが受け入れられて世に出るかどうかは別問題。来年はどうなるかわからない浮き草家業。第一線で活躍し続けている先達には本当に敬意を表する。背中を追い続けたい。

9月2日(月) 日々
◆曇り。パッとしない天気が続く札幌近郊。tokyoasayake
◆写真はもう5年も前になるんだけど、東京で海猫沢めろんと晩飯を食べてホテルに帰ってきて執筆してさぁ寝るかといつものように午前2時頃にベッドに入ったんだけどしばらくすると突然の嘔吐と下痢と発熱。原因はいまだにわかんないんだけど食中毒だったのかなぁ。でも同じものを食べた海猫沢めろんは何ともなかったんだよね。で、一晩中何度も何度も何度もトイレに駆け込んで、ようやく落ち着いてきて「あぁもう朝か」と思ってブラインドを上げたら目の前に広がっていた東京の朝焼け。あまりにもきれいでふらふらなのに思わず何枚も写真を撮った。あのときはまいったなぁ。でもホテルのレストランに頼んでおかゆを作ってもらったり薬を買ってきてもらったり編集さんは「何かお手伝いに行きましょうか!」って何人も言ってくれたし。出先の病気は人の情けが身にしみるよね。
◆日常の中のそういうちょっとした出来事っていつまでも残っていくもので、おかゆを運んできてくれたホテルマンの心配そうな声や薬を持ってきてくれた彼のいつでも電話してくださいという笑顔。あるいはベッドの中で「こうやって具合が悪いのはいつ以来かなぁ」と昔のことをあれこれ考えた時間というものも、いつか作品の中に出てきたりする。あと、「あいつは大丈夫かな」って心配して電話した海猫沢めろんの「えー? 俺なんともないよー?」とかいう能天気な声もヽ( ´ー`)ノ
◆生きて過ごす時間の何もかもが身の内に溜っていってそれが作品のディテールになっていく。だから、作家ってちゃんと生きていかなきゃならないんだ。

9月5日(木) 日々
◆晴れ。久しぶりに、本当に久しぶりの良い天気。oretachinokunsyob
◆気温も上がって日中はずっと窓を全開して良い心持ちでいられた。このままもう少し本格的な秋になる前の良い陽気を味わいたいんだけど神様お願いします。
◆犬がいなくなってしまって散歩もなくなったので本当に家から一歩も出ないのが日常になってしまっている。それまでは散歩の最中にご近所さんとも顔を合わせて挨拶とかしていたし、近くの田んぼまで歩いて季節の移り変わりを楽しんだりできた。渡り鳥が空を飛んで行くのを毎年眺めた。それがまったくなくなってしまった。かといって一人でぶらぶら散歩をしていては健康のために歩く老人みたいでイヤだヽ( ´ー`)ノ(商店街とかもないしね)。まぁもう少ししたら寒くなるし雪も降るしこのまま閉じ篭もっていればいいか。
◆妻とは、もう少し歳を取ってから今度は猫を飼おうと話している。元々妻は大の猫好きだ。今高校生の次男が大学でも行けば子供たちの用事を気にすることもなくなるから、いつでも二人であちこち旅行にでも行けばいい。それに満足したら、猫を飼えばいい。文字通り〈猫と妻と暮らす〉状態になる。
◆でも猫は散歩しないしな。子猫の頃からリード付けて散歩させれば、一緒に散歩する散歩猫になるかな。あ、犬も一緒に飼えばいいのか。
◆写真は僕にとっては永遠の名作ドラマのひとつ『俺たちの勲章』Blu-ray。今観ても、この二人はカッコいい。

9月6日(金) 日々
◆晴れ。良い天気。kazetachinu
宮崎駿監督の引退記者会見があった。とても気持ちの良い会見だったと思う。照れはあったけれどどこにも誤魔化しはなかった。語ることで、語る必要のないことをきちんと浮かび上がらせた(たとえばスタジオジブリの今後とか)。やはり宮崎駿監督は希代のアニメ監督であり、クリエイターだった。この先100年、彼のような人が現れるかどうか。
◆個人的に、いろんな意味で同じ空の下に、同じ土の上に立っていることを確認できてとても嬉しかった。最後の長編アニメとなった『風立ちぬ』は、何度もここで書いているけれど素晴らしく〈強く美しい映画〉だ。この映画を観て、声優がどうとか、戦争がどうとか、込められた意図とか、そんな事を語らない方がいい。語るべきではない。語れば語るほどその人の感性は羽撃きを失っていく。これはあるところに到達した人にしか作れない作品だ(もちろん宮崎監督はそんなことを考えていないだろうけどね)。そういう作品を最後の作品にできたことを少し羨ましく思う。
◆ありがとうございました。
◆やっぱり小賢しいことを考えているうちは駄目だ。ただ書くしかない。書いて書いて書いて、答えの出ない問いを探し続けるしかない。ただ光ある方へ向かう作品を。

9月7日(土) 日々
◆晴れたり曇ったり。higanbana
◆コオロギの声がたくさん聞こえるようになってきた。すっかり秋の気分になってきたけど、どうかな。残暑とか来るかな。
〈ブックマーク名古屋〉という名古屋の本屋さんのイベントにお呼ばれすることになりました。こちらを見ていただけるとわかるのですが、10月13日(日)に、名古屋で太田忠司さんとのトークショーをやることになったのです。これは別に新刊のプロモとか一切関係なく、名古屋の本屋さんに来て来てー(はぁと)と呼ばれたのでよっしゃ行くでーと(^_^;)。名古屋は通過したことはあるのですが、行くのは初めてです。楽しみにしていますので、名古屋近辺の皆さんよろしくお願いします。全国の本屋さん、小路は呼ばれればどこにでも行きますしサイン会でもトークショーでも握手会でも水着撮影会でも何でもやります。
◆ついでに名古屋城とか観光もしたいなーと。作家になって東京はもちろんサイン会で大阪や京都や、あと講演会で岐阜や富山や福井に行ってるけど観光ってまったく一切したことないんだ。
◆写真は〈「彼岸花」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]〉。
◆大好きなものはなんですか? と、訊かれたときにたくさん答えられるようにしておこうとふと思った。今のところ、おはぎとかカレーライスとかおいなりさんとか豆パンとかバナナとか食べ物しか思いつかないんだけど。しかも「子供かっ」ていうラインナップだし。あとは音楽と映画と小説と漫画とサッカーと野球とMacと煙草とコーヒーと。あとは何だろうなぁ。もっと増やさなきゃな。

9月9日(月) 日々
◆晴れ。気持ちの良い天気。tosugitahasi
◆小説家の原田宗典さんが薬物所持で逮捕されてしまった。もう二十数年前のことだ。当時僕はまだ二十代で札幌の広告制作会社でイベントプランナーをやっていた。クライアントだったファッションテナントビルのイベントで、小説家のトークショーをやることになり、大好きだった原田宗典さんをブッキングした。どこも通さずに直接電話した。小説家に直接電話するのは初めてで、緊張していた。今でも「はい、原田です」という少しぶっきらぼうな声を覚えている。トークショーなどやったことがないという原田さんを説得して、来てもらえることになった。迎えに行って、トークショーのディレクターをやって、そして打ち上げをやった。原田さんは優しく人当たりが良く、笑顔がとてもチャーミングだった。次の日、東京に帰る原田さんは当時生まれたばかりのお子さんにお土産を買いたいというので、あちこち案内した。案内しながらいろんな話をした。読書好きだった僕の質問に原田さんはイヤな顔ひとつしないでたくさん話をしてくれた。大好きな作家、映画、自分の書いた本の背景……「内緒だよ」と言ってこれから書こうと思っている小説のあらすじを三本話してくれた。とてもおもしろそうで、出たら絶対に買おうと思っていた。原田さんは僕の三つ上。別れ際、ずっと案内をしてくれたことに感謝して「今度、小路さんが東京に来た時は必ず連絡くださいよ。僕が案内しますから」と言ってくれた。結局その機会は訪れなかったのだけど、その後も数年間は年賀状を必ず送ってくれた。でも、気づけば、そのときに話してくれた三つのあらすじの小説が出ることはなかった。エッセイで名を馳せたけど、小説が出ることはほとんどなくなっていった。鬱病であるとどこかで読んだ。大丈夫かなぁと思っていた。実は作家になったことをいちばんに報告したかったのだけど、連絡手段は途絶えたままになっていた。いつか会えるかな、と思っていた。どこかで会えたら「ご記憶でしょうか? トークショーでお世話になった札幌の小路です」とまずは言おうと考えていた。
◆今も、そう思っている。原田さん、僕はまだあのときの三つの小説のあらすじを覚えています。その話をいつかしたいです。

9月13日(金) 日々
◆晴れ。少し気温も上がった。monster
◆そうか、13日の金曜日だったのか。だからどうだということもないのだが。あの頃ってそういうホラーサスペンス映画が流行ったよなぁ。彼女と映画館に行ってしがみつかれたり、したことはないな。うん。そもそもホラー映画は観に行かなかったし。まぁしがみつかれるのはたいていベッドでだったからなヽ( ´ー`)ノ
◆広告制作会社にいた頃の先輩が亡くなった。ほんの一年前には後輩が先に逝ってしまった。立て続けの元同僚の死に、集まった昔の仲間たちはただただなんてことだろうと言い合うばかりだった。僕のその広告制作会社に入社したのは28年前、24歳の時だった。時代はバブルの真っ最中。広告業界はわが世の春を謳歌していた。僕たちも、全員が20代だった。仕事はもちろん、遊びも真剣に遊んだ。バカなこともたくさんやった。そういう若い時代を一緒に過ごした人が逝ってしまうのは、辛い。
◆元同僚たちと帰りに居酒屋に寄って、あの頃の先輩の話をたくさんした。今の自分たちの話も、そしてこれからの話も。あの頃と違ってそう簡単には未来への希望を口に出来ない時代かもしれないけれど、〈Life goes on〉。されど人生は続く。先に逝ってしまった人の分まで、楽しむ。
◆写真は若いのになかなかカッコいいブルーズの効いたロックをやってる〈MONSTER大陸〉の『上陸』
◆遺言メモには書いてあるけど、僕が死んでも葬式も戒名もいらない。でもせっかくだからどこかに集まって、懐かしい顔同士で話してくれ。「小路はろくでなしだったけど、まぁ楽しませてくれたよな」ぐらいは手向けの花代わりに言ってくれ。

9月15日(日) 日々
◆大雨が降ったり雷だったり。tbwd
◆ドラマ『東京バンドワゴン 下町大家族物語』。主要キャストがほぼ出揃って撮影も始まりましたね。たくさんの方に読んでもらっている原作『東京バンドワゴンシリーズ』。ありがたいことにもう何年も前からドラマにしてほしいとの声が高く、配役もそれぞれの頭の中にあることでしょう。これはインタビューでも答えていますが、僕は書くときに誰かを思い浮かべていません。つまり特定の俳優さんであて書きはしてないのです。
◆前にも書きましたが、今回のキャストを僕はとても気に入っています。よく考えられているなぁと感心しました。原作とはイメージも設定も違う方もいますが、それもドラマをトータルで考えてよりベストな方向で練ったものだと理解できました。つまり〈青を主役に据えすずみとの恋物語を縦糸にする〉というコンセプトにしたのですから、青の個性を原作よりも際立たせるための設定変更や周囲の人々のバランスを考えるのは当たり前のことです。〈もうひとつの『東京バンドワゴン』〉を作るのですから。何かを下敷きにして新しい物語を作るのに、そのまんまなぞったっておもしろくも何ともありません(僕も映画のノベライズをしていますからよくわかります)。出揃ったキャストを眺め、そして上がってきた台本を読むと、原作のストーリーにきちんと沿った物語の流れとドラマ用に設定変更した部分がうまく溶け合っているのがよくわかります。もし僕が「青を亀梨くんにして書き直してください」と言われればこんな風にするだろうなぁと納得しました。
◆たくさんの方に観てほしいです。小説でも映画でも漫画でも何でもそうですけど、ニュートラルな状態になって楽しむことがいちばんですよ。

9月16日(月) 日々
◆雨。台風の影響は特になし。feelinggood
◆先生が欲しかったなぁと時々思う。恩師という人。もちろん学校で習った先生方は皆恩師だ。小学校六年のときの先生や中三のときの先生、高校での先生。今も顔を覚えているし良い学生生活を送れたことに感謝している。でもそういう先生ではなくて、人生の恩師のような人。わかりやすく言えば『スラムダンク』で三井が「先生、バスケがしたいです」と泣いて告白した安西先生の様な人(知らない人はすみませんヽ( ´ー`)ノ)。(余談だが僕はスリーポイントシュートが得意で「オレのことを三井と呼べ」と言っていた)
◆勉強以外のことを、音楽とか小説とかを個人的に習ったことは一度もない。今は生活の糧となっている〈小説を書くこと〉もまったくの自己流だ。大好きで心の師と仰ぐ作家は何人かいるけれども、その人の作風や文章を真似したとか作品を徹底的に検討したというわけでもない。小説を書こうと思ったら書けた。それでここまでやってこられた。
◆だから、時々思うのだ。「先生、辛いです」なんて弱音を吐きたいと。そして先生に「馬鹿野郎」とか「そんなもんだ」とか叱咤激励されたいと。
◆写真は〈マイケル・ブーブレ〉『to be loved』。なかなか良い。
◆まぁ基本的には楽しいんだけどね小説書き。だって好きなようにホラ話を書けばいいんだからヽ( ´ー`)ノ。楽しいけど、まぁたまには先生に弱音を吐きたい、なんて気持ちになることもあるってことで。

9月20日(金) 日々
◆晴れたり曇ったり。すっかり秋の気配。yamazakiflowers
◆庭の桜の木の葉もすっかり紅葉になってどんどんどんどん落ちて行く。掃除が大変なんだ。まぁ放っておいてもご近所さんは優しいので誰も文句を言わないけどさ。
◆先日、以前にいた会社の先輩の通夜のとき、集まった元同僚と帰りに居酒屋に寄ってあれこれ話した。自分たちがまだ二十代で会社に入った頃はバブルが始まった頃でとにかく日本中が熱に浮かされたようになっていた。仕事が楽しかった。「二十四時間戦えますか?」と訊かれて「もちろんだ!」と腕を振り上げたような時代だ。実際僕も二十代の頃は、日付が変わるまで仕事をしていても何の苦にもならなかった。
◆今の若い人は大変だ、と話した。会社に尽くせば社畜と呼ばれる。尽くしたところで大企業だって明日どうなるかわからない。働いたって何もいい事がないだろ? という風潮さえある。働かなくなってたとえばアプリひとつ作って大ヒットしたらそれで儲かってしまう。起業した方がいいだのノマドだのろくでもない奴らがまたそれを煽る。実際それで成功する連中がわらわらと出てきてるような気がする。真面目に勉強して公務員になれば税金で喰わしてやってるんだと叩かれる。
◆生きていくことは働くことだ。誰かと一緒に生きるということは、お互いにいい気持ちで仕事をやっていくことだ。そんな甘っちょろいことを言っていたら商売なんかできない、というのは確かに真実の一側面だけど今のリアルではないような気もする。
◆大変な時代であることは間違いないんだ。だからこそ、良い関係で良い仕事をして生きていく人たちをたくさんマスコミは取り上げて、その空気感を作ってほしい。マスコミには力がある。マスゴミと呼ばれて久しい自分たちが悔しくないか。写真は山崎まさよしさんの新譜『FLOWERS』

9月21日(土) 日々
◆札幌は薄曇り。東京も。そして東京は暑い。saitoukazuyoshi
◆なんだ気温30度って。夏だろっ夏。どうして9月の末に歩くだけで汗だくにならなきゃならんのだ。というわけで東京にいる。今回は来てすぐ帰る。明日用事があるんだ(何の用事かは明日終わったら言います)。
◆まぁ東京には二ヶ月に一回ぐらいは来てるんだけどいつ来ても暑いのはしょうがない。何せこちらは北海道の住人。身体がそうなってしまっている。冬に来ても暑いんだからなぁ。でも思えばかれこれ三十年ほど前に初めて冬に来たときにはそれなりに寒く感じたんだけどなぁ。気のせいだったのか。
◆どこでも住めば都。いつどこに引っ越してもいいんだけど、子供も大きくなった今は引っ越すとしたらそこが終の住み処になるような気もする。まぁあちこちに別荘を持てるような身分になれればいいんだけどそうもいかない。
◆そして僕はどうも気に入ったひとつのものをしっかり使いたい人間なのだ。筋金入りのApple信者だけど、iPhoneもiPadも持っていないのは、MacBook Proを常に使っているからだ。それだけあれば良くてそれだけを使いたいのだ。お陰様でサブマシンとしてMacBook airの二台や三台は買えるけれど、買いたくない。マシンは愛用のものがあればそれでいい。だから、家もそうなんだよね。本やDVDが超飽和状態にある仕事部屋を何とかしたいけど、他に仕事場を持つ気になれないのだ。まぁ貧乏性なんだろうなぁ。写真は斉藤和義さんの新譜『和義』

9月22日(日) ドラマ『東京バンドワゴン』制作発表記者会見
◆東京は晴れ。暑い。tbwd1
◆テレビドラマ『東京バンドワゴン 下町大家族物語』の制作発表記者会見に原作者として出席してきました。何せ皆さん芸能人ですから許可もなしに会話とか載せるわけにもいかないので、当たり障りのないところや個人的な感想などをお伝えしますね。
◆偶然にも脚本家の大森美香さんと到着が一緒になって通用門で「はじめまして」と挨拶させていただきました。そもそもがテレビドラマに捧げた小説ですから会話とか場面転換とか全部ドラマを意識して書いてきました。そこのところを大森さんも感じていただけたようで「流れが良くてとても助かります」と言ってくださいました。嬉しかったですね。これからどんどん佳境に入る脚本書き。ガンガン好きなようにやっちゃってください! とお願いしてきました。
◆会見場の脇の楽屋に入ると、キャストの皆さんもドラマの衣装で次々に集まってきました。研人役の君野夢真くんは本当にもうもう可愛らしくてタタタッと駆け寄ってきて「君野夢真です! よろしくお願いします!」って夢真くん君本当に立派だようちの息子そんなんじゃなかったよヽ( ´ー`)ノ。花陽役の尾澤ルナちゃんもしっかりと挨拶していました。二人ともマジカワイイ。
我南人役の玉置浩二さんは入ってくるなりもうハグしてくれて「俺なんかでいい?」とニヤリ。何せ同郷ですからその後も旭川でのローカル話を周囲を巻き込んで少し。役の亀梨和也くんとは会うのは二回目なので「お久しぶりです!」と。撮影は役作りに大変と言いながらも「すっごく楽しい」って笑顔でしたよ。役の金子ノブアキさんはその後の記者会見での僕の挨拶のときには「よっ!」と威勢よく囃しを入れてくれて場を盛り上げてくれました。亜美さん役の平愛梨さんすずみ役の多部末華子さん藍子役のミムラさん勘一役の平泉成さんサチ役の加賀まりこさん藤島役の井ノ原快彦さん、それぞれに挨拶させていただいて「原作楽しかったです」とか「難しいけど頑張ります」と声を掛けていただきました。全員が座ってすぐに会見の打ち合わせに入ったのですが、もう皆さん和気あいあいです。いい感じで撮影が進んでいることを肌で感じ取れました。会見前に席が近かった加賀さんやミムラさんや玉置さんとはたくさんお話できたし嬉しい話をたくさん聞けて本当は全部ここに書きたい! あぁ書きたい! 状態なのですが差し障りがあるといけないので内緒(^_^;)。
◆ニュースなどで流れた本当に和気あいあいと楽しく撮影できているというのは社交辞令ではなく、楽屋でも皆さんが口々に言ってましたよ。撮影で皆が揃うのが楽しみだと。その雰囲気が画面から伝わればなぁと思います。
◆あとぶっちゃけミーハー的な個人的感想を言うと多部ちゃんちっちゃくてマジ天使とかミムラさんすっげえハンサムウーマンとか加賀まりこさん着物での所作が本当に美しい……とか。楽屋少し空調が効いてなくて暑かったので加賀さんや亀梨くんや玉置さんのスタッフがパタパタと扇いで風を送っていたのですがその間に挟まれていた僕も御相伴に与って涼しくてラッキーとかヽ( ´ー`)ノ。加賀まりこさんには本当に嬉しい言葉をいただきました。感謝します。
◆そしてサプライズ発表になった主題歌! 玉置さんと亀梨くんのユニット〈堀田家 BAND〉(本当は堀田家とBANDの間に家のマークが入ります)が歌う『サヨナラ☆ありがとう』は本当にいい曲です(もちろん玉置さんの曲)。イントロからもう玉置節で鳥肌が立ちました。サンプルでいただいてじっくり歌詞を聴くと原作ファンも涙するぐらい、原作を大事にしてくれた歌詞だとわかります。皆さん楽しみにしてください(たぶん、初回のあの場面で流れるだろうなぁそしてバックで演奏するのはひょっとして……おっとヽ( ´ー`)ノ)
◆キャストの皆さんもスタッフの皆さんも、原作者である僕にとても気を遣ってくれました。本当にありがとうございました。もう始まる前から既に僕はいい冥土の土産を貰った気分になっています。これを力にして、来年四月にお届けする『東京バンドワゴン』の新作もさらに楽しいものにするべく頑張ります

9月25日(水) 日々
◆雨の一日。timetunnel
◆日に日に涼しくなっていく。深夜には薄手のカーディガンを羽織ろうかなという気持ちになってきた。まだ冬支度には少し早いけれども、秋が深まっていく北海道。もう窓を開け放つこともなくなる。
◆すっかり作家でいることに慣れてしまっている自分がいる。その慣れというのはつまり書き方も含めて。決して悪い事ではなく、慣れは安定にも繋がる。ブレがないという言い方もできる。でもやっぱりただ慣れてしまってはダメなのだ。慣れてもいいけれど、どこかに常に荒野を目指す気持ちがないと、心は上を向かない。でも慣れから抜け出すのがいちばん難しいことなのだ。気を引き締めなきゃならん。街を走り抜けて荒野を目指せ。果てしなく続く道の上を行け。少なくとも心を、顔を、遙か彼方へ向けろ。そうしなきゃダメだ。
◆写真は懐かしい60年代のアメリカのテレビドラマ『タイム・トンネルDVD COLLECTOR'S BOX Vol.1』。ついに当時の吹き替えのままDVD化されるとか。いやー嬉しい。小さい頃に夢中になって観ていたなぁ。今観たらどんな感想を持つだろう。ゼッタイ観る。
◆ところでしばらく話題にしていないがコンサドーレ札幌北海道日本ハムファイターズ。コンサは善戦中、日ハムは早くも終戦といったところ。まぁ日ハムは北海道に移転してからずっと概ね右肩上がりだった。いつかこんな日が来ることはわかっていたはず。来年、この惨敗を糧にどんなチームを作り上げるかに期待しよう。コンサはなーまぁとりあえず昇格争いに顔を出して、もう少し地力を付けよう。昇格は来年でいいよ。

9月27日(金) 『花咲小路四丁目の聖人』文庫化
◆晴れ。穏やかな日。saintb
◆朝方は霜も降りたところがあった北海道。いよいよ本格的な秋。そんな日に見本が届きました。『花咲小路四丁目の聖人』(ポプラ文庫)です。単行本を出してまだ二年ほどなんですが、文庫にさせていただきました。この本はとにかく装幀が素晴らしくキュートで、いわゆるジャケ買いをしてしまいそうなほど。文庫の装幀も単行本のイメージをそのままにしました。商店街を舞台にしてイギリス人の怪盗紳士であるおじいちゃんとその娘と仲間たちが活躍する物語なのですが、とにかく楽しく賑やかに、そして映画のようなけれん味のある物語にしようと考えながら連載をしていたはずです。主人公であるイギリスの怪盗紳士〈セイント〉のイメージは、知っている人は知っているレスリイ・チャータリスの『怪盗セイント』から頂戴しました。恐れ多いことなのですが、僕は小学生の頃にそのジュブナイルを読んで夢中になっていたので、僕の中で〈怪盗〉といえば二十面相とセイントことサイモン・テンプラーだったのです。幼き日の憧れの人物のイメージをほんの少し使わせてもらいました。お陰様でほんの少し人気をいただけたので、舞台となったこの〈花咲小路商店街〉でシリーズをしようという話をいただき、ポプラ社さんでは〈花咲小路シリーズ〉第二弾『花咲小路一丁目の刑事』が11月に単行本で出ます。こちらは若き刑事が主人公なのですが、物語は彼の非番の日だけで進んでいきます。さらには来年、〈asta*〉でシリーズ第三弾『花咲小路二丁目の花乃子さん』を連載開始する予定です。同じ商店街が舞台ですから、同じ登場人物がたくさん出てきます。なので、ぜひ今回の文庫化になる第一弾『花咲小路四丁目の聖人』から読んでいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
◆きっと皆さんの街にも名物商店街はありますよね。〈花咲小路商店街〉も一丁目から四丁目までの、どこにでもあるようなアーケードのある小さな商店街です。若い頃にはそういう商店街の近くに住んで、楽しい思い出が多いので、いつかまたそういうところに住みたいなぁとも思います。