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2013年8月2日(金) 日々
◆晴れ。カラッとしたいい天気。kazetachinu
◆先月末締切りと三日間の『中高生のための夏休み文学道場』に追われて更新がずっとできなかった。反省反省。
◆宮崎駿監督『風立ちぬ』の評価が真っ二つに分かれているというような話があちこちに散見される。まぁ人の好みはそれぞれだ。うるさく言う必要もないだろうけどもう一度言っておこう。〈美しく強いアニメーション映画である〉。これほどの強さと美しさを兼ね備えたアニメーション映画はこの先100年出てこないのではないかと思えるほど。宮崎駿監督は紛れもない天才だ。その天才が、何十年ものアニメ制作の果てに辿り着いたこの光景に僕は戦慄さえ覚える。細かな解釈などくそくらえだ。こんなにも美しいものを何故言葉で解釈をつけようとするんだ。先月も書いたけれど、
この作品を駄作とかつまらないという人とは、つまり〈理解できない〉人とは、友人にも知人にもなりたくないと思った。
◆鞄を作ってもらおうと思った。偶然知った鞄職人さんが同じ旭川市出身。でも倉敷にいるので無理かなぁと思っていたらこの夏に実家に帰ってきてしばらく過ごすという神様がくれたような偶然に、すぐにコンタクトを取ったのだ。カメラマンとしても才能のある方でしかも奥様もとてもいいイラストを描かれる方。とても良いご夫婦。良き人と知り合いになれるのは本当に嬉しい。そして、オリジナルの鞄が出来上がるのを待つという楽しみもできた。コンク雑貨店さん。奥様を撮り続けるブログも素晴らしいです。
◆世の中の人がみんな美しいものを素直に美しいと感じられればどんなに素晴らしい世界ができあがるのだろうと思う。

8月3日(土) 日々
◆晴れ。カラッとした天気。tobosya
◆北海道日本ハムファイターズは情けないことになっている。自力優勝が消えてしまった。昨季の優勝チームなんだからサッカーだったらもう既に監督解任ぐらいのていたらくだ。まぁ奇跡の十連勝でもしないともう無理だろうなぁ。栗山監督も胃の痛い日々が続いていることだろう。頑張ってもらうしかないんだけどね。
◆ニュースを見聞きすると相変わらず救いようのない馬鹿が多過ぎる。そのニュース記事さえも恣意的なものが多過ぎる。知性の欠けらもない記者たちが書き流し、誇りを無くした連中が我が物顔で配信する。もう全てをそのまま信じない方がいい。
◆ごまんと流れるニュースの中にほんの僅かに残る1%の真実を見抜く力を養わなければならない。その真実から何を導き出すかを精査しなくてはならない。自分はどう進むのかをゆっくりと、時間をかけて考えなくてはならない。
◆毎日きちんと仕事をして真っ当に正直に暮らしていくのだけでも大変なのに、今はありあまる悪意と傲慢さの嵐に耐えなければならない。生きていくのが辛いと思う人が増えるのも当然だ。子供なんか産みたくないと思ってもしょうがない。
◆楽しい物語を書くよ。強く美しいものを、そういう作品をひたすら目指すよ。まだ人間は捨てたもんじゃないって思えるような、この国はまだ大丈夫なんじゃないかって思えるような、希望のある物語を、光の方へ進む物語を書くよ。僕は、もうそれしかしないと決めたろくでなしだから。

8月4日(日) 日々
◆晴れ。良い気候の一日。jackjohnson
北海道日本ハムファイターズは楽天になんと記録ラッシュの大敗。14-4(だったかな?)。1イニングに二塁打を7本も打たれたんだぜ。もう笑うしかないってもんで本当に笑った。なんだかなぁ。先発陣がまるでダメってのもあるんだがじゃあその原因はどこにあったのよって話になるだろうね。いくら北海道のファンは優しくてもこの成績では球場に行くファンも減ってしまうよ。
◆そしてこのところチームとして出来上がってきたコンサドーレ札幌も下位の富山に3-1で負け。まぁ試合内容は悪くはなかった。水準を保っているけど決めるところで決めないとこうなるという結果。こちらはまぁ悲観するものではないけど、気を引き締めないとね。贔屓の地元のチームがふたつ揃って負けた日はなんだかなぁって思うよね。
◆写真はジャック・ジョンソン〈From here to now to you〉
◆いつも書くけど僕は特に北海道に愛着があるわけではなく、もしデビューしたときに独身だったり夫婦二人だったら素直に東京とかその辺に引っ越したと思う。どこに住もうと住めば都って感じだ。生まれ故郷は旭川市だから、故郷といえばやっぱりそこに気持ちが行く。地元、という意識はやはり青春期を過ごした札幌になるのかな。
◆でも、やっぱり地元を愛して地元を良くしていこうという気持ちは大切だと思う。仕事という面ではいろいろと、なかなか苦しい部分が多々あるのだけれど。

8月6日(火) 平和を願う日
◆晴れ。夜になっても窓を開けてる北海道では貴重な夏日。hobbitexten
◆昭和36年生まれだからもちろん戦争の悲惨さは、実感としては何もわからない。祖父母や父母から聞かされた話と、各種のメディアで見聞きするものが全てだ。ただ、本当に小さい頃には、まだ戦争の影を引きずり生きている人たちがいた。それははっきりと覚えている。あの人はどういう人なのかと子供心に疑問に思って訊くと、父母は戦争のせいだと語ってくれた。海軍に自分で入隊した亡父も、「戦争は、二度としちゃいけないものだ」と教えてくれた。
◆でも、生きることは戦いだ。僕らは競争社会の中で生きてきた。勉強でも体力でもその成績を競い優劣を決める中で生きてきた。結果として社会の中で上に行く者と下に行く者が現われた。でも、大人になって思えば決してそれが絶対のものではないと気づかされる。弱肉強食は、野生動物の世界だけの掟だ。人間は、弱きものに手を差し伸べられる動物だ。憎み合うけど、同時に許し合える生き物だ。憎しみを越えて、愛し合えるのが人間だ。
◆写真は映画『ホビット 思いがけない冒険 エクステンデッドエディション』
◆きれいごとで世の中は渡っていけない。そんなことは百も承知だ。でも大人がきれいごとを語らないで誰が語るってんだ。理想を示さないでどうするって話だ。一生、死ぬまできれいごとを語ってやる。
◆『LOVEだねぇ』。

8月9日(金) 日々
◆雨が降ったり曇ったり。grantorinob
◆天候不順の一日。また湿度が高かった。さしてネタもない毎日書いているのだけど今日は地元の北海道新聞さんからの依頼で鼎談をしてきた(言ってもいいよね。特に秘密の企画でもないよね)。札幌に在住の作家、高城高さんと乾ルカさん。テーマが読書なので、三人のこれまでの読書遍歴を中心に、いわゆる読書の愉悦みたいな話をしてきました。もちろん、三人ともに初顔合わせでした。高城さん乾さん、お疲れさまでした。ありがとうございました。またいつか機会がありましたらゆっくりお話しを。
◆その後は、名前に幸を持つ作家同士の山本幸久さんと晩ごはんを食べてきました。一年ぶりでしたね。まぁ作家同士だからといって高尚な文学談義などするはずもなく(^_^;)。貧乏暇なしだとか子供たちが大きくなるまでがんばらなきゃとか普通のおっさんが居酒屋でするような話をしてきましたヽ( ´ー`)ノ。山本さんまた来年もしくはどこかのパーティで。
◆普段の生活では妻以外の人とは会話しないので、さすがに鼎談の後に食事という連続はちょいと疲れました。写真は映画『グラン・トリノ』
◆小さい頃から〈物語〉が大好きで、それで作家になれたようなもの。小説も漫画も映画もテレビドラマもゲームも音楽も全部が〈物語〉。大好きなもので飯を食っていける喜びをまた噛みしめる。自分の作った物語を好きだと言ってくれる読者がいることに感謝する。

8月11日(日) 日々
◆晴れ。蒸し暑い日が続く北海道。sionnakid
◆会社員を辞めてもう15年経つので休日という感覚は一切ない。仕事という感覚がないせいもある。物語を書くことはもちろん生活費を稼ぐためではあるのだけど仕事じゃない。もう呼吸と同じで書いてないと死んじゃう(^_^;)。まったく原稿を書かない日は一切ない。何かの用事がないのに机に向かっていないという状況は不安でしょうがない。
◆バブル期に青春を過ごしたし広告業界でファッション関係の仕事も多かったしで服装にはそれなりに気を遣う。でも、何せまったく外出をしないので外出用に買う服がどんどんタンスの肥やしになっていく。で、ふと思ったんだけどもう外出するときには全部スーツでいいんじゃないかって。外出用のスーツを一二着毎年揃えておけばそれでインタビューもサイン会も打ち合わせもオッケーかなって。会社員時代も広告業界で制作だったからスーツなんか着なかったしね。いや本当にそうするかどうかはわからんけど。
◆写真は大好きなシンガー、SION〈Naked Tracks 6~後ろに歩くように俺はできていない~〉
◆夢を見るのは好きだけど夢を追うという言葉は好きじゃない。夢ってのはただ見るものだ。本当に届かないものを夢見てただ幸せな気持ちになればそれでいいのが夢だ。追うのは目標だ。なりたいものは夢じゃなく目標。届かなくてもしょうがない。また違う目標に向かえばいい。届かなかった目標は夢になる。夢は、ただ、夢見るからいい。だから僕はギターを握っていないのかもしれない。握ったら、また夢じゃなくなるから。

8月12日(月) 日々
◆晴れたりゲリラ豪雨があったり。sakamotokyu812
◆28年前の今日、僕は24歳だった。飛行機事故の一報にどうやらとんでもない事故が起こったらしいとニュースを気にしていた。やがて、坂本九さんがその事故で亡くなったという報道がされていった。僕はずっとロックやフォークやジャズが好きな人間でミュージシャンになりたいと思っていた。だから、その当時で坂本九さんは〈昔、人気があった歌手〉という認識しかなかった。〈上を向いて歩こう〉や〈見上げてごらん夜の星を〉〈幸せなら手を叩こう〉〈ジェンカ〉などほとんどの曲をそらで歌えたけれど、北海道にも縁の深い、人格者でもある昔の歌手でしかなかった。やがて、歌番組で彼への追悼でその歌が唄われていった。〈見上げてごらん夜の星を〉。心からの思いは、歌は、ブラウン管越しにでも伝わる。誰もが、坂本九さんの死を悼んでいた。その気持ちが伝わってきた。そして、涙がこぼれてきた。こんなにも素晴らしい歌を日本中の人間に届けた素晴らしい歌手が死んでしまったのだ、と。僕らは偉大なシンガーを一人失ってしまったのだとの思いを新たにした。
◆僕のデビュー作のタイトルは『空を見上げる古い歌を口ずさむ』という。二作目は『高く遠く空へ歌う唄』だ。これは、坂本九さんの〈上を向いて歩こう〉と〈見上げてごらん夜の星を〉の二曲のことだ。坂本九さんが、九ちゃんがいなかったら、僕はデビューできていなかったかもしれない。作家にもなっていなかったのかもしれない。
◆亡くなられた全ての方々への追悼と、事故を風化させないことを願う。そして、間違いなく僕の人生の一部分を作ってくれた九ちゃんの歌へ、感謝を。高く、遠く、空を見上げて。

8月13日(火) 『レディ・マドンナ 東京バンドワゴン』
◆晴れ。ladytbwb
◆夏の暑さは続いているけど、夜になるとすっかり涼しい北海道。さて、以前からお知らせしていましたが、〈東京バンドワゴン〉シリーズは毎年4月に単行本と、二つ前のものを文庫新刊として出してきました。でも、せっかく連ドラ化が決定したのだからと、文庫を前倒しして出すことになりました。『レディ・マドンナ 東京バンドワゴン』(集英社文庫)が今月の21日に発売で、見本が届きました。もちろん帯はドラマ化記念仕様で亀梨くんの写真が入っています(ま、ここで帯は出せないんですがヽ( ´ー`)ノ)。さらには、単行本にしか入っていなかった〈堀田家〉と〈藤島ハウス〉の見取り図も今回は口絵という形で掲載するという豪華仕様(^_^;)。今作品は堀田家の女性達に大活躍してもらおうと思い、タイトルもそれにちなんでビートルズのレディ・マドンナにしました。そもそも堀田家の男たちが好きなようにやっていけるのも、堀田家の女性たちがしっかりと家のことをやってくれているからです。いつも登場しているサチや藍子、亜美やすずみ、真奈美さんはもちろんですが、先代の美稲さんや、我南人の妻の秋実さん。皆がしっかりと自分の人生を生きているからこそですね。そういうところを描きつつ、いつもの堀田家を楽しんでいただけると思います。
◆元気なく下を向いている日本の男たち。その男たちの尻を蹴飛ばして前を向かせて、背中を押せるのはもちろん日本の女性たちです。優しい眼差しと温かい笑顔で、日本の太陽になってください。
◆タイトルが『東京バンドワゴン 下町大家族物語』と決まったドラマはまだ先の10月からですが、そのテレビドラマが終わっても、来年の4月にはまた単行本の新刊、シリーズ9冊目の本編をお届けする予定です。もちろんその後も毎年堀田家の日々を描いていくつもりですので、どうぞ末長くよろしくお願いします。
◆キャストとか気になりますよね。もう少ししたきっと何らかの発表があると思いますので、もう少しお待ちください。

8月17日(土) 日々
◆曇り後雨。じめじめとする日。susukinonoyoru
◆また締切りに追われている。お盆で墓参りなどをしなきゃならなかったのも痛い。まぁそういうときぐらいはゆっくりできるようなスケジュールを組まなきゃならないのだがいかんともしがたい。依頼はある内が花。
◆青森に住む従弟がお盆で帰ってきたので「メシでも食わないか」と電話。そうだよなこういうときでなきゃ会えないからな、と二年ぶりに従兄弟4人集まってすすきので飲み食い。小さい頃は毎年夏休みや冬休みの度に集まって遊んでいた。そういう日々を過ごさせてくれた親たちにも感謝する。血の繋がりというのは、無条件に何かがあるのだ。
◆で、たまたま偶然だけど〈RSR ライジングサンロックフェスティバル〉に出演するために来ていた〈踊ろうマチルダ〉ご一行からも連絡「ステージ終わった後飲みませんか?」。ちょうど時間もぴったりだったので従兄弟会を終了後に合流。写真は私と〈踊ろうマチルダ〉くんそして札幌のミュージシャン大江健人くん。短い時間だったけど、飲んで食べて、売れないミュージシャンと作家はどうしたらいいかとか、いや実はけっこうやっていけるもんだよねとか(^_^;)そんな話を。お疲れさまでしたまたどこかで会おう!

8月21日(水) 日々
◆晴れ。久しぶりにカラッとした北海道らしい天気。shigotonin
◆まったく世の中醜い大人たちが多い。いやそういう連中ばかりがニュースになる。〈はだしのゲン〉問題の松江市教育委員会がそうだ。てめぇら人間じゃねぇや全員叩き切ってやろうか(むろん私は作家ですから高度な文学的比喩です)。あと、花巻東高校に注意をした高野連の連中もそうだ。てめぇら人間じゃねぇや全員叩き切ってやろうか(むろん私は作家ですから高度な文学的比喩です)。まぁ百歩譲って盗人にも三分の理があるとしてやろう。松江市教育委員会は何故どこぞの圧力に屈する前に幅広く意見を求めないんだ? そもそもそういう手続きを踏むべき問題だろう? 高野連に至っては三分の理なんかありゃしない。何故この段階で言う? 決勝進出を前に、明らかな、明白な脅しだろう。潰しにかかってきたろう。もう一度言おうか。高野連は花巻東を潰したろう。もう一度言おうか? 高野連は花巻東を潰したんだろう?
◆今日はこの辺で勘弁してやる。写真は〈必殺仕事人〉
◆まぁ感情的になってはいけない。もう起こってしまったことは変わらないしそもそも僕は当事者じゃない。しかも怒ってるばあいじゃない。締切りがたくさん待っているし待っているどころか遅れているのだ。原稿を書かなきゃならない。物語を作らなきゃならない。真っ当な人たちを元気づけるような物語を書かなきゃ。書くよ。それしかしないって決めてるんだから。
◆でも小学生の頃はマジで仕掛人になりたいって思ったぜ。

8月23日(金) 日々
◆曇ったり晴れたり。涼しい一日。sanmanoaji
◆もう空は秋の気配だった。後半頑張って夏の暑さを満喫させてくれたけど、そろそろ北海道は秋へと向かっていきそうだ。もうコオロギも鳴き出している。
北海道日本ハムは中田がデッドボールで骨折。実質今シーズンは無理かもしれない。せっかくタイトルを狙える位置にいたのに本当に残念だ。チームもここに来て粘れるようになって連勝している。このままのペースで連勝していけば充分プレーオフは狙える。
◆そしてガンバには力負けしたコンサドーレ札幌もホームでは愛媛を3-0で一蹴。チームとしての戦い方はしっかりできているし、新戦力のフェホも馴染んできた。こちらももうちょっと頑張れば昇格争いに食い込めるか。でも個人的には今年は昇格しなくてもいいと思う。じっくりチーム力を蓄えてほしい。
◆さて二刀流の大谷くんだけど今日は先発して7回途中で1失点で勝利投手。八三振も取ったしルーキーとしては充分すぎる程の活躍なのだけど、どうしてももう一段上のレベル・結果を期待してしまう。それだけの資質を持っているからなぁ。誰かが言っていたけど、投手としてはダルビッシュ、打者としては中田レベルの二刀流を目指して、そこへの道程であるという流れを見せてほしい。
◆写真は「秋刀魚の味」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]
◆バットマンやスーパーマンやアベンジャーズというコミックヒーローをリブートさせて、素晴らしい〈大人の作品〉をハリウッドは生み出している。同じことがどうして日本では出来ないのかなぁと思う。まぁ書き出すと長くなるので書かないけどね。〈わかりやすさ〉と〈説明する〉ことはまるで違うし、〈細部に宿る神〉と〈丁寧さ〉も違うことなんだよ。

8月25日(日) 日々
◆晴れたり雨が降ったり雷がなったり不安定な天気。johnmayer
◆陽が沈み出す頃からすっかり空気が冷たくなってきて夜はもう明けてはいられないぐらい涼しい。コオロギも鳴き出して秋の気配が漂い出している。そういえば昼間の空も随分と高くなっていた。北海道は夏も短いけど秋も短い。あっという間に昼間も窓を開けられなくなってしまう。もう少し、もう少し愉しみたい。
北海道日本ハムコンサドーレ札幌も勝ちを重ねている。いいねいいね。この調子でもう少し頑張ってくれ。
◆子供を持って初めてわかることというのはたくさんあってその中の一つに、子供が出来たからといって親になるわけじゃなくて、結局親も子供と一緒に成長するものだということ。親になるのではなく、なっていくのだ。同じことは創作者に言えて、創作を重ねて、それが飯の種になってつまりプロになってから初めてわかることもたくさんある。ベストは次の作品だ、という名言があるが本当にそうだ。常に自分の作品に新しい何かを自分でも感じ取れないとそれはつまり、惰性になっていく。以前からインタビューで答えているけど、僕は高度を上げたい。作品の深度を深めるのでは高度を上げたいのだ。そう言いながらそれがどういうことなのかまるで見えていなかったのだけど、ぼんやりと、うすぼんやりと何かがあるような気がする。気がするだけかもしれないけれど。
◆写真はジョン・メイヤー〈パラダイス・アレー〉
◆何をどうすればいいのかまだ踏み込めないけど、悩んでいる暇などない。書き続けないとそれは見えてこない。掴めないことだけはわかる。

8月28日(水) 日々
◆晴れたり曇ったり。lostin
◆すっかり秋の気配の北海道。昼間はまだいいけど夕方からは窓を開けていられないほど涼しくなってきた。あっという間に秋がやってきた。夏よ来年までさようなら。
◆いやもう言いたくないんだけど言っておくよ。宮崎駿監督『風立ちぬ』に大して〈戦争を賛美する気か〉とか〈喫煙を推進する気か〉なんて言ってる人はさ、わかってるけどそれを言うことによって利益を得る〈卑しく稼ぐ人間〉か、本当にマジで言ってる〈精神が不自由な人間〉かどっちかだよ? 百歩譲って〈馬鹿〉。千歩譲って〈野暮天〉。
◆ま、そういうのが世の中にはたくさんいるんですけどね。商業的に成功を収めた天才は大変だ。そういう連中も相手にしなきゃいけないんだから。
◆写真は名作『ロスト・イン・トランスレーション』。本当に大好きな映画。死ぬまで手元に置いておくリストに入っている。
◆そういう意味では『風立ちぬ』もDVDやBlu-rayが出たら死ぬまで手元に置いておくリスト入り。
◆作るべき物語の全体が見えたとき、ゴールに向かっていくことは間違いなくて、でもそのゴールに至る道筋はたくさんあって、じゃあそのどれを選んで進んでいくかという作業になる。僕は感覚で選んでしまう。どこまでも、自分のその感覚を疑わない。そうじゃなきゃやってられない。その結論に異を唱えられたってどうしようもない。それは僕の作った物語なのだから。

8月29日(木)ドラマ『東京バンドワゴン』
◆晴れたり曇ったり。もうすっかり涼しい北海道。tbwd
◆テレビドラマ『東京バンドワゴン 下町大家族物語』の亀梨くん以外の主要キャストが発表されました。ファンの方々にはいろんな意見がありますでしょう。でも、楽しまなきゃ損ですよ。僕は楽しみます。
◆ドラマ化に関しては、僕はキャスティングも脚本も何もかも全てお任せしていました。原作者として何か口出しするつもりはまったくなく、純粋に一視聴者として楽しませてもらうつもりです。そして今回発表されたキャスティングですが、よく考えられてるなぁと感心しました。限られた予算と期間と柵の中で精一杯のものを目指すのが商業的作品です(僕は元広告屋なのでよくわかります)。その中で、我南人に玉置浩二さんをキャスティングできたのは本当に素晴らしいと思います。素晴らしい才能を持ったミュージシャンでかつその人にしか表現できない演技力を持ち、そして『LOVEだねぇ』を言えるのはたぶん玉置さんだけです。サチ役の加賀まりこさんも、元子爵のお嬢様という特別な過去設定があるサチにはふさわしいと思います(加賀さんの経歴をご存知の方なら納得でしょう)。勘一役の平泉成さんも、勘一の江戸っ子のがらっぱちさとその奥にある秘めた知性と優しさを表現するのにはぴったりだと思いました。紺役の金子ノブアキさんも最高です。金子さんは最高のボーカリスト金子マリさんとベストドラマーのジョニー吉長さんの息子さんです。本物のミュージシャンの息子が、ゴッド・オブ・ロックの我南人の息子を演じるわけですよ。多部末華子さんも愛嬌があって看板娘になる元気なすずみ役にぴったりです。コワイほどの美しさを持つ亜美さん役の平愛梨さん、不思議な魅力を持つ藍子役のミムラさんもそれぞれの個性がものの見事にハマったキャスティングだと思います。研人役の君野夢真くんは〈ゴーストママ捜査線〉の男の子ですよね? 幽霊になったママが見えちゃう男の子を演じた子が研人というのも、キャスティングの方の遊び心が見えました。花陽役の尾澤ルナさんに関してはわからないのですが、可愛くて元気な小学生の頃の花陽をしっかり演じてくれると思います。ベンガルさん演じる祐円を早く観たいです(^_^;)。真奈美役の片桐はいりさんは〈まめぶ〉を作るのでしょうか(^_^;)。名前で選んだんじゃないかと思うようなケンちゃん役の光石研さんはレギュラーで出るのかな? そしてこれらのキャストに囲まれた青役の亀梨和也くんを想像すると僕の中ではジャニーズの亀梨くんは消えていきます。愛人の子という過去を持ち、才能ある父親の我南人に息子として反発し、でも男として憧れる気持ちに揺れる普通の若者に見えてきます。きっと、亀梨くんは青を演じてくれると思います。
◆設定に関しては、一部変更しているところもあるのでしょう(そういうところも僕はノータッチです)。作品全体の構成も、青とすずみの恋を縦糸にしますから原作から離れる部分もあるようです。でも、安心してください。ちゃんと〈堀田家〉の物語になっています。台本の準備稿を読んだ原作者が言うんだから間違いありません。後は、出演者の方々、演出家の方、監督さん、脚本家さん、すべての皆さんのアンサンブルが溶け合って、楽しいドラマになってくれることを祈るばかりです。
◆ほら、考えてくださいよ。僕が『東京バンドワゴン』を書くのに思い描いた〈昭和のホームドラマ〉。最も顕著に下敷きにしているのは『寺内貫太郎一家』です。バリバリのアイドルの西城秀樹さんに、歌の下手な浅田美代子さん(^_^;)、さらにド素人の小林亜星さんに、まだ三十代だった樹木希林さん(当時は悠木千帆)に老け顔メイクでおばあちゃん。ハチャメチャなキャストです。でも、楽しそうですよね。今回もこのキャストの皆さんが全員揃って同じ画面に、堀田家の居間にいるなんてちょっと楽しそうじゃないですか。
◆それでいいんです。ちょっと笑って、ちょっとじーんとして、あー楽しかったで終わる。原作もそういうつもりで書いているんですから。

8月30日(金) 日々
◆曇り。すっかり気温が低くなってしまった北海道。okudatamio
◆漫画は大好きだから小さい頃から少女漫画も少年漫画も青年漫画も何でもたくさん読んできた。我が家にはコミックが何千冊あるかわからないぐらいの漫画ファンだ。もちろん今も小説以上に漫画を読んでる。でも最近〈大人気の漫画〉を読んでも響いてこない確率が高い。具体的には言わないけれどあれとかあれとかあれとかあれとかあれとか。特にあれなんかぴくりとも面白くなくてでもその年の人気漫画ナンバー○!とかになって、うーん俺の感性が鈍ったのか年取ったのかなぁとも思うけれど、どうしてもその漫画には、なくてはならないはずの〈匂い〉ってものが(空気感と言い換えてもいい)まったく感じられなかった。どうなんだろうなぁ。やっぱり年寄りの繰り言かなぁ。
◆テレビドラマ『東京バンドワゴン 下町大家族物語』のキャスト発表でいろいろご意見はあるようですが、お祭りですよ。踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らな損々です。あ、昨日の日記のドラマロゴ、日テレのサイトから取ってPhotoshopで勝手に作っちゃいました。許してねてへぺろ。
◆写真は奥田民生さんの新曲『風は西から』。民夫ちゃん僕の名前ぐらいは覚えててくれてるかなぁ。
◆時代が変わっても色褪せないのが名作だというのはどんなジャンルでも真実だけど、その時代だからこそ輝いた名作ってのもあると思う。

8月31日(土) 日々
◆曇り後晴れ後雨。涼しい。hajimarinomichi
◆元々が広告制作会社のイベントプランナーだったので企画書なんか何百枚も書いた(それで思考法が鍛えられた部分もある、かな?)。なので今もふとしたときに頭の中でプランニングしてるときがある。最近妄想プランニングしたのは〈文学賞アカデミー賞化計画〉だヽ( ´ー`)ノ。
◆まず作品賞として4〜5作の小説が受賞するのだ。その中から最優秀作品賞が一作選ばれてその年の〈最優秀文学賞〉となる。当然出席する作家は皆ドレスアップね。テレビやネットで生中継もしてもらう。その他にも装幀賞、装画賞(これは連載作品が対象)、編集賞も与えられる。もちろんそれぞれに最優秀装幀賞なども出すのだ。舞台に上がるのは当然装幀デザイナーやイラストレーターや編集者ね。必ずしも作品賞を取った作品から装幀賞や装画賞が選ばれるわけではないところがミソ。さらに〈最も売れた本賞〉も作ろう。これは純粋に販売数だ。で、最も売れた本が最優秀作品賞を取るとはもちろん限らないんだ。他にも絵本部門や文庫部門、ラノベ部門、新書部門、雑誌部門など細かく細分化されて受賞する。
◆当然ドラマ化映画化漫画化アニメ化された作品もあるわけだから、そういった部門も設ける。優秀ドラマ化部門とかね。つまり最優秀作品賞と最優秀装幀賞最優秀ドラマ化賞などが同じ本になり、○部門ノミネート○部門受賞! なんていうアカデミー賞と同じようなことになる可能性も出てくる。で、ドラマ化映画化アニメ化があるんだから、当然最優秀主題歌賞、とかも設けてミュージシャンを呼んでステージで歌ってもらい、この文学賞をショーアップする。もちろん本屋さんへの敬意も忘れない。おもしろい売り方をした最優秀企画賞や最優秀販売数などにも賞を与える。功労賞や、優秀出版社賞もあるかな。
◆賞を選ぶのは選ばれた文学賞会員たちだ。まぁ書評家や編集者の皆さんと作家が中心になるだろう。派閥や大人の事情を排除するために資格も設けた方がいいかな。会場では同じテーブルにノミネートされた作家と装幀デザイナーとイラストレーターと編集者とドラマ化俳優ミュージシャンなんかも同席するの。ね、けっこうワクワクするでしょ。ま、問題はその経費をどこから捻出するかってことだけどねヽ( ´ー`)ノ
◆写真は映画『はじまりのみち』。いい映画だった。これはもう一度ちゃんと観る。