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2013年3月1日(金) 春を待つ季節
◆晴れたり曇ったり。ryosha
◆3月になってしまった。確定申告を終わらせる準備は出来たがまだやっていない。e-Taxだ。24時間受け付けているが何かトラブルがあったときにこわいので月曜日にするつもり。しかし税務署よ言っておくぞ。24時間受け付けるのならばサポート電話は土日も、それから24時間受け付けたまえ。それが仕事というものだ。
◆今日から〈SONY Reader〉で『旅者の歌』(幻冬舎)配信開始です。前にもお伝えしましたが、初めての長編ファンタジー。幻冬舎さんと〈SONY Reader〉さんからの御提案でまずは電子書籍で配信して、それが終わってから、紙の本で発売する予定です。〈シィフル〉の地で静かに暮らす少年ニィマール。〈試の日〉に許嫁であるジェイラは猫に、兄であるトゥールは馬に、姉であるティアラは鷹という〈野獣(のけもの)〉になってしまいます。賢者の意である〈話者〉としての訓練を受けていたニィマールはどこかにあるという〈離者の地〉を探す決意をします。許嫁と兄姉を、元の姿に、人間に戻すために。命とは何か、魂とは何か、神とは何か。リョシャとなったニィマールは、三人を連れて、果てしなく遠い旅に出る……という壮大なファンタジーになる予定です。今回配信されるのは、おおよそ単行本一冊分の序章。それが四回に分けて、配信されるようです。もちろん、この後も物語を書き進め、リョシャとジェイラ、トゥールとティアラ、四人の運命を全部描くつもりです。こちらで、四人の姿が見られます。加藤木麻莉さんの素晴らしいイラストをご覧ください。全ての人に読んでもらえる環境ではないのですが、どうぞよろしくお願いします。また、必ず本の形で出版しますのでそれもお楽しみに。
◆これほど本格的なファンタジーを書くのは初めてなので、僕も続きを書くのが楽しみです。あ、ファンタジーではありますが、剣とか魔法はほとんど出て来ません。

3月4日(月) 日々
◆晴れ。穏やかな日。daidaso
◆北海道で暴風雪が吹き荒れて、何人もの死者が出た。吹雪で凍死したのだ。まるで雪山での出来事のようだけど、自宅のすぐ近くで、の痛ましい事故だ。犠牲者の中には老人も若者も、そして子供もいた。悲しい出来事だ。ただご冥福を祈るしかない。
◆痛ましい事故ではあるのだけれども、同じ北海道に住む人間として、どうにか出来なかったのかという思いも残る。吹雪の恐ろしさを、ホワイトアウトの怖さを犠牲になって方々は知らなかったのだろうか。何とかなると油断したのだろうか。猛吹雪が吹き荒れれば本当に自宅周辺でも迷うのだ。遭難するのではないかという恐怖が襲ってくるのだ。僕も猛吹雪に遭いホワイトアウトで車が立ち往生し、車内で数時間過ごしたこともある。そういう状況になったのなら外に出てはいけない。何よりも風が怖い。車内で助けを待つ。それしかない。暖を取るためにエンジンはかけていてもいいが、常に換気をして、定期的に外に出てマフラーの周囲が雪に埋もれないしなければならない。そのために、車にスコップは必ず積んでおく。吹雪に外に出るのなら、それなりの服装を準備していなければならない。北海道は、厳しい土地なのだ。なんでこんなところに住んでいるのかと思うときもある。それでも、ご先祖様はここで生きてきたのだ。今よりもはるかに厳しい冬を乗り越えてきたのだ。写真は名作映画『大脱走 製作50周年記念盤コレクターズBlu-ray』
◆Jリーグが開幕した。我がコンサドーレ札幌はアウェイで千葉と対戦。初戦を見事1-0で勝利。良い試合だった。主要な選手が出ていき、ユース上がりの若い選手がほとんどを占めるという中で、財前監督はきっちり戦えるチームを作ってきた。選手たちが全員戦術を理解し、それをきちんとやろうという意識に溢れていた。戦う姿勢を90分間見せてくれた。正直かなり心配していたのだけど不安を綺麗に払拭してくれた。これで、今季も戦える。あとは練り上げていくだけだ。がんばれ。

3月7日(木) 日々
◆晴れたり曇ったり。eric
◆北海道もあの嵐を過ぎてようやく気温が少し上がってきた。庭に積もった雪も少しずつかさが減ってきている。もう3月なのだから、少しずつ少しずつ春が近づいてきている。本格的に実感するのにはあと一、二週間はかかるだろうけれど。
◆趣味を作りたいともう十何年も言い続けているんだけどいまだに見つからない。音楽や読書や映画鑑賞や芸術観賞はすべて作品のためのこやしだから趣味にはならないのだ。かといって将棋とか碁とかチェスとかああいうものにも夢中にはなれないしサッカーやバスケや野球は人数集めと場所取りが大変だしカメラも好きだけどどうも僕はコレクションに向いてしまいそうだしあぁ誰か私に趣味を与えてほしいお金も手間も時間もかからないもの。もう執筆が趣味でいいか。いいよな。基本めんどくさがりで出不精なんだから趣味なんか持てないタイプなんだなきっと。写真はエリック・クラプトンの新譜『OLD SOCK』
◆ここ数年間に起こっている様々な出来事を考えれば、こうして仕事をして毎日を過ごして新しい春を迎えられるというのはそれだけで最高に幸せなことだ。自分は幸せだと思って毎日を過ごせば、いろんなことに優しくなれると思う。そういう気持ちはきっと広がる。伝わっていく。皆が少しずつでも優しくなれば、きっと世界も優しくなる。春になったら、街に出よう。買い物をしよう。自分の気分を良くしよう。そうすれば周りも気持ち良くなる。

3月11日(月) 忘れない
◆晴れたり曇ったり。tbw11
◆東日本大震災から二年。その二日後にこういうお願いをここでしました。再掲します。《『東亰バンドワゴン』シリーズは巻末にいつも載せている〈あの頃、たくさんの笑いと涙をお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ〉という一文にあるように、家族がお茶の間で愉しむ〈ホームドラマ〉を目指して書き続けてきたものです。だから、〈家族〉なくしては成り立たない物語です。被害でご家族を失った方々のことを考えると胸が痛みます。義援金として、シリーズ最新作『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東亰バンドワゴン』、そして文庫『マイ・ブルー・ヘブン 東亰バンドワゴン』の売り上げから寄付をしたいと考えています。寄付するなら黙って勝手にやればいいじゃないか、という声があるかもしれません。なので、大声で言います。復興を微力ながら応援するために、〈来月発売の新刊を買っていただけないでしょうか〉。これを言いたいために、日記に書くことにしました。本が売れれば売れるほど、寄付の金額は大きくなります。今まで図書館でこのシリーズを愉しんでいただいた方もいらっしゃると思います。それは本の楽しみ方のひとつですので構いません。ただ、今回だけは、金額にすると500円程の文庫でも結構ですからお買い上げいただけないでしょうか。シリーズ最新作『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東亰バンドワゴン』のテーマは、そのビートルズの歌の歌詞にある〈それでも、人生は続く-Life goes on〉です。どんな悲しみに苦しさに襲われようと、生きている者の人生は続きます。続けていかなければならない。その人生を愉しむことこそが、先に逝ってしまった人の思いを繋ぐことになると、僕は考えています。今回の新作も、いつものように、ただただ楽しい物語に仕上げたつもりです。少しでも笑ったり和んだり愉しんでいただければ作者としてそれほどの喜びはありません。どうぞよろしくお願いします》。
◆あれから二年が経ちました。来月には『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東亰バンドワゴン』の文庫が出て、新刊『フロム・ミー・トゥ・ユー 東亰バンドワゴン』が出ます。シリーズ印税からの寄付は日本赤十字社、国境なき医師団、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、あしなが育英会さんへ今も続けています。皆さんのご協力と、『東亰バンドワゴン』シリーズへのLOVEに感謝します。
◆同じ日本に住みながらも、遠い地に暮らす僕は傍観者でしかない。その悲しみと苦しみと辛さを本当の意味で分かち合うことは出来ない。出来ることはこうして前を向くための手段としてのお金を寄付をすることと、今までもそうしてきたように、自分の仕事である〈希望ある物語〉を書き続けることだけ。せめてそれが届きますようにと祈ることだけ。

3月15日(金) 日々
◆晴れ。穏やかな一日。brutusfashon
◆春は幻だったんじゃないかと思うほど昨日は吹雪いたんだけど今日は一日気温も高く、そして道路はぐずぐずになっている。もう一日でも早く雪が融けて川になって流れていって土筆の子が恥ずかしげに顔を出してほしい。
◆新しい季節に新しい服を買って街を歩こう。それだけで気分が良くなる。僕は若い頃にDCブランドというものの洗礼を受けた年代。そして広告業界の人間でもあったから自分のファッションを自分で考えて選ぶことがあたりまえになっている。その折々の収入と(ヽ( ´ー`)ノ)、自分の嗜好に合わせていろんなファッションを試してきた。女性の方はもちろんだろうけど、男も服装には気を遣うべきだ。それは自分の生き方と繋がるものだ。大げさな話ではなく、自分の生き方を見つけた人は服装にもそれが現れる。そして素敵に見える。生憎と服装に関しては僕はまだいろいろ迷っているのだけど(^_^;)、自分の年齢と容姿と重ね合わせて、どんな印象を与えられるかを毎年考えるのはそれもまた楽しいものだ。ボケ防止にもなるしねヽ( ´ー`)ノ
◆最近の悩みは、鞄フェチではあるものの、持ち歩く鞄と服装の相性をどうしようかと。実はこれ結構難しいんだよね。できるならなるべく荷物は持ちたくないんだけどカッコいい鞄は持ちたい。あとは靴だなー。これは本当にムズカシイ。それと今年はいろいろ帽子を被ってみようかと思う。実は頭がデカイので帽子は避けてきたんだけどチャレンジ。

3月18日(月) 日々
◆曇ったり雨が降ったり。ohashitrio
◆なかなか春がやってこない北海道の我が家近辺。それでもようやく雪が融けてきて道路はぐずぐずのどらどらのばっちゃばっちゃ状態。これはもう住んでいる人しかわからない状態(^_^;)。まぁ毎年ここを通り越して春になっていくのだけど。
◆相変わらず締切りに追われていて何もできない。いくつか約束をしていることもあるんだけどここを通り過ぎないと果たせない。申し訳ない。そもそも髪を切ってない。もう髪は肩まで届いたのを通り越して縦ロールになっている。実は僕はくせっ毛なのだ。長くなればなるほど先端がくるっと丸まっていく(^_^;)。髪を切りに行きてえ。写真は〈大橋トリオ〉の新譜『plugged』
コンサドーレ札幌は何も出来ずに1-0で敗退。それでもまぁ守備の面では1失点で収めたのは良しとするか。守備は出来ていても攻撃の形がないのは昨季と一緒。そこを何とかしてほしかったのだけどなぁ財前監督。とりあえずこのままでは昇格は無理。攻撃の形を作れ。作ってくれ。
◆最近執筆のガス欠が早くなってきている。以前なら二時間持ったものが一時間持たないような感じ。年のせいなのか書き過ぎなのか単になまけ癖が出ているのか(^_^;)。慣れ、はダメだ。いつも仕事があることに慣れてしまっている。こんなことじゃいかんと常に思わないと。反省の日々。
◆全然まだまだだ。書き切ったなんておこがましい。お前は何も書けていない。もっと力を振り絞れ。もっと。

3月19日(火) 卒業おめでとう
◆晴れたり曇ったり。nohitomi
◆あちこちで卒業式が行われる季節。皆さん、御卒業おめでとうございます。なにはともあれ、卒業は誇りと思っていいことです。何年間か、あなたががんばってきた証です。卒業できたということが、そしてその学舎で得たものや友人たちが、これからのあなたの人生を照らしてくれます。実は高校も大学もまともに学校を卒業していない僕が言っても説得力がないかもしれませんが(^_^;)。
◆そしてさらに説得力がないことを言いますが、今まで育ててくれたご両親もしくは保護者の方に感謝してください(ごめんなさい僕はその頃はそんなこと考えませんでしたヽ( ´ー`)ノ)。あなたが卒業できたのは何よりもあなたが頑張ったからに他なりませんが、同時に、ご両親や保護者の方が一生懸命あなたを育ててくれたからです。感謝の気持つことができたのなら、それもまた、これからのあなたの人生を照らす明りになるはずです。
◆そして新しい季節。もっともっと勉強してください。遊んでください。楽しんでください。生きるということは、楽しむことです。その楽しさを味わうために、辛さや悲しみや苦しみもありますけど、それがなければ楽しみも理解できません。辛くても苦しくても悲しくてもその先には楽しみがあると思ってください。きっとあります。それだけは説得力を持って言えます。
◆と、どこかの校長先生の訓示のようになってしまいました。先生使っていいですよヽ( ´ー`)ノ。写真は金を払ってでも観てほしい日本を代表する名作映画『二十四の瞳』
◆いいな、卒業。俺も卒業したいよ。何からだ。

3月21日(木) 日々
◆吹雪いたり晴れたり。abefuyumi
コンサドーレ札幌はホームで松本山雅と。先制したのに1-2で逆転負け。さてじゃあどこが弱かったのかという話だ。個人的には両サイドだ。開幕以来、とにかくまともなクロスが入ってこない。そして深く切り込めない。これはまぁ前線との連携もあるから一概に彼らを責められないが、守備はまぁまぁ良しとしてもサイドにボールが渡っても期待感がまるでないのだ。選手起用は監督の判断だろうけど他にもいい選手がいるように思えてならない。このままだとJ3への降格もあるぞ。個々の力はむしろ松本より上だと思うのだけど、この一戦は監督のチーム作りの差が本当に出た試合だったと思う。
◆そして北海道日本ハムだ。楽天とのオープン戦で大谷くんがマウンドに立った。いやまぁ本当に素晴らしい選手だ。惚れ惚れする。絶対ピッチャーだけやってほしいが打撃センスもこれがまた素晴らしい。本当にどうしよう。どうしたらいいんだろう。わくわくが止まらない。
◆写真は阿部芙蓉美さんの新譜〈HOW TO LIVE〉
◆最近本当にガス切れが早い。急激に眠たくなる。あまりにもドーピングのブドウ糖とか食べ過ぎたせいか。でも本当にブドウ糖は効くのよ。
◆なかなか北海道の春は遠い。そして日々の暮らしにはいろいろある。いろいろあるけど、ないよりはあった方がいい。その方が普通の毎日のありがたさを実感できる。

3月26日(火) 犬の最後の日々
◆晴れたり曇ったり。wrestlerb
◆また更新の間が空いてしまった。相変わらず締切りに追われているのは標準として、実は飼っている犬が具合が悪くなってしまったのだ。一週間ほど前から急にご飯を食べなくなってきて、病院に行って、今は、静かにそのときを待っている状態。ただ吐き気があるらしく、常に見ていなきゃならない日々がここ二三日続いている。我が家では今犬用シートが飛ぶように消費されている。妻と二人で交代で夜も昼も見守っているのだが、作家という職業で良かったなぁと思う。どこにも出掛けなくていいし、寝不足は適当な時間に解消できる。ただいかんせん執筆は進まない。犬が騒ぎ出したり苦しそうな声を上げると駆けつけなきゃならない。ただそれもこれも別に何ヶ月も続くものではないだろう。
◆寮生活をしている次男も日曜に帰ってきて最後の別れをしていった。苦しませないで楽にさせてあげる、という選択肢もペットの場合にはあるのだが、今のところ見守っている。もし、これが続いて日常に支障を来すようであれば考えようと思う。いろいろ意見はあるだろうが、飼い主が後悔しないやり方でいいと思う。
◆夜中に、いわゆる危篤状態の犬の背中を撫でながら、亡父のときのことを思い出していた。馬鹿野郎犬と一緒にするな、と父は怒るだろうか(^_^;)。父のときも僕は病院に泊まり込んで、チューブに繋がれてただ眠っている父の顔を夜の間中見ていた。あのときの病室という空間の何かを、たぶん一生忘れない。
◆看取るという経験はきっとその他の経験とは違う形で身体と心の中に残っていくものなのかな、と、ふと思った。写真はミッキー・ロークの名作『レスラー』Blu-ray。

3月27日(水) さよならミル
◆晴れ。穏やかな日。mill2013
◆もう少し、何日かもってくれるかと思って昨日の日記を書いたのだけど、残念ながら我が家の犬〈ミル〉は今日の夕食前に旅立ってしまった。16歳から17歳という高齢だったので大往生と言っていいでしょう。ミルへの温かい言葉をたくさんありがとうございました。彼女は我がままに育ててしまったので我が家では女王様だったのですが、その通りに最後まで戦って必死に生きて、天国に行きました。
◆亡父も犬が好きで、盆暮れ正月にミルを実家に連れて帰ったときには可愛がってくれました。きっと父は向こうで待っていて僕の代わりに散歩に連れて行ってくれるでしょう。よろしく頼みます。
◆この家を建ててすぐにミルは保健所から貰ってきました。長男は小学一年生から、次男は生まれたときからミルと一緒でした。フローリングなので彼女の歩く爪の音が、子供の声と一緒にいつも家の中にありました。きっと明日から、いやもう今晩から、ミルの爪の音がしない家の中を少し寂しく思うでしょう。
◆でも実は作風に似合わず割りとドライな人間なので(^_^;)、ペットロスから原稿が書けなくなるとかそういう心配はありませんのでご安心ください。バリバリ書きます。
◆たまたまなんですが(そして宣伝になってしまいますけど)実家にいた頃に飼っていた〈ダン〉という犬と〈ミル〉についてのエッセイをこの本に書いています。『いつも一緒に 犬と作家のものがたり』(新潮文庫)です。本当ならここに全文載せたいぐらいのピッタリのエッセイです。興味がありましたら、ご一読を。
◆さよならミル。今までありがとう。そっちに行ったときにまた一緒に散歩しよう。

3月28日(木) 日々
◆晴れたり曇ったり。niagarasongbook
◆犬は玄関周りを自分のスペースにしていたので犬用(いや人間のを使っていた)のクッションやらなんやらがあって、それを全部片付けたら妙に玄関が広く感じる。まぁ二、三日もすれば慣れるだろう。
◆新しい場所に何日か滞在するとき、自分の身の回りの空気がそこに馴染むのに、個人的には二日ぐらいは必要になる感覚だ。デビューした頃は東京のホテルに行っても馴染む前に帰ってきていたのだけど、今は一週間は居ることが多いし、定宿を作ったので部屋についたらもう自分のスペースだという感覚になる。この間は定宿がどうしても取れなくて近くの少しお高いホテルに泊まったんだけどもう落ち着かないのなんのって落ち着かない。
◆冬も終わったので、東京に滞在することも多くなる(冬場は飛行機が飛ばないとかあるので行きたくないのだ)。東京にいる間は〈ただの作家の小路幸也〉でずっといられるので楽と言えば楽なのだ。自宅にいるときは〈夫〉であり〈父〉であり、実家にまだ親がいる〈息子〉でもある(ついでに〈弟〉でもある)。そういうものが全部引っぺがされて、ただ作家の顔をしていればいい。そういう気分が味わえるのは、自由業の良さかもしれない。写真は〈大瀧詠一〉さん『NIAGARA SONG BOOK』
◆もうすぐ四月か。来月はまたいつもの頃に東京にいますので、各担当編集様、何かありましたらご連絡をいただければ。

3月30日(土) 日々
◆曇り後晴れ。少し雪。out2
◆犬がいつも寝ていた玄関や階段の踊り場を見て、もういないんだと一日に一回は思ってしまう。それから、一日のうちのたぶん二時間ぐらい時間が増えた。まるで子供が大きくなって一人で友達の家へ遊びに行ってしまうようになったときのようだと思う。
◆昨日の開幕戦に先発で出てそしていきなり大活躍した北海道日本ハムのルーキー大谷くんは、今日はさすがにいいところなし。これ以上ルーキーを乗せてはいけないという西武の意地もあったと思う。しかし、まだわくわくは止まらない。これからまだ投手としての出番が待っているのだ。楽しみだ。
◆身内に政治家がいてしかも賢明な方には大変申し訳ないが、政治家は馬鹿だと思う。馬鹿が政治家になったり政治家になると馬鹿になるのだと。この意見についての質問・苦情は一切受け付けない。小路家の家訓として〈政治家にはなるな〉というものを遺しておこうかと思う。
◆もし、家族や友人や大切な人たちを守るために死ななきゃならないのなら、僕が死ぬことで皆が生き残るのなら死んでもいい。でもそれが同じ人間同士の戦争ならば、拒否する。でも、仮に人でなしをこの手で殺さなきゃならないのなら、殺す。宇宙人が地球を征服しようとするのなら、戦う。人間なんて身勝手なものだ。僕は性善説も性悪説も唱えない。そんなもんで割り切れるものじゃない。
◆憎むのは簡単だ。でも憎しみからは何も生まれない。許すことを考えるのは難しい。難しいからこそ、そこから何かが生まれる。進むことができる。
◆できれば、なにものにも染まることのない白鳥でいたい。白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ。この有名な短歌を僕はそういうふうに解釈する。